第15話 執権北条氏の一族相克癖
先に戦国大名北条氏の異様な結束ぶりについて述べてみましたが、思えばその姓の由来たる執権北条氏が「一族相克」の見本の様な家である事を考え合わせると、「かつての名家の跡を襲う」事例自体はよくあれど、ここまで対照的な例はちょっと思いつかない様な気がします。
そして執権北条氏の、あの飽くなき闘争性は何に由来するのかと考えていくと… やはり始祖達の薫陶か、などと思ったりも。
伊豆の小領主・北条の分家筋から頼朝という奇貨を得てのし上がり、その没後は孫・頼家や比企・畠山といった邪魔な有力者達を次々に始末し、初代執権として権勢を手にした時政。
そんな父を同母姉・政子と組んで排斥し、これまた江間家という分家筋から本家の家督を奪取。更に和田氏ら有力者を潰し二代執権として将軍以上の権勢を手にし、遂には承久の乱で覇権を確立した義時。
まあこんな「剛腕」な始祖達を持った上、歴代得宗からして担ぐ将軍に対し「幼君を擁立、年嵩になったら京に返品」といった事をルーティンワークの様にしているのを見ていれば… 「上を敬う」態の意識が育たなくて当然なのやも知れませんが。
北条氏と後北条氏。
事実上幕府を支配していた権門勢家と、何かと風当たりの強い中で、結束せねば一族全体の存亡にも関わったであろうよそ者集団。
根本的にはそんな両者の立場の違いも大きいとは思うのですが、何とも不思議で興味深い「家風」の対照性です。
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