第14話 異様なる戦国大名・北条氏

もし私が「戦国時代で一番興味深い人物は?」と問われれば、様々な方が頭に浮かぶものの、とても即答は出来ません。

しかし「戦国時代で一番興味深い勢力は?」と問われれば、迷うことなく北条氏の名前を挙げることでしょう。

それくらい北条氏のある種の「異様さ」には、興味を惹かれてなりません。



まずはその強固な「団結力」。

無論国人クラスまで含めれば、反覆常無い者達も少なくはありません。

しかしこと親族・譜代層に限れば、正直北条家中の団結力というのは、常識外れの強さと言えるのではないかと思います。

素人調べではありますが、私が以前謀反に類する事例を漁ってみた際も、五代百年間で親族0・譜代2(未遂1含む)といった異様な少なさでしたし。


次に「安定感」。

団結力にも絡む話ですが、乱世で百年もの間お家騒動が皆無。

更に二代目以降は「関東制覇」という基本方針も微動だにせず。

これらは他の大名家の知識が増えていく程、より異様さを感じる様になりました。


そしてとにかく「組織的」。

小田原城を頂点として、要所要所に親族と支城を配した領内ネットワーク。

印判・文書等を活用し統治体制もよく整備され、家督継承も生前の隠居・後見を基本として常に円滑に実行等々…

とにかく何につけても、他国に比べて異質ぶりを感じる事が少なくない気がします。


また、こと合戦においては常勝にはほど遠く、関東諸侯に負ける事もままありますし、特に関東の覇権を巡って争った上杉謙信や、様々な軋轢から戦う羽目になった武田信玄・勝頼相手には力負けしている感すらあります。

ですが「骨子」ともいうべき重要部分を固守しつつ、粘り強く機を待って反攻に転じ、何年かかろうと失地を回復するしぶとさ、そして国府台の様に「ここ一番」とも言うべき戦で見せる無類の勝負強さには、何とも言えぬ恐ろしさすら感じる様にも。


知れば知るほど、更に新たな興味と関心が湧いてくる。私にとって北条家とは、そんな不思議さと興味深さに満ちた大名家と言えます。

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