第5話 痛そうで痛くない少しエロい場面。

 

 

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 ※閲覧注意:刺激の強い描写(エロ・グロ系統)が含まれます。耐性の無い方はご注意下さい※

 

 

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 どういう意味なのか問おうとするも声すら出せず。仕方無く念で問い掛ける。


 俺が受け入れるとはどういうこった? こっちが拒否したら、何故お前は……消えるんだ?


『う~ん、伝わるか分かんないけど面倒だから普通に言うね。まず――』


 そこで一息吐いたような間の後、一気に捲し立てる。


『さっき確認したんだけど、この惑星ほしの大気組成は私の元居た世界と大して変わんなかったから普通に呼吸とか活動する分には全然オッケーで。問題はこの世界でエーテルって呼ばれてる根源素が私の根幹を成すとは性質が異なっちゃってるって事なのよ。だから私という存在を維持するには今まで保持してきた魔素しか使えなくて、ぶっちゃけ外部からこれっぽっちも補充が出来ないのね。するとどうなるか? 端的に言えば内部の魔素を使い尽したら核である魔石を残して今キミに見えている姿の私という存在は消えちゃうの。まあそうは言っても私の構成要素と今までの蓄積を記憶している魔石自体は残るから完全に消滅するって訳でも無いんだ。ただ、このエーテルが満ちている世界じゃあ事前に何の手も打たなきゃ復活するのは土台無理無理ってハナシ。そこでどうするかってな時に運良く遭遇したのが現地人のサンプルであるキミなの』


 半分以上理解出来ん話をしながらゆったりと近付いてきた漆黒のドラゴンが、動けない俺の目前にまで迫る。


『あんまり時間を掛けてると野暮な誰かさんに邪魔されちゃうかもだから、


 頭一つ分は上の高さからまるで囁くように顔を寄せられ――ブチッと何かが引き千切れる音がした刹那、俺のみぎそくとう辺りが強烈な痛みに襲われた。


 ああ、耳を喰われたな…… と冷静な判断をしている俺が居て、肩口にバラ撒かれる生暖かな血の重みがこれは現実だと否が応でも主張して来やがる。


 それでも呻き声すら出せずに棒立ちなままでいると、次第に全ての感覚がぼやけて視界から色が抜け落ち、続いて闇に閉ざされるように光が消えていく。


『うん、思った通り。私とキミって、凄く――』


 言葉の最後までを聞き終わる前に俺の意識は宙にほどけていき、やがては完全に失われてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………暗転から再び自分の感覚を取り戻した時、俺は何故かあの集落跡の一角にある見慣れ過ぎて何の感慨も湧かない寝床に居た。しかも全裸で。


 土埃が入ってくるからと暫く開けちゃいない雨戸から、夕日らしき光が漏れている。


 全身が痙攣して弛緩し切った後のように重怠い。鉱山労働でもした後かのようだ。


「………まだ、生きてんのか」


 無意識に喰い千切られたであろう右耳へ手を伸ばす。


 あの時失われたはずの場所には、何事も無かったかのように普段通りの感触が戻っていた。


 あれは夢だったのか――? そう思いたい所だが、残念ながらそうでは無いらしい。


 そりゃ何でかって?


 どうせ独りだからと街で安く買い叩いた狭い寝台に、知らねえ女 (褐色肌で出る所はしっかり出てる) が俺に抱き着くように全裸で寝てたからだ。


 艷やかな褐色の肌に腰元までありそうな濃紫の髪。どこぞの王宮で笑いながら極刑を宣言しそうな力強い美貌。頭の形に沿うようにして生える、厳つい一対の……。


 見間違える筈も無い。あの時出逢ったドラゴンと全く同じ角だ。


 恐らく当たっているであろうイヤな予感もそうだが、もっとヤバいのはこの部屋に充満する汗臭さと、匂い立つ生々しいメスの香りだ。


 ……こりゃあ、一晩どころじゃ済まない気がする。見た感じと周りの状況からしてさっきまでヤッてたろ、コイツ。やたらと身体が怠いワケだ。


 って事は、俺はいつまで意識が飛んでたんだ? 今の今まで操られてたのか? あの凶悪な色した岩石と落下跡はどうなった? あれだけの轟音だ、モメント・ウフの街の奴らが何の対処もやらないワケは無い。知り合いが此処に来たっておかしくは……。



「――ようやくお目覚めだね、リトス。いや……ここは愛しの旦那様ダーリンって呼んだほうが良いのかな?」

 

 

 

 

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