少・女


 俺はそっとドアを閉じた


 最近こんな感じでドアを閉じることが多い気がする。


 「いやいや待て待てなんであんなところに人がいるんだ・・・」


 いったん状況を整理しよう、ドアを開けると蜘蛛の巣だらけの部屋で少女が寝ていた、身長は140ぐらいで10歳ぐらいだろうか?。


 だが何より問題なのはその少女が、


 裸だったことだろう。


 「こまった・・・」


 俺は小一時間悩んでいた、今日はしない予定だった雑巾がけをし終わっても悩んでいた


 どうしよう・・・待て大丈夫だ、シミュレーションしてみよう。


 普通に起こしにいく→そんなこと童貞の俺にはできない。


 はい終わった。


 何かするにもまずは起こさなくちゃいけない。


 そんなこと童貞の俺にできるわけがない。


 これも全部休みがなかったのが悪い、だから俺は童貞なんだ。


 「もういっそのこと扉に板でも打ち付けて封印してやろうか・・・」


 そんなことを考えていると寝室からゴソゴソと音がした。


 「まずい!」


 そう考えた俺は何を思ったか、板、釘、ハンマーを持ってきて打ち付けようとする。


 俺ハンマーを振り上げると思いっきり板に叩きつけようとするがその瞬間に寝室のドアが開いてしまった。


 裸の少女の目に映ったのはハンマーを自分に向かって叩きつけようとしてくる見知らぬ男だっただろう。


 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」


 「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」


 そして俺たちはひと悶着あったあと少女はいつの間にか服を着て、リビングにいた。


 「はぁぁ急になんなんですか!」


 「寝ている間にいつの間にか人が住み着いてるし、裸見られるし、奇麗になってるし!とんだ迷惑ですよ!」


 「いやここ俺が買った家なんだけど!こっちの方が迷惑なんだけど!」


 「へ!?あなたが勝手に住み着いてるホームレスニートじゃないんですか!?」


 「そんなわけねぇだろ!?住み着いてるのはお前の方だ!」


 なんなんだこいつは・・・


 「いや・・・まぁ確かにそうですが・・・」


 俺の言葉に少女はうろたえる


 「お前何歳?両親は?」


 「二日前に15歳になりました。両親は遠い場所にいますよ?別にこれくらい普通です。」


 15歳!140cmくらいの身長にまったく胸がない、さすがに体が発達してなさすぎではないか?10歳ぐらいかと思ってたがこれは言わないことにしよう。


 そして俺はここでやっと違和感に気づく、14歳の少女が一人で?、それにこの蜘蛛の巣だらけの家に?おかしい・・・


 「お前・・・何者だ?」


 「わたし?言ってませんでしたね、私はスパイダーヒューマンのエレシアです」


 ああそうか・・・こいつだったのか俺の家を汚したのは・・・3年でこんなにひどいことになるのはおかしいと思ってたんだ、そう思うと怒りが沸々と湧いてきた


 「・・・ふう」


 「お前かぁぁぁ!!!どんだけ苦労したと思ってんだぁぁぁぁぁ!!!」


 「掃除手伝ってもらうからなぁぁぁ!!!」


 「ごめんなさあああああい!!!!!


 こうして強制的にエレシアに掃除を手伝わせ、今日は何とか2階まで掃除した。


 「そういえば名前聞いてませんでしたね、なんていうんですか?」


 「俺はユウトだが・・・なにか?」


 「あのーここ追い出されたら住むところがなくてですね・・・この家に置いてください!」


 急にエレシアからそんなことを言われる


 「料理、洗濯なんでもしますから!行くところがないんです!」


 「いやでも・・・」


 「私の糸は便利ですよ!この服だって私の糸で作ったものです!絶対何かにつかえますからぁ・・・お願いしますぅ・・・行くところがないんですよお・・」


 エレシアが俺に泣きついてくる、どうしよう・・・断ってしまおうか・・・?かわいいが色々とめんどくさいしなぁ


 そんなことを悩んでいる俺にエレシアが何かひらめいたような表情で話しかけてくる


 「ここに置いてくれないとすぐ近くにある村に行って、引っ越してきた男の人に家に連れ込まれて乱暴されたって言いますよ!」


 くっそ・・・こいつなんてことを・・・


 「村という閉鎖的な空間では情報が伝わるのが早いんです!そのぐらいわかってますよ!」


 マズイ・・・厄介なことになった、一応英雄と呼ばれている、俺が乱暴したという噂が広がるともう社会的に生きていけないだろう。


 「仕方あるまい・・・」


 「・・・分かった置いてやる、ただし!、家事はやってもらうからな!」


 「ありがとうございます!ありがとうございます!家事ぐらいなんでもしますから!」


 仕方なく俺はエレシアを家に置いてやることにした・・・あくまでも仕方なくだ、下心はないし、俺はロリコンじゃない。


 「じゃあ早速3階に続く階段のそうz


 「じゃあこの部屋私の部屋ということで!ありがとうございます!」


 エレシアは俺の言葉を遮り、勝手に寝室を自分の部屋にして中に入っていく。


 「家事やれよおおおおおお!!!!!」


 「ひぃっ!ユウト起こり過ぎです!許してください!冗談ですからぁぁぁぁぁ!!」


 こうしてスパイダーヒューマン、エレシアとの同居が始まった。


 俺はスローライフ生活ができるのだろうか・・・

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