第15話
「みづ、おっきくなった?」
「え〜?そうかなぁ」
声のする方には学校のマドンナ的存在である松本美月が彼女の友人数名と談笑していた。彼女たちは体型、主に上半身のふくらみについて話している。
公共の場でそんな話をするなと言いたいが、聞きたくない訳ではない。意中の相手の性事情が気にならない人間などいる訳がないと思う。
彼女らと同じように他愛のない会話をしていた昴たちは話すことをやめていた。学校のマドンナさまの性事情、その場にいる全員が気になることなのだ。
「触って確かめてしまえ!」
「ひゃあっ!なーちゃん何してるの……」
昴たちは目線だけを右に動かし、今後の動きを観察し始める。
そういえば初めてした日よりも大きくなっていたような……などと考えていると、美月の友人なーちゃんは爆弾発言を投下した。
「男でもできたかー?それとも……ひとりでシてた?」
「ち、ちがうよー!」
昴たちは互いに顔を見合わせ、次の瞬間口々に話し始める。
「松本さんがオナニーとかヤバすぎるだろ……えっろ」
「そんなことしてるの見たら絶対襲う」
「お、お前ら声でけーよ。聞こえちまうぞ!」
声を潜めて話しているとはいえ、彼女たちとの距離はそれなりに近い。盗み聞きした上に下世話な会話をしていたと知られたら袋叩きにされるだろう。
昴は友人たちを牽制しつつ、今日のプレイ内容を考えていた。美月としたいことは大抵、この手の会話中に思いつくことが多いのだ。
(ひとりでさせて鑑賞するとか……キモいか)
前戯中、待ちきれないと言わんばかりに腰を振って昴のものを求める美月を思い出す。太ももまで溢れ出た蜜や、うるんだ瞳にだらしなく垂らした舌。まるで発情期の犬みたいだと何度考えただろう。そんな彼女の自慰とは、一体どのようなものなのか。考えれば考えるほど気になる。
「どんな感じなんだろうな……意外と激しかったりして!」
「それはたまんねーな。おもちゃとか使ってたらどうする?」
「おい、お前ら」
俺の指でオナニーしたことあるぞ、と言いたくなる気持ちを堪えて再度二人を牽制する。誰かに知られたら大変なことになるだろう。ので、勿論そんなことはしない。
最低な想像を膨らますことしか出来ない友人には申し訳ないが、美月には昴というセフレがいるのだ。美月に彼氏ができるまでは、彼女の身体は昴の思うがまま。多少の優越感に浸らせてもらおう。
「藍田こそ鼻の下伸びてるぞ」
「気の所為だろ……」
そう言いつつも鼻の下を擦る。多分気の所為ではなかった。
「松本ってオナニーする?俺の指でやったのは除いてな」
「いきなり何っ!?」
風呂上がりの美月に尋ねると、かなり驚いたようで大きい声を出した。最近気づいたことだが、昴といるときは通常より大きい声を出すことが多い。気を許されているのだろうか。
昴はその声に驚きつつも言葉を続ける。
「学校で言われてたじゃん女子に。男ができたのかひとりでシてたのかって」
「あ〜」
ボディクリームを塗りながら学校でのことを思い出しているようだ。昴は美月の背中にボディクリームを塗る仕事が課せられているため、今も話を聞きながら塗り広げている。ローズの香りがするクリームは、彼女の体臭と混ざりあって昴の好きな香りに変化する。面倒な作業ではあるが、この匂いを嗅げるのでお釣りが来るぐらいだ。
「で、オナニーは?」
「それは、まぁ……するけど……」
恥ずかしそうに答えた美月に昴は追い打ちをかける。
「へぇー。頻度は?」
「ひ、頻度!?えーどれくらいだろ……」
そのまま話を逸らそうとする雰囲気を悟った昴は背中に触れている手を前に移動させ、ふくらみを揉みしだく。美月はやや強く触られるのが好きだ。そちらの方がよく鳴く。
「答えて?」
「んッ……えっと……藍田くんとしない日は、いつもしてるかな……」
「えっ」
思わず手が止まった。
美月と会う頻度は週に一回あるかないかだ。つまり、ほぼ毎日自慰に耽っていると言っても過言ではない。
美月は耳まで肌を赤く染め、恥ずかしそうに俯き呟いた。
「女の子なのに性欲強いの、恥ずかしいよ……」
「俺は強い方が嬉しいから、気にするなって」
もっと沢山会ってヤりまくる?とふざけて言うと、美月は昴の方を向いて胸をぺしぺしと叩き始めた。
昴は美月の体をそのまま抱き寄せ頭を撫でる。しばらくすると落ち着いたのか昴の胸にすり寄ってきた。その姿は顔立ちも相まって猫みたいだな、と昴は思った。
「松本さ、お願いがあるんだけど」
美月がゆっくりと顔を上げてこちらを見てくる。これから頼もうとしていることを考え、昴は視線を首のほくろに落とした。目を合わせて言う勇気はない。
「なに?」
「……オナニーしてるところ、見せて」
「えっ?」
「松本がオナニーしてるところ、見たい」
「二回も言わないでっ!」
「結構前に俺の手でオナニーしただろ」
昴は初夜の翌日、美月が彼の指で自慰をしたことに触れる。美月は再び顔を赤らめて目を逸らした。
「あれは、だってえ……」
「まぁなんでもいいけど。今度は自分の手でやってるところ見せて」
彼女は驚きと恥ずかしさに困惑を少し足したような曖昧な表情を見せている。当たり前である、自慰を要求されるだなんて考えたこともないだろう。昴は今、かなり気持ち悪いことを言っている。
嫌なら俺の手でもいいけど、と追加して指を動かすと美月はあからさまに不貞腐れた顔に変化した。
そしてまた元の顔に戻り、口を開く。
「……じゃあ、藍田くんがしてるところも見せてよ」
「見せ合うってことか?」
「私だけ恥ずかしいの、ずるい!」
その理屈はよく分からなかったが、美月の自慰を拝めるというなら別に構わない。昴は快諾した。
ベッドで服を脱ぎ、お互いに向き合う。緩やかな曲線を描いた白い輪郭。興奮を隠せないまま目で犯すつもりで見つめていると、美月は目をうるませながら昴に目を向けた。その視線に気づいた昴は口を開く。
「始めろよ。今日のオカズ松本だから」
「……うん」
今日の、とは言いつつも最近は専らオカズにしている。
美月は自身の胸を触り始めた。ふくらみの突起は既に腫れ上がっているというのに、そこには当たらないよう周囲をなぞっている。はぁはぁ……と、か弱い息が漏れ出す。目はとろんとして焦点が定まっていない。
「んいッ……あッ、はぁ……んぁッ」
声が大きくなったと思い、指先を見つめる。美月は先端を親指と中指で摘み、人差し指で激しく擦っていた。目を潤ませ、小さな口から涎を垂らしながら自慰にふける姿に、昴は堪らず勃起した。昴のそれに気づいた美月は手を止めてこちらを見つめる。
「おっきくなったね……」
「松本がエロすぎるから……」
手を上下に動かし、淫らに喘ぐ美月を脳内で犯す。目の前では秘部の突起に愛液を塗りつけながら喘いでいる。くちゅくちゅとはしたない音を立てているのに、気持ちよくなることに夢中で指を動かしている。普段からこのようなことをしているのか。そう思うと昴は気持ちが高まる。早く、中に。美月に全てを委ねてしまいたい。
美月を押し倒していた。彼女は驚いた顔をして昴を見つめているが、その目線にも気付かず昴は必死に手を動かした。
「あ、やべ」
美月の腹に精液を撒き散らしたとき、彼女の視線にやっと気づいた。慌ててティッシュを取りに行く。申し訳ない気持ちで胸がいっぱいだ。美月の前ではいつも雄々しい肉棒も、申し訳なさそうに下を向いている。
そんなことを知らない美月は、自身の腹にかかった精子を指ですくい上げ、そのまま口に運ぶ。昴がティッシュを持って来たことに気付くと、微笑みながら首を振った。要らない、ということなのだろうか。念の為ティッシュをベッド横のテーブルに置いたが、使おうとする様子はない。
「ごめん……不味いよな、絶対」
「ん〜?ま、美味しくはないよね〜」
じゃあなんで舐めてるんだ、と言いたい気持ちを堪える。
もしかしたら、という淡い期待を浮かべ、昴はそれをかき消した。美月は昴を利用して性欲を発散しているだけ。そこに恋だの愛だのといった感情はない。精液を舐めているのはきっと、こういうことをしたら昴は興奮するだろうと思っているのだろう。実際その姿は官能的だし、目に焼き付けてオカズにするつもりだ。
昴は抱いてしまった恋心を必死に隠して美月と繋がり続けている。もし、気づかれてしまったら。汚いものを見るような目でこちらを見つめる美月を想像して心臓が冷えた。
「どしたの?出し切って萎えちゃった?」
「ん、いや……」
「元気にしちゃお〜」
昴の言葉を待たず、彼女は肉棒を咥えた。温かい口内に迎えられ、直後ねっとりした舌が裏筋に絡みつく。唾液が潤滑油となり、喉奥まで入ったり出たりを繰り返す。すぐに勃起したが、美月の動きで更に大きくなっていた。
「また出ちゃうから……」
「ん、はーい」
昴の言葉に美月は口から肉棒を外し、敏感になっている先端に口づけをする。じゅる、と先走りの汁も吸い取られた。その勢いで吐精するかと思ったが、ギリギリのところで耐える。
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