第10話
「あつ……」
篠原と橋本が帰宅したことを確認したふたりはカーテンから出た。昴は近くの丸椅子に座り、膝を叩く。それに気付いた美月が膝の上に座った。美月に足を開かせると素直に応じ、ワンピースをたくし上げた。ベビーブルーのショーツには花の刺繍が施されている。
「なんですか〜このシミ?」
「んッ.……」
昴はショーツ越しに美月の花園を指でぐりぐりと押す。花園周辺は美月の愛液でぐっしょり濡れ、大きなシミになっていた。クロッチの部分に指を滑り込ませると、生暖かい湿り気で包まれていた。
「とろっとろじゃん。なんでこんな濡れてんの?」
「ん〜ッ!」
親指で突起を弄びながら質問をしたが、美月は喘ぐだけで答えない。かくかくと腰が前後に揺れている。
「ほーら、喘いでないで答えて」
「あ、えっと……聞いてたら、欲しくなっちゃって、ひとりで……」
「なにが欲しいの?」
「藍田くんの……」
「の、なに?」
「……おち〇ちん、ほしいです」
「よく言えました」
美月を立たせ、濡れたショーツを脱がせる。昴も自身のジーンズと下着を脱ぎ、彼女の欲しがっている肉棒をあらわにした。いつもと違う環境に、お互いいつもより興奮気味だ。
手早くゴムを嵌めた昴は美月の腰を撫で回しながら耳元で囁く。
「自分で入れて?」
「え……」
「欲しいんでしょ?入れられたら俺が突き上げてやるから」
「……うん」
一度立ち上がった美月は昴に向き直り、そのまま跨った。手を肉棒の根元にあてがい、溶けきった花園に嵌め込んだ。肉棒はずぷんと勢いよく入っていき、ふたりはひとつになる。
「お嬢さん軽いねぇ……ちゃんと食べてる?」
「ふッ……、最近暑いからあんまりかな。あはは」
「そっか……」
どうやら夏バテ気味らしい。薄い腹が更に薄くなったように見えたので心配だ。美月はよく昴に色々食べさせてくれるが、最近は自身が食べている姿を見る回数が減ったような気もする。帰りに昴の家へ寄らせて作り置きの食べ物でも持たせようか。彼女の影響で昴も料理に目覚めたのだ。優しい味付けでさっぱりしたものなら食べやすいだろう。
「心配してくれてるの?ありがとね」
汗ばんだ肌を指でそっと拭いながら美月は微笑み礼を言った。柄にもないことをしてしまったような気がして、昴は誤魔化すように背中を撫でながら下着のホックを探した。
「あれ……?」
見つからない。レースのような生地と、その上下に平たいゴムが入っているのは触り心地で確認できたが、肝心の金具が見当たらないのだ。そんな昴を見て美月は目を細め、左の口角だけを器用に上げてへらっと笑った。なにを隠しているのだろう。昴は背中に触れていた手を彼女の頬に移動した。そのまま林檎のように赤く染った頬をもちもちと触り始める。
「なーに隠してんの?」
「ふにゃあ〜」
頬を触られて喋れないぞ、と言いたいらしい。のでとりあえず顔から手を退けた。
すると、美月はおもむろにワンピースのボタンを外し始める。驚きのあまり、昴が咄嗟に目を逸らすと小さく笑う声が聞こえた。
「藍田くん、こっちみ〜て〜?」
「はいはい……ッ!」
フロントホックのブラジャーに上半身を包んだ美月は挑発的な笑みを浮かべている。ショーツとお揃いのベビーブルーのそれには、胸元のリボンの下に金色の金具が付いているのか見えた。肩のストラップもリボンと同じオーガンジー素材で、ふんわりとした生地感だ。存在は知っていたものの、実際に見るのは初めてである。その上まさか美月が持っているとは思っていなかった。
(たしか、あの金具を外せば……)
「……ん、おっきくなった」
「しょうがないだろ……」
胸元の金具を外すだけで全てがさらけ出されてしまう、というかなり挑発的な下着に、当たり前だが興奮していた。昴は体勢を変えず、そのまま下着のホックに手をかける。想像していた通りふたつの膨らみが顕になった。以前つけた痕はもう残っていない。
「あ……んん?」
また胸元に赤い薔薇を咲かせ、ついでに肩から首にかけての部分に噛み跡を残す。今日着ているワンピースなら、襟があるから隠れるだろう。が、他の服を着たら見えてしまうかもしれない。
キスマークをつけるときとは明らかに違う痛みを感じた美月は、ポケットから取り出した小さな手鏡で確認している。そして昴を軽く小突いた。噛まれることは想定外だったらしい。昴は謝りながら美月の腰を持ち、自身の身体を下から突き上げるように動かした。
「あっ、ばかぁ……!」
「これで許して、な?」
「んんんッ!……ふーっ、んーっ!」
喘いでばかりで返事が返ってこない。昴は美月の腰に触れていた手を尻に移動させ、揉みしだきながら腰振りを続ける。美月の尻は上半身の華奢さの割に丸く大きいように思う。上半身に対して下半身、特に腰回りに脂肪がつきやすい体質のようだ。
「あ、そこ、だーめっ!んぅ……ッ!」
そして何より感度がいい。腰を持っていたときより明らかに締まりが良くなったし、自分からよがって腰をぶつけてくる。また感じやすいところが見つかってしまうとは。と言っても最中はどこを触っても嬉しそうだが。
「ごめん、そろそろ……」
イきそうだった。美月はすでに絶頂を何度も迎えているし、昴の体力も残り僅かだ。
美月がうんうん、と首を縦に振って返事をしたのを見、昴は腰の動きを早める。
「んんん……ゔッ……い、く……!」
「……ッ」
今までで一番長い吐精だった。
「あ、シャワーないのか」
「う〜こんな見た目じゃバレバレだよ……」
美月の顔は火照り、目がとろんとしている。多分昴も同じような顔つきだろう。今、誰かに見られたら確実に事後だと思われてしまう、お互いそんな表情だ。周りから見ても、ふたりの関係が男と女であることがわかってしまう。早く帰るべきだろうが、それができない。
「あの〜」
昴が事後処理をしていると、美月が近づきながら声をかけてきた。なにか伝えたいことがあるのだろう。
「ん?どうした」
「……あのね、あのふたりみたいなの……したい」
「……え」
昴に篠原のような罵りを求めている、と考えて間違いなさそうだ。やはりMなのだなと思い、昴は笑った。
「あ、今日じゃない!いつか、いつかね」
美月は慌てながらそう付け加える。流石にこれからまた一回戦するつもりはない。始まる前の緊張やお預けの時間含め、かなり体力を消耗している。
いつかの未来にも、昴と関係を続けていると思っていることが、昴は嬉しかった。
「もちろん、しような」
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