第3話
「……いいよ」
私も欲しい、と微かに聞こえたのは気の所為だろうか。
昴はスーパーで酒やらを買うついでに購入していたコンドームを箱から取り出す。袋からそっと摘み、空気が入らないよう自分のものに装着した。昴が買ったコンドームはかなりの薄さで、生でするのと近い感触だとパッケージに記されていた。自分の指を締め付けていた美月の花園に入れてしまったら、どうなってしまうのだろう。
美月をベッドに押し倒し、足を開かせる。先程からどんどんと溢れている蜜は、昴のものを受け入れる準備が整ったことを示しているみたいだ。美月は顔を赤らめつつも不安そうで、しかしどこか期待した表情を浮かべている。
「痛かったら、言ってくださいよ」
「うん……」
昴は蜜が溢れる美月の花園に自分のものを押し当てた。そのままゆっくり入れると、ずぷ、と中に引き込まれていく。中は狭く熱く、肉棒が溶けてしまいそうだ。
「ふぎゅ……」
「ごめん、痛かった?」
美月が小さく呻いたので昴は動きを止めた。美月は少し考えるふうにして、首を振った。
「んーっと、痛くはないんだけど、体の中が圧迫される感じ?がするから……なんか、びっくりしちゃった」
「痛くないなら良かったっす。もう少しで全部入るんで」
「……うん」
もう少しとは言いつつ、まだ半分ほどしか入っていない。美月の中が気持ち良すぎて我慢の限界が来てしまいそうだった。昴は慎重になりながら、奥へと進める。
花園の入口が、昴の根元と密着した。指では届かなかったところまで届いたようだ。美月の奥がうねうねと締め付けてくる。
「入りました……痛くないっすか?」
「ん……ちょっと痛いかもッ……」
「大丈夫になるまで、動かないので……良くなったら教えてください」
「うん……」
昴も休憩の意を込めて繋がったまま美月を眺める。彼女は痛みに耐えるように呼吸を整えながら額の汗を拭っている。
「動いて……大丈夫だよ」
しばらくすると美月の準備が整った。不安げな表情は消え、期待したような笑みを浮かべている。昴は期待に応えるように彼女の太ももを持った。ゆっくり引き抜いたり押し込んだりを繰り返す。動く度、美月の愛液とふたりの身体がぶつかり合い、ぱちゅっ、ぱちゅっと音を立てる。それに合わせて美月も声を上げた。
「あッ……はぁ……あッ、うぁッ」
少しペースを早めて奥に当てることを意識する。美月は昴にされるがままに喘ぐ。お腹側に当てられるのが特に好きなようで、前戯の時より嬉しそうに鳴いている。
「んぎゅッ……あう……ッあぁぁ……」
一度動きを止め、美月の薄い腹に触れた。彼女はどこを触っても気持ちが良いようで腰がビクッと跳ねる。そんなことはお構いなしに昴は腹をさすりながら美月の左耳に囁く。
「ここまで入ってるよ」
「ひゃああ……ッあ」
更に締め付けが強くなった。本人も自覚があるようで顔を手で隠してしまっている。その顔が見たいので、昴は自分の手と美月の手を絡めるように繋いだ。
「すごい締まりましたね……」
「んッ……繋がってる、とこ見ちゃった、から……あッ、恥ずかしくて……」
「へぇ……」
動くのを止めて話していたので美月が寂しそうに腰を振っている。
「松本さん、腰動いてますね。そんなに気持ちいい?」
「んッ、おちんちん気持ちいい……」
美月の口からそんな言葉を聞くのは初めてだったので、昴は興奮を抑えられなくなった。美月の腰を掴み、激しく腰を振る。驚く美月を他所に肉棒で奥を突いた。
「んぁぁッ!?うぁ、あぁ……ッ」
「ごめん、ちょっと止まんないかも……」
優しくしようと心掛けていたが、これに関しては美月が悪いのだ。昴を制御不能になるようなことを言った美月が。そう言い聞かせて昴は自分の全てを美月に預けるように動く。先程よりも激しい、肉塊がぶつかり合う音と美月の喘ぐ声が部屋に響いた。
「そろそろ、イッちゃうかもッ」
「俺も、我慢できない」
美月に覆い被さるようにすると、彼女は昴の背中に手を回して抱きしめた。そしてまた同じペースで腰を振る。美月の顔を見ると汗と涎でぐちゃぐちゃになっている。自分のもので気持ちよくなって、こんな顔をしているのだ。昴は学校での彼女を思い出し、背徳感で更に興奮する。
(こんなことってあるかよ。腰、止まんねー)
「なんかッ、出ちゃうううッ……!」
「濡らしていいからっ、出して」
昴の言葉に美月は頷く。しばらくすると、ちょろろ……という音と共に昴の鼠径部に暖かいものを感じる。量や色からして尿ではなさそうだ。
美月は何が起こったか分からないという顔をして昴を見つめている。
「あ、あ……?」
「潮吹きしちゃったね。タオル敷いてるから大丈夫」
「うん……うぁぁ恥ずかしい……」
酒で水分を取っていたから出やすかったのだろう。だからと言って初体験で潮吹きさせてしまうは思っていなかったが。恥ずかしさと驚きでいたたまれなくなっている美月を見ると愛おしさで胸がいっぱいになる。美月の頭を撫で、頬にキスをした。
美月の気持ちが落ち着いたようなので再開する。今度は昴の方が限界だ。入れた瞬間、何なら入れる前から射精を我慢していたのでそろそろ出てしまいそうだ。
「あッ、イきそう……ッ」
「俺も出るっ」
何度か腰を動かし、射精の瞬間奥へ突いた。
「イ、くうッ……う、あッあッ……ふあッッ!」
美月の中が痙攣するのを感じながら射精した。精子が美月の中に放たれる。全て出切るのを確認した昴はコンドームを付けた肉棒を美月から引き抜く。美月の愛液で濡れているコンドームの口を縛り、ティッシュに包む。
「や、ばいぃ……イくのとまんないッ……」
美月を見るとまだイっているようで腰が痙攣している。落ち着くのを待ち、水を飲ませた。
「大丈夫っすか?」
「うん……」
昴は自分のものに付いた精液を拭き取ろうとティッシュを取ると、美月が近付いてきた。
「……気持ちよくしてもらったから、その……」
ぱくっと昴のものを口にくわえた。驚く昴を下から覗き込みつつ、丁寧に肉棒を舐めている。
「お掃除フェラ?だっけ」
「お、美味しくないだろ……合ってるけども」
「嫌だった?」
お掃除が終わった美月は昴が先程渡した水を飲んでいる。不味かったのだろう、少し微妙な顔をしている。
「嫌なわけないっす……ありがとうございます」
「また敬語になってるー!」
私には敵わないよね、と嬉しそうに言うのでセックス中を思い出せ、と呟く。すると美月はたちまち顔を赤らめて俯く――と同時に体に付けられたキスマークに気付く。わなわなと震えながら昴を見てくるので笑いながら指摘する。
「後ろにも付いてますよ、それ」
「ちょっと……これ服で……隠れるけど!……後ろ!?」
「多分髪の毛で隠れるんで!」
「本当に?」
疑い深い美月は不安そうな顔で昴をじいっと睨む。
「風呂で確認します?汗も流せるし」
返答を待たずに美月を持ち上げ風呂へ向かう。脱衣の必要はないのでタオルだけ用意して浴室に入り風呂を沸かした。
「あ、明るい……」
「消せないっすねえ。」
「ぐぬ……」
「今更もう見られてるんだから、遅いっすよ」
もっと恥ずかしいことをしてるんだしと付け加えると美月は渋々頷く。
美月の髪の毛や体を満遍なく洗い終えると、丁度風呂が沸いた。洗い場は狭いから、と言って美月を湯船に浸からせる。
「あぁぁ……」
「どうしました?」
昴が髪の毛を洗っていると、美月が定期的にため息をついている。多分、聞いてほしいことでもあるのだろうと考えて声をかけた。
「いやぁ……シちゃったなぁって」
「……後悔してる?」
「それはないよっ!」
昴が美月の方を向くと、首をぶんぶんと振っている。こんな男で……と思われていないことに昴は安心した。
「藍田くんでよかったよ」
「……二回戦目がご所望で?」
ふざけて聞くと、頭をはたかれてしまった。
「……でも、またシてほしいなーって」
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