まずこのタイトルの力強さにひかれてしまい、飛び込んだが運の尽き。
私自身も、まさしく作中の亀の如く物語の内に閉じ込められてしまったのです。
描かれていたのは亀。そして鳥。
彼等はそれぞれ違う形で閉塞の中に落ち、そこに適応し、やがて解き放たれます。
その先に待っているのは、明らかなる死でした。
生命にとって、自由と死は隣り合わせです。
飼いならされた小さな世界に、ささやかな安全と引き換えの安息を得るのもまた人生でしょうが、彼等はいやだと飛び立ちます。
いや、もしかしたら、それすらも状況に流された結果だったのかも知れない。
受動と能動の狭間で、彼等が見た景色とは一体なんだったのか。
きらと瞬くような、どきりとさせられる言語表現が、あちらこちらに散りばめられていて、ずっと心躍らされました。