オバチャン集団、依頼を受ける

ギルドマスターとリュカの間でどんな話がされたのかは不明だ。

そして今、ワタシ達は依頼を受けるべく掲示板の前に立っている。初心者ランクなので受けられる依頼は少ない。話し合った結果、近所のお宅で草むしりをすることに決めた。

郊外にあるお宅で、お年を召してから庭の管理が難しくなったのだそう。草むしりはワタシが、魔法でどうにでも出来るので、他のメンバーは別の仕事をしている。サティとアーヤは使わなくなったモノの片付けや壊れた箇所の修繕。シラユキはご夫婦の健康相談と治療だ。


作業を終えると、「とても楽しい時間だったわ、ありがとうねぇ」と、とても感謝してくれた。


「冒険者って案外地味なんだね〜。もっと、魔物ぶっ倒したり宝箱開けまくるのかと思ってたわ」

「そりゃ、まだ駆け出しだもの。どんな仕事でも最初は地味よ〜。そこでどれだけ頑張れるかで周りの評価も変わるのよね」

「そうそう。自分は完璧に出来る!って何故か思い込んでる子いるけど、イキナリ大きな仕事やらせるわけないのよね。その子のやる仕事への信頼度はゼロなんだもの。口だけなら何とでも言えるし、自分の主観や学校のテストが完璧でも世間では通用しない事も多いのよ」

「そりゃそうか。ウチも雑誌も読んでたし親父や自分のバイクをイジってたから整備もラクショーとか思ってたけど、全然通用しなくて凹んだもんな。どこも一緒って事か〜」


たまには真面目な話もするのだ。たまーに。


『さて、あとは依頼完了の報告をするだけです。この後は自由行動になりますが、ご予定はございますか?』

「うーん、ギルドカードを入れるケースが欲しいから雑貨店覗きたいよね」

「ウチはタバコ買いにいきたい」

「喉乾いちゃった。なにか飲みたいわぁ」

「私もお店覗きに行きたいわ。下着の替えが欲しくて」


『わかりました。それでは明日からの予定は宿へ戻ってからご説明しますね。宿へ戻られましたら、アプリの《案内人呼出》を押して下さい。それでは、私は一旦戻らせていただきます』

「はーい、案内ありがとうね」


リュカの身体がフワッとした光に包まれて、精霊樹の方へ飛んでいった。

冒険者ギルドで完了の手続きをして屋台村へ向かった。

それぞれ見たいものが違うので、一旦解散。

まずは雑貨店を目指す。何件か覗いた結果、服の下に入れても邪魔にならなさそうな革のカードケースを見つけた。そういえば錬金術のスキルを使ってない事に気付いたので、このケースを元にして何か便利機能を付けてみようかな。

錬金術は魔力を使って素材を変形・変質させて様々なものを作り上げる。創造魔法と組み合わせれば素材が無くても作れてしまうから、迂闊に知られると面倒な予感しかしない。

ちなみに、アーヤの魔導具知識とは、初見の魔導具の仕組みや機能を知ることが出来る、魔導具に対する鑑定能力である。


作るものを考えつつ魔導具店に立ち寄って、材料を買込み宿へ戻った。

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