オバチャン集団、ギルド長に捕まる

書類を提出して冒険者登録完了!

…かと思いきや、なにやらまだ手続きが残っているらしい。


「登録書類を確認しました。記入漏れは無いようですのでギルドカードの発行をいたします。このカードは身分証になりますので、肌見放さずお持ち下さい。雑貨店にギルドカード用のケースが売っていますから、ご購入をオススメします。

では、こちらの魔道具に手のひらを乗せて少しだけ魔力を流して下さい。この魔導具は登録に必要な情報を鑑定するもので一切の偽装は出来ません。真名は見れないようになってますのでご安心下さい」


そう言うと、四本脚の台に水晶玉のようなものが乗った道具が出てきた。1人ずつ手を乗せていく。

なんか受付嬢の顔がおかしな事になってるな…?ワタシの時にいたっては白目まで剥いていた。


「こ、これで登録は完了です。これから内容を精査してカードの発行をしますので、あちらにて初心者向け講習をお受け下さい」

『では、みなさん行きましょう〜』


初心者講習は、冒険者ランクの説明や依頼の受け方。野営の仕方やマナーとペナルティ等の内容だった。冒険者の手引にも書いてある内容なので、ここで覚えきれなくても大丈夫だろう。


2時間ほどの講習を受けて、部屋から出ると受付嬢が手招きをしていた。


「ギルドカードをお渡ししますので、こちらの階段を登って突き当りのお部屋へ移動をお願いします。」

「やっとかぁ〜、めっちゃ腹減ったよ〜」

「まぁまぁ、カードを受け取ったらご飯にしましょ」

「ね、アタシ言ってみたいお店あるのよ〜」

「えー?いつの間見つけてたの?」

「昨日屋台村で…」

「ほら、部屋に入るよ!」


トントンとノックをすると野太い声で「どうぞ」と聞こえた。


「失礼します」


そう言って部屋の中に入ると、正面には大きな机と椅子に座る大柄の男性。

中央にソファとテーブルが置いてあった。貴族の執務室?みたいな雰囲気だ。ギルドのエラい人のようだ。鑑定してみると、ギルドマスターと書かれていた。なるほど、この人が一番偉い人なのか。


「あー、とりあえずソコに座ってくれるか?」

「えーと、アタシ達カード貰うだけよね?」

「何かしら?嫌だわ、院長センセのお部屋みたいね」

「えー、アタシ校長に呼ばれた時みたいだと思った!あれはマジたいへんだった…」

「やだ、アーヤちゃん何したの?」

「いやー、ワザとじゃないんだけど集会中に校長のカツラ飛ばしちゃってさー」

「ヤダ!あのセンセ、カツラだったの?!」

「そうなんだよ〜。校長室でさ、カツラ握りしめてめっちゃ赤くなってんの!マジゆでダコみたいで嗤うの堪えるのが大変だったんだよね〜(笑)」

「やだ!想像しちゃったじゃない!あのセンセ、丸いからね〜」

「やだぁ(笑)私あの先生にたまに会うのよ?次見た時に笑っちゃったらどうするのよ〜!」


あっはっはっはー!

と笑ってる3人をギルドマスターが呆れた顔して見ている。まぁ、そうなるよね。いつもの事なんだ、ごめんね。


「えーと、カード出来たんですかね?」

「あっ、あぁ。カードは出来たんだが…ちょっとお前さんに聞きたいことがあってな。なに、登録内容の確認ってとこだ」

「はぁ、何か問題でもありました?」

「問題というか、何と言うか…まずはコレに手をおいてもらえんか?」


そう言うと先程の魔導具より豪華な装飾のモノを出してきた。言われるままに手を乗せる。ほんのり光る魔導具を見て、ギルドマスターが唸っていた。


「うーむ…いや…うーむ」

「あの…?」

「お前さん、さっき何かやったか?」

「いえ、特に思いつかないけど…」

「んー?そうか。まぁ、特に問題も無さそうだからいいか…」

「えーと、ご用件はそれだけ?」

「あっ、いやお前達のステータスについてだ」

『あっ、加護と称号のコトについて聞きたいのですね〜?それならワタシがお答えします〜』


そう言って、リュカとギルドマスターが話し始める。他のメンバーは…お菓子を出して完全に寛いでいた。

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