オバチャン集団、異世界へ放り出される

周りからザワザワと喧騒が聞こえる。目的地に着いたのだろうか?何だか身体がフワフワしていて自分が自分じゃないみたいだ。

目を開けると…異国の街並みに古い時代の洋服を着た人たちが歩いている。


「えっ?」


思わず声が出た。どうやら木陰で座り込んでいるらしい。背中に木の感触があり、見上げると葉っぱがユラユラと風に揺れていた。

周りを見ると、3人の女性が眠っている。どこかで見た気がするんたけど…と、思っていると3人とも目を覚ました。


「あーーー、良く寝た!夜勤明けだったからグッスリ寝ちゃったわ〜。って、あら?ここ何処?」

「あらやだ。いつの間に車から降りたのかしら?」

「んーーーーっ身体バキバキ…あれ?ここドコ?えっ、ダレ?」

「えっ?もしかして、アヤちゃん?!佐藤さんに、高橋さんも…あっ、これさっきのアバターだわ?!ソウガミさんは?!車もないし、何が起きてるんだか…」


とりあえず状況を整理しようということで、4人で輪になって座る。


「まずは持ち物の確認ね。」


それぞれ革のリュックを持っていたので、中身を確認していく。スマホ・タオル・メディカルキット・裁縫セット・薬類は自分で入れたままのモノが入っていた。その他に、入れた覚えのない服が数着。下着も数着。ガイドブック・本が数冊・小銭がジャラジャラ入った革袋・コップとお皿・カトラリーセット・果物ナイフ・マント・寝袋・テント・敷物・メスティン大小・各種調味料だ。

皆の袋も似たような中身になっている。思った以上に入っていて驚いた。これってもしや、マジックバッグというやつでは…?


「ねー、スマホになんかメッセきてるよ」


アヤちゃんがスマホを操作してる。それぞれ、スマホでメッセージを確認してみた。


《本日はファンタジーツアーのご利用ありがとうございます。これより皆様は、異世界にて旅をします。旅の目的は道中で明かされます。

本日は自由行動とし、明日からは案内人が皆様をご案内いたします。

◆所持品について

皆さんの所持品は異世界旅行向けにカスタマイズされています。また、皆様のお姿はご出発時に設定して頂いたアバターが元になっております。

まずは冒険者の手引をご覧いただき、お買い物をお楽しみ下さい。尚、所持金はすべて異世界貨幣になっています。旅の途中で補填されますのでご安心下さい。

それでは、良い一日を!》


な、な、な、な、なんじゃこりゃーーーーー


皆も困惑顔だ。いや、アヤチャンは流石のタバコ休憩をしてる。元ヤン、っょぃ。


「と、とりあえず、なんか食べよっか」


誰かのお腹がグーと鳴った。

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