海動く
松木 夜鷹
二十句連作
一月七日、熱帯魚も仕事
水仙や懺悔と告解との違ひ
クレープの焼ける匂ひや残る雪
花韮のうなじに雨のふることよ
寒戻る投函口に鉄の蓋
積ん読の塔を揺るがし地虫出づ
この街は中央分離帯に薔薇
駐車場は「くるまのおうち」薔薇に雨
電柱に仙人掌くくりつけてあり
黒揚羽魔球のやうに寄りてくる
平仮名で書けばいうれい涼しげに
陸橋の上を雀と夕立と
私書箱に顔近づけてゐて涼し
台風圏ボトルのふたを右回し
梨ばかり詰まつてゐたる野菜室
金風に乗りてココアの香の届く
干す物の万国旗めく冬日和
十二月三日の音のでる積木
塗る前のぬり絵のやうな兎かな
冬雲のぶ厚き下に海動く
海動く 松木 夜鷹 @y-matsuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます