第18話 妹との休日
合宿は無事終わり、僕たちはそれぞれの家に帰った。
ただいま〜と家の扉を開けると、妹が二階からとんでもないスピードで降りてきた。
「お兄ちゃんだ!!!おかえりのハグ!!」
ぎゅっと真希を抱きしめた。
「ただいま、真希。」
「とりあえず手洗いうがいしてね、後で話聞かせて!晩御飯は準備できてるから〜」
やることを済ませてリビングに戻ると真希が笑顔で待っていた。
「本当にありがとうな、真希。僕がいない間一人で大丈夫だったか?」
「なんともなかったよ、寂しかったけどね。帰りは友達がついてきてくれたし。」
「そうか。不安があったらなんでも僕に言うんだぞ。」
「うん…」
真希が少し悲しそうな顔をした。でもすぐに笑顔を取り戻した。うん、そっちの方が似合ってるよ。気にはなったけど…聞かれたくないこともあるのだろう。僕は真希が話してくれるのを待つだけだ。
「それで?お兄ちゃん早く合宿のお話聞かせて!」
「あ、あぁそうだったな。実はな…」
それから僕は二日目に行われた体育祭の話をした。真希はとても楽しそうに聞いていた。
「真希も来年はいけるからな。楽しみにしとけよ。」
「じゃ、じゃあさ!その時はまた電話しよ!」
「お、いいな。そうしようか。」
「うん!じゃあ指切りしよ〜」
「はいはい。」
それから数時間後、急激に眠気が襲ってきたので、僕はリビングでくつろぐ真希に伝えて先に寝ることにした。ベッドに寝転ぶと、合宿での出来事がいくつも思い出された。それから僕は眠りについた。
それから何分たったろうか。
コン、コン、コン。と部屋のドアをノックする音がした。
「入っていいぞ、真希。」
そう言うと、枕を抱えた真希がトテトテと僕の方に歩いてきた。
「お兄ちゃん、一緒に寝てもいい?」
「うん、おいで。」
真希は僕のベッドに入って抱きついてきた。こんな感じで寝るのはいつかの雷ラッシュ以来だろうか。まぁかわいい妹だし、兄として信頼されてるのは嬉しいことだ。いつ真希のブラコンは治るのか…
「真希、おやすみぃ…」
僕は真希の温もりに包まれたまま、意識を手放した。
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チュンチュン…チュンチュン…
「う……朝か…」
昨日は全然寝れなかった…とりあえず着替えなきゃ…ってあれ?動けない。
「お兄…ちゃ…むにゃ」
ぐぅ!真希がまだ抱きついてた!
「真希〜そろそろ起きたいから僕を解放してくれよ。」
「お兄ちゃん…離れちゃイヤ…」
くそっ、かわいいなぁ本当に。あ、前に言った通りこれはシスコンではないぞ、家族愛だ。断じて。まぁ休日だし、許すか。あ、やばい。寝られなかった反動か、僕も眠気が………
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次に起きた時はもう昼になっていた。ベッドにいたはずの真希はいなかったので、着替えてからリビングへ向かった。
「あ、お兄ちゃん。おはよ〜」
「ごめん、遅くなったわ。」
「お兄ちゃん疲れてたでしょ?好きなだけ寝かせてあげようと思って。」
真希に抱きつかれていることを意識しすぎて、あんまり寝られなかったとは言えない。
「そうか、ありがとうな。」
「今日は一日ぐうたらしとこーね。」
「そうだな。僕もなんかゴロゴロしたい気分だ。」
それから僕たちは目一杯ぐうたらな休日を過ごした。全て忘れてぐうたらするのは罪悪感が湧いたけど、これはこれで楽しかったので良しとしよう。
夜九時。真希とゲームをしているとメッセージが来た。どれどれ…
可恋「明日この映画見に行こうと思ってるんだけど、来ない?」
市川さんからだった。多分他数名は来るだろう。真希には悪いけど、行かせてもらおうかな。
「真希〜僕は明日映画を見に行くことになったんだけど留守番頼んでもいいか?」
「はーい!廉也くんといくのー?」
「いや、わからないけどメッセージは市川さんからだった。多分数人で行く。」
真希の顔がムッとなった。
「可恋ちゃんに変なことしないでよ?そんなことしたら私がすぐに行くからね。」
「変なことなんてしないよ。」
とりあえずメッセージ送らないと。
綾人「了解です。僕も行きます。」
すぐに既読がついた。
可恋「やったー!じゃあ十時に駅前集合ね!」
綾人「楽しみにしてます〜」
可恋「グッド!(犬のスタンプ)」
それじゃ明日のこともあるし今日は早めに寝るか。廉也達も楽しみにしてるだろうしな。遅刻したら最悪だ。
「真希、明日のことがあるし今日は早く寝るね。」
「わかった〜おやすみ、お兄ちゃん。」
「おやすみ、真希。」
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綾人が寝た後のこと。真希は自室に戻って可恋とやりとりをしていた。
真希「可恋ちゃん、明日お兄ちゃん達と映画見に行くんだってね?」
可恋「うん!だけど『お兄ちゃん達』じゃなくて『お兄ちゃん』だけだよー」
真希は絶望的な兄の勘違いに頭を抱えたが、それはそれで面白いので、あえて何も言わないことにした。
真希「そうだったねーお兄ちゃんをよろしくね、可恋ちゃん」
可恋「まっかしといて〜」
その後、真希はある人物に連絡を取っていた。
真希「実はお兄ちゃんが……」
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