第6話 放課後のアイスクリーム
委員会決めをした日の帰り道、僕は市川さん逹と学校近くのアイスクリーム屋さんでアイスを食べていた。
「可恋ちゃん、残念だったね。」
「うん…まさか西宮さんがやるとは思わなかったな。本とか興味なさそうだったし。」
「市川さん…なんか申し訳ない。とっても図書委員をやりたかったのは僕も知ってる。僕、市川さんの分まで頑張るから。安心してほしいな。」
「えっと、まぁとてもやりたかったのはそうなんだけど……そうじゃないというか、なんというか…」
「市川さん、綾人は純いから。」
グサっ。廉也、今のはだいぶ心にきたぞ。
「廉也の言う通りだ。僕は運動音痴だしね。」
「ホラ。」
廉也は何を笑っているんだ?美奈ちゃんもウンウン、とうなずいている。市川さんは頰を赤らめてうつむいている。
「ん、このチョコミントうまいな。美奈食べてみるか?」
「じゃあもらっちゃおっかな〜」
「はい、あ〜ん「あ〜ん」」
「うん!美味しい!ありがと廉ちゃん。」
「おうよ。」
やっぱりチョコミントいいよね。僕と廉也はお気に入りだからいっつも頼んでるなぁ。
「ふ、二越きゅん!」
「どうしたの?市川さん。」
この際市川さんが盛大に噛んでいたことは問わないでおこう。そんなことしたらジト目で見られそうだ。人をからかうようなキャラでも無いし。
「わ、わたしもあ〜んしたいなって。ダメ、かな?」
「ぶふっ!」 危ない!危うく口に入れたアイス砲が発射されるところだった。
「やっぱり、ダメだよね…」
「そ、そんなことないよ。ただ突然だったから驚いただけだよ。」
「ほんと?」
市川さんがつぶらな瞳で見つめてくる。
「うん。ほんとだよ。」
「それでは、あ、あ〜ん「あ〜ん」」
差し出されたアイスの乗ったスプーンにかぶりつく。美少女からあ〜んされてしまった。圧倒的至福!!!
「ど、どうかな二越くん?」
「市川さんが食べさせてくれたからより美味しいよ。」
「わ、わたしだから?」
「ん?そうだけど。」
そう言った瞬間市川さんの顔が真っ赤になった。体調悪いのかな。早めに家に帰したほうがいいか。
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「ただいま〜」
「お兄ちゃん!おかえり〜今日はちょっと遅かったね。どっか寄ってたの?」
帰宅すると真希が玄関まで出迎えてくれた。
「あ、連絡するの忘れてた。ごめんね真希。廉也達とアイス食べてたんだ。」
「いいなぁ〜学校帰りのアイス〜」
「真希もうちの高校来たら帰りに食べれるよ。」
「うん!お兄ちゃんと学校帰りにアイス食べる!」
「きっとみんなも喜ぶよ。」
アイスクリームに胸を躍らせた真希は、晩ご飯を作るためにキッチンへ向かっていった。さて、洗濯物を取り入れに行かないと。
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夜、真希の部屋にて。
真希「今日お兄ちゃん達とアイスクリーム行ったんでしょ?どうだった?」
可恋「そうだよ!二越くんにあ〜んしちゃった!!」
真希「可恋ちゃん…意外とやり手なのね。」
可恋「それでねそれでね、二越くんが……」
真希はその後の言葉を聞いて確信した。兄は確実に鈍く、無自覚だということ。これは可恋の先が思いやられる…と。だが、真希はそれ以上にこのままでいいのではないかと思ってしまう自分の気持ちに必死に蓋をしていた。
「わたしも可恋ちゃんの立場が羨ましいよ…だって、私は…」
彼女もまた悩める少女の一人であった。その想いは止むことなく。
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『ピコン!』 メッセージが来た。
「あ、西宮さんからだ。なになに…明日は図書委員の集まりあるから忘れないでネ、か。」
朝のHRは寝ていたから、園井先生がなんで言ってたか忘れてたな…西宮さんが起こさないでいてくれたのか。明日朝あったらお礼を言わないと。
「了解です。教えてくれてありがとう。また明日。っと。」
akane「ん、じゃあまた明日ネ。おやすみ、綾人クン」
綾人「おやすみなさい。」
すぐに睡魔が襲ってきて、抗う力もなく綾人は深い眠りへとついた。
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