第5話 委員会決め ②
委員会決めが始まる前、僕は西宮さんに聞いてみた。
「西宮さんは委員会何に入るか決めてるの?」
「うち?ん〜綾人クンと同じとこかな。」
「え、僕!?」
大きな声が出てしまった。でも、なんで僕!?まさか、これを機にパシられたりしないよね?西宮さん優しそうだし、きっと大丈夫だ、うん。もしかしたら友達の少ない僕を心配してくれているのかな。いや、勘違いは軋轢を生むからダメだ。二越よ、素直に感謝すべきだ。
「驚いた?うち、綾人クンに興味湧いちゃったからさ〜」
ニカっと笑った西宮さんに、ドキッとしてしまった。やっぱり美少女で可愛いんだな、と。
「あ、ありがとう。ちなみに僕は図書委員にしようと思ってるよ。」
「ん、なんとなくわかってたよ。暇な時、本読んでたじゃん。」
たったそれだけで…とは思わない。入学初日なんて、新たな友達と親交を深める時間なのだから。そんな時間に本を読んでるのは、よほどの本好きか、人との関わりを避けている人だけである。僕は前者だった。
ガラガラガラガラ。あ、先生入ってきた。
「一限を始めます。まずは自己紹介から始めていくよー!じゃあ出席番号一番の……」
自己紹介は困難なく終わった。明るくて元気な人ばかりだったので、学校行事は盛り上がりそうだ。続いて委員会決めになった。学級委員はなかなか決まらないだろうと思っていたが、一人の少女が手を挙げた。
「先生。私学級委員を志望します。」
「あら、恩田さん。ありがとうね。他に立候補する人はいるかしら?」
暫し沈黙が起きた。
「では、学級委員は恩田さんにお願いしますね。」
パチパチパチパチ、と拍手が響いた。これで他の委員会も決めることができる。恩田さんには感謝しなきゃね。
それから恩田さんが中心となって、各々の委員会が決まっていった。そしてついに…
「次に、図書委員を志望する方は挙手をお願いします。」
サッと手を挙げた。周りは…西宮さん、市川さん。それと遅れてもう一人の男子が手を挙げた。
「挙手ありがとうございます。では、残りの委員会がもう一つということですので、くじ引きで決めましょう。くじが外れたお二方がそちらに入っていただくということでよろしいでしょうか?」
僕たち四人は恩田さんの提案に賛成した。しばらくして、先生が作ってくれた割り箸のくじを引くことになった。
「じゃあ四人ともせ一のでよろしくね。恨みっこはなしよ。」
「はい、先生。そんじゃ行くよー。」
「「「「せーのっ!」」」」
ぼくの掴んだ割り箸は……先端が赤色!当たりだ!
市川さんは、落ち込んでいる。ハズレか。ということは、西宮さんかあの男子だが…?
「やった!ウチも当たり!綾人クン、委員会でもよろしく!」
「うん!よろしくね。」
あの男子も落ちこんでいるか…と思ったらむしろ喜んでいた。なんで?
市川さんは美奈ちゃんに慰められている。よほど図書委員になりたかったんだろう。市川さんのためにもぬかりなく仕事を全うしよう。 そう強く心に誓った。
そんなこんなでクラス決めは終了した。
このことが大きく運命を左右するとは知らずに。
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