第3話 JKギャルと美人先生
入学式が終わって、僕たちはクラスに戻ってきた。市川さんと美奈ちゃんはさっそくクラスの女子と会話に花を咲かせていた。
「そんじゃ綾人、俺は前の席のやつと喋っとくから。」
「うん、また後でね。」
そうして廉也は僕に手を軽く振っていってしまった。とりあえず僕は席に着いた。ぼーっとしていようか…どうせ誰も話しかけてこないだろうし…あぁでもやっぱり友達は作っとかないときついかなぁ。簡単ではないのはわかっているけど…
「…ーぃ、おーい!聞こえてますかー?」
「ぅ、うわっ!?」
しまった。考え事をしていて隣からの声に全く気づかなかった!
「うちこんなカッコだけど、ビビらんでええよ。」
そう言い放った彼女は、メイク越しに伝わる美形を持ち、金髪に短いスカート、紫のネイルをしていた。一言で言えば、ギャル。ここの高校は割と自由な校則なので、メイクやネイルは許されている。もちろん、派手すぎるのはアウトだが。
隣の先ということは…確か…西宮さんか。
「うち、西宮茜っていうからヨロシクネ〜」
「ぼ、僕は二越綾人。よろしくお願いします。」
「おけまる、綾人クン!隣やし、早いとこ連絡先交換しとこ。」
いきなり名前呼びだと!?さすがギャル、コミュ力の塊と言ったところか。
西宮さんはサッとスマホを操作して、僕と連絡先を交換した。高校で初めての連絡先交換、思ったよりも早かった。
ガラガラガラガラ。と、教室の戸が開いた。
「はーい、みんな席着いてね〜」
入ってきたのは先生と思しき人。美奈ちゃんと同じ茶髪で、美人なお姉さんという印象だ。
「はい、それじゃHR始めますね。」
そう言って先生は笑顔で言った。
「一年三組の担任を持つことになりました、園井 沙耶香です。みんな、仲良くしてね〜」
その瞬間、数名の男子から歓声が上がった。
「うぉ〜!かわいいー!」
「美人先生とか勝ち確だろ!?」
「結婚してくれー!」
入学初日だというのに、全くためらいがないな。でも、彼らのおかげでクラスが盛り上がりそうだからありがたいものだ。
「今日は既にみんなの机の上にある教材を持って帰ってもらうだけなので、HRはこれで終わります。明日はクラスの子を知るために、自己紹介をしようと思ってます。苦手な子がいたら後で先生に教えてね。じゃあ、以上です。明日みんなが元気に登校するのを待ってます!」
そして、緊張の一日は終わった。
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帰り道にて…
「そういえば綾くん、西宮さんどんな人だった?」
突然、美奈ちゃんがそんなことを聞いてきた。
「そうだな…ギャルだったよ。でも、とっても優しい人だったよ。」
連絡先も交換したし、とは言わなかった。別にいう必要もないし。
「綾人、変なことされそうになったら遠慮なく相談しろよ?」
「ありがとう、廉也。多分大丈夫だよ。」
「柳原くんは、お隣さんいないみたいだったけど、周りの席の子とはどう?」
市川さんが聞いた。
「あぁ!それならバッチリだぜ。バスケの話で盛り上がってたからな。」
さすが廉也。圧倒的陽キャポジを確立して、全面に活かそうとしている。
「可恋ちゃんと私も何人かの子と繋がれたしよかったね〜」
「そうだね〜結構グイグイ来る子もいたけど。」
まぁ二人は美少女だからな。お友達になることにまず損はない、とは言い切れないがメリットがありまくりだろう。そんな考えで近づいるのではない、そう信じたい。
「じゃあ、俺らこっちだから。二人ともまた明日。」
「うん、また明日。廉也、美奈ちゃん。」
少し歩いて振り返ると、廉也が手を振っていた。僕も振り返してから市川さんと並んで歩いた。
「ねぇ、二越くん。西宮さんとは連絡先交換したの?」
「…ふぇ?」
市川さんの言葉があまりにも唐突すぎて、変な返事になった。
「う、うん。交換したよ。それがどうかしたの?」
「あ、いや、別にね?その西宮さんって子はフレンドリーなんだなぁって、それだけ。」
「そうだね、今まであの感じの人と関わったことないから楽しみだな。」
そう言うと、市川さんは少し苦しそうな顔をした。…なんかよくないこと言っちゃったかな?
「それじゃあね、バイバイ二越くん、また明日。」
気づけば家の近くだった。
「うん、また明日。市川さん。」
その時、少し強めの風が吹いた。まるで、なにかを僕に伝えるように。
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