第2話 春の予感

僕たち四人が学校につくと、すでに人だかりができていた。クラス分けのボード前では、友達と同じクラスになって歓喜するもの、逆にクラスが離れて嘆くものでいっぱいだった。


「綾人〜早く見にいこーぜ。」


「はいはい、ちょっと待ってよ。」


「二越くん、私も〜」


「三人とも、はぐれるからもう少し落ち着きなさいよ〜」


そうして四人でボードに近づいていくと、


「おい!あれ見ろよ!美少女が二人もいるぞ!」


「うわ〜めっちゃかわいいな!俺は黒髪の子がタイプだなぁ」


「いや、茶髪の子だろ!庇護欲を掻き立てられる〜」


やはり二人は容姿ゆえ目立ちやすいのか、視線が絶えない。一方では、


「あの長身の子めっちゃイケメンじゃない?」


「わかる〜?でも、もう先客がいるのかな?」


「あのイケメンと同じクラスがいいなぁ〜」


とまぁこんな感じで廉人も凄まじい。これは凄いことになりそうな予感がする。そんな中で僕はというと…


「あいつあの三人のグループに入ってるのか?」


「ぶっちゃけ釣り合ってないよね…」


「引き立て役にはなってるんじゃね?w」


あーはい…わかってましたよ…でも、同じ男なのにここまで差があると虚しいな。まぁ中学でもそんな感じだったかな?そんなこと言う人はいなかったけど。そんなことを考えていると、


「おっしゃぁ!!!!!!!!」 


廉也だ。


「綾人!皆んな同じクラスだったぜ!」


「ほんとか!?よかった〜」


これで一年は安泰だろう。クラスで孤立することもない。


「綾くんのお友達は大方別の高校に行っちゃったからね。でも、心機一転だね。」


「う、うん。頑張ってみるよ。」


「二越くん、私もいるから安心してね?」


「ありがとう、二人とも」


市川さんはふふっと嬉しそうに笑った。


「おーい、三人とも!早く三組にいこーぜ!」


「もう、廉ちゃんはせっかちなんだから。」


「僕たちも行こうか?市川さん。」


「うん!楽しみだなぁ。」


—————————————————————



僕たちが教室に着くと、席を確認して荷物を整理し、体育館へ集合と黒板に指示があったので、さっさと体育館に向かった。

体育館に行く最中、


「綾人、俺はまた隣無しだぁ」


「廉也はいつも最後だからなぁ」


「じゃあ集まる時は廉ちゃんの席だね。綾くんお隣さんは?」


「確か西宮って人だったような…多分女の子だよ。」


「ふぇ!?お、女の子?」


「どうかした?市川さん。」


「え!いや、そのなんでもないよーあはは…」


市川さん様子がおかしかったけど、本人がそう言うなら追求しないほうがいいか…


「ついたな。」 廉也が言った。


体育館には多くの保護者、来賓、生徒が多くいた。今から僕もここの学校の一員だ…!


—————————————————————



入学式が始まって数十分、校長の長い話や来賓の祝辞を聞き流していた。廉也はとっくに夢の世界に入っているのが見えた。早く終わらないかなあーと考えていたら、新入生代表の言葉があった。どうせ僕には関係ない…と割り切っていたが、なぜか最後の一瞬だけ鮮明に聞こえた。


「………………以上、新入生代表、倉持玲央」


降壇しているのがチラッと見えた。かなりのイケメンだ…代表ということは首席で入ったんだろう。イケメンに秀才かぁ…これまたすごいことになりそうだ。


そうして、入学式は幕を閉じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る