イモリ四兄妹の、主人への主張

DITinoue(上楽竜文)

イモリ四兄妹の、主人への主張

 四兄妹 模様でこちらは 分かるけど 主人以外は 判別不能


 お前誰 お前は誰やと 言ふてれば 君らはイモリや 少年の声


 生きとるか 目を閉じ動かぬ イモちゃんよ 叩けな目を開け 怒りの表情 


 一輪車 水をかいても 遮られ もがく私に 憐れむ眼差し


 イトミミズ いつものパック 手に持てば よっしゃ来たかと ガラスに吸い付く


 イモ団子 寒くはないが イモ団子 視線の先にゃ 俺らのディナー


 こら無理や 主人は言ふけど 食えるはず 九十度でも アゴは健在


 大物や パックリ食えば 引きあがり その餌の先には ごつい上腕


 噛み合いに 仏の顔も 三度まで 一匹持ち上げ メシ無しの脅し


 しゃぶりつけ 秘密のおやつ 脱皮殻 主人の微笑み 知らずにムシャムシャ


 ハゼドジョウ 一時の友よ 恋しいか やはりというか 膨れた腹よ


 エサ食って お腹いっぱい 目を結び 大口開けて 大泡吐き出す


 布袋さん 水辺を微笑み 見ていれば このデブなんやろ イモリに小判


 階段で イモリレースを始めれば イモの子散らし 全員棄権


 壁登り 野生の記憶 とは違い なぜに行けない 先の黒屋根


 あと一歩 もうあと一歩で 行けるのに 滑るガラスと 小突く奴らが


 ホレホレと 頭でつつき 登らせぬ 結局我ら 踏み台となる


 ホイホイと いってらっしゃい 懸命に 小さな目と手に 見とれて遅刻


 ぼくのやもん 幼子の声 聞こえれば オレのメシやし 水面みなもの噛み合い


 紫は 体に浮き出る 男気よ イモリの青春 さあスタートか

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イモリ四兄妹の、主人への主張 DITinoue(上楽竜文) @ditinoue555

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