外伝2〜バレンタイン〜
《彩乙葉視点》
「ね〜涼、手伝ってほしい事があるんだけどお願いしていい?」
「内容によるけどいいわよ。で何をすれば良いのかしら?」
涼は頼み事を軽く受けすぎなのよね。私も涼の優しさに甘えて頼み事しちゃうから言えた口では無いんだけど...
「もうすぐバレンタインじゃない?今年は穂乃果に作ってあげようかなって思ったんだけど......ほら、私って料理出来ないじゃん?ちょっと、教えてほしくて」
「そんなことなら全然手伝うわよ。いつぐらいが良いかしら?」
「今年は、直前に三連休あるからそこでいい?」
「わかったわ。材料はこっちで用意するから場所はあなた達の家でいいわね」
「ありがと〜!それじゃあまた来週よろしくお願いします」
・・・正直、何を準備すればいいのか分からないから材料を持ってきてくれるのは凄く助かる。
私の料理の腕前を簡単に表すと『火を使えばダークマター、包丁持てば指切れる』
みたいな感じだ。・・・流石にそこまで酷くは無いと思っているけど
*
三連休に入り、約束した日がやってきた
「今回私たちが作るのはバームクーヘンです。調べてみてあなたたちに合ってると思ったからこれにしたわ」
「バームクーヘンって作るの難しいイメージがあるんだけど私でも作れるの?」
「作るのはそんなに難しくはないわよ。実は基本的な家庭にあるものだけで作れるのよ」
「ヘぇ〜そうなんだ。それなら出来る気してきた!」
「その意気よ。生地はホットケーキ作る時に使う魔法の粉を使うのだけど混ぜてくださる?」
「うん。ここにあるやつ全部入れちゃってもいいの?」
「え〜と、バターとバニラオイルは粉気がなくなってから入れるからそれ以外は入れちゃっていいわよ」
「りょーかい!」
ボウルの中に材料を入れて混ぜ始める
お菓子なんて作ったことないから初めて知ったけど、混ぜるだけでも結構疲れるんだなぁ。こんなのを毎回する女子達に尊敬する。お店で買った方が楽だし時間も掛かららないのになんで作るんだろうね?・・・・・いや流石にいつも作ってもらってるし分かるけどね?市販のには入ってない材料が一番料理を美味しくさせるって身をもって体験したけど、でも・・・・・できるだけ一緒にいたいじゃん?料理できる人は一緒に作れたりするかもだけど、私は邪魔するだけだしなんなら心配かけちゃうから...
考え事していたらいい感じに混ざったんじゃないだろうか
「涼、混ぜるのはこのくらいでいい?」
「ええ、そのくらいでいいわよ。次はと言っても次が最後の行程なのだけど生地を焼いていくわ。先に私がお手本を見せるから真似してみて。
まず、卵焼き用のフライパンに油を敷いて余分な油をキッチンペーパーで拭き取っておたま一杯分を入れる。ここまではいい?」
「うん。多分大丈夫だと思う」
「で、生地が沸々としてきたらさっき作っておいたアルミの棒を置いて奥から巻いてこれを生地が無くなるまで続けたら完成。心配なら弱火でもいいから。さ、やってみて」
「う、うん。やってみる」
やってみるとは言ったものの内心は結構バクバクだ。弱火とはいえこれまでに数々の食べ物をダークマターにしてきた実績(?)がある
「い、いきます!」
生地を流し込んで表面をじっと見つめる。少し経つと沸々としてきた。奥から手前へと箸を使って転がしていく
「やった!で、できたー!」
「すごいじゃない!てっきり黒焦げにでもなるのかと思っていたわ。一応生地を余分に作っていたけど必要なかったわね。ただ、これを数回繰り返すから気を抜かないようにね」
「わかった!」
この工程を繰り返し、数分後には完成した
「少し不格好だけれど、彩乙葉が作ったにしては相当いい出来栄えね。
これなら渡しても問題ないでしょう。合格よ。余った生地を使ってホットケーキでも作ってあげる」
「やったー。涼のホットケーキ美味しいんだよねありがとう!」
『あおちゃ〜ん、ただいまー。誰か来てるの?』
穂乃果が帰ってきたので玄関まで迎えに行く
どうせ隠すことは出来ないだろうからお菓子作ってたことも正直に話す
「穂乃華、おかえり。涼にお菓子作り教えてもらってた。
バレンタイン今年こそ穂乃果にあげたくて頑張ったの。何作ったかは当日までのお楽しみね!」
「ほんと!?嬉しい!でも大丈夫?ダークマターになってたりしない?」
「それは大丈夫よ。私が直接見てたし、完成後もしっかり出来てたわ。それとお邪魔してるわね。あと、ホットケーキ出来たわ冷めないうちに早く食べましょう」
「涼ちゃんが言うなら大丈夫そうだね。そして、いい匂いの元はそれか」
少しくらい信じてくれてもいいのに・・・まぁ、今までのアレが悪かったのが原因なんだけど...ま、いいかぁ。
そんなことより涼のホットケーキ!早く食べよう
*
《バレンタイン当日『穂乃華視点』》
待ちに待ったバレンタイン当日!何度、あおちゃんが作ったお菓子を見ようと思ったか...
でも、あおちゃんにお楽しみと言われれば、見るわけにもいかないからすっごく我慢した。それも今日で最後だ!
「穂乃華、おはよう。お昼過ぎくらいに渡そうと思ったけど、そんな楽しみな感じ出されるとお預けも可哀想だから渡すよ」
「ほんとっ!?やったー!今日は朝から贅沢だなぁ」
人の気持ちに鈍感なあおちゃんにすら、ばれるなんて相当浮かれてるんだな私は...
「どうぞ召し上がれ。ちょっと不格好だけど味は大丈夫だと思うから」
「わー!バームクーヘンだ家で作れる物なんだね。流石あおちゃん!
これは私も作れないよ。頑張ったね」
いつも作った時は黒焦げにするあおちゃんがお菓子をそれもこんなに美味しいものを作れるなんて泣きそう・・・それと同時にこれからは、一緒に料理ができると思うとすっごく楽しみ
「どうせ穂乃果はレシピわかればすぐ作れるようになるよ」
ムスッとしてるの可愛いな〜そんな可愛い子にはお菓子をあげよう
「はいっ、あおちゃんバレンタインチョコ上げる今年は作る時間なかったから市販で申し訳ないけど...」
「うれしい!しかも前に食べたいって言ってたとこのじゃん!ありがとう。大好き!」
と言ってあおちゃんは頬にキスをしてきた
・・・・突然すぎて固まってしまった。唇じゃないのは彩乙葉らしいけどね
「彩乙葉が誘ってくるなんて珍しいね。今は出かけるから無理だけど夜、覚悟しててね」
「えっ、え、そんなつもりはないよ!だからね流石に今日は遠慮したいかなって・・・ね?」
「それは今日のデートでの態度次第かな?」
ほんとに無自覚なんだから。そんなとこも大好きだけどね
夜のあおちゃんはとっても可愛かったとだけ報告するね♡
シュウカイドウ 昼夜 @hiruyo
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