お母さんの木

凪瀬涙

僕はあの木に会いにいく


木に尋ねる

「僕は、どうやって自分を生きたらいいか、わからないよ」


木漏れ日が答えた

「君は、きっと   。」


僕は木に喋りかける

「過去が重いよ。捨てたいんだけれど、ついてくるんだ。」



木に留まる鳥が答えた

「それもきっと   。」


まだ木は喋ってくれない


「なんでこんなに生きづらいの。」

僕の声が風に靡いた時


とうとう木は答える

「僕は君を解れない。だからこそ君を美しく思うよ。」


どう言うこと


 

聞こうとした瞬間


虫の羽音に驚いて

言葉が転げ落ちた


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お母さんの木 凪瀬涙 @namidachan

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