第36話 ヒロインもですか
「そういえば今日変なことを言われましたの」
帰りもオスカーに送られて帰ってきたローラとお茶をする。
「貴方に殿下はふさわしく無いと言われましたの。私殿下の婚約者ではありませんから当然じゃありませんか?」
思わず吹き出しそうになるのを淑女の嗜みとしてグッと堪えた。
「本当に変なことね、どんな方が仰ったの?」
「ピンクの髪の毛をした女子生徒でしたわ、たしか最近スターチス男爵家に引き取られた方だったと思いますわ」
うん、間違いなくヒロインですね。
これはヒロインも転生者と言うテンプレートな展開でしょうか。
「ちょっと変わった方ね、あまり関わらない方が良いと思うわ」
「そうですわね」
これは早急にヴィーと作戦会議を立てなきゃ。
「・・・と言うわけなのよ」
夜遅くに帰ってきたヴィーに報告する。
「概ね、リコの言うゲーム通りと言うことか」
「おそらくヒロインは殿下狙いなのよね」
もしくは逆ハーレム。
「・・・流石に男爵家から王妃が出た例はないのだがな」
そこは、ほらゲームだからね!
現実だとどう頑張っても男爵家や子爵家だと側室や妾よね。
もちろん高位の貴族に養子として入ると言う手もないわけではない。
しかし王妃の仕事をするための教育をそもそも受けていないし、付け焼き刃の知識で出来るものではないから学院卒業後から学んでどうこうできるわけではないわよね。
勿論アウローラには公爵家に嫁いでも大丈夫なように教育を施しているので王妃としてやっていけるのだけれど、本人が望んでないものね。
「頭が痛いな」
「とりあえずローラには極力関わらないようには言ってるけど、何をしでかすか分からないので少し人員をお願いしたくて」
よくある、悪役令嬢が何もしないので罪をでっち上げると言うこともあり得る。
そのために影ながら動ける人が必要だ。
「分かった。オスカーの方は大丈夫なのか」
「今のところは問題なさそうよ」
むしろ送りの時も離れたくないと盛大に態度に示していた。
学院卒業後にはすぐに結婚する気がする。
ーー結婚するまで清い関係でいられるかしら?
いや、流石に貴族の結婚だから最後の一線は越えないと信じたい。
それともいっそ、あらかじめ手を打っておこうか。
「問題は殿下をはじめとする人物たちか」
「そうね、こればかりは私たちにはどうしようもないものね」
ヴィーはため息をついたこめかみを揉んだ。
殿下がヒロインとくっ付いたら国の存続に関わるから、宰相のヴィーとしては悩ましい問題である。
正直、ディアスキア家や教師のヘミメリス家ならヒロインが嫁入りしても大した影響は無いのよね。
その辺りを狙ってくれないかしら。
「出来ることは多くないが、何もしないよりマシだろう」
そういうと私からカップを取り上げた。
そしてそのままベットまで運ばれ、優しいキスを受ける。
幾度となく繰り返されたのにいつまでも翻弄されて何も考えられなくなってしまう。
結婚して子をもうけても尚ヴィーから受ける愛は変わらない。
むしろ何年深くなっている気がする。
それが堪らなく嬉しくて幸せだと思う。
「私たちの娘を断罪させたりは絶対にしない」
「リコ」
「全力で守るわ、ローラもヴィーも息子たちも」
それだけの力をつけてきたと言う自負はある。
だから、全力で潰させて頂くわね。
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