第52話 紡がれた仮想世界、キンクスキャリオン

「この瞳にも困ったものだね」


 清めの和紙で出来た元結。

 純真無垢たる高貴な者の髪にこそ相応しき品。


 それを瞬時に灰へと変え、常世の闇を纏いし少女が狂気に満ちた隔世かくせいの狭間に宵を齎す。


 銃声と悲鳴と断末魔。


 少女は砂漠の上にできた都市から聞こえてくるそれらに耳を傾けながら、睥睨するように世界を見渡す。


 突如として紡がれた、この泡沫うたかたの如き世界を。


「今では景色をただ眺めることすら一苦労……、せっかくあの子が用意してくれた舞台だというのに」


 背丈以上に伸びる夜の髪。


 幻想的なそれを風でたなびかせながら、『竜』の文字を宿した顔布で、少女は霞んでいくその端麗な顔立ちを隠す。


 その一連の動作は、まるで廉恥の心を持った乙女のようだ。


「少々にしてりきを扱い過ぎたご様子、お休みになられては如何か」


「ここの砂風は体に悪うございます」


「どうぞ、我らが八咫の屋敷へと足を御運びくださいませ」


 崩壊した建物の天辺。

 

 そこから眼下に広がる砂に埋もれた街並みを布越しに眺める少女へとかしづきながら、恭しい態度で三つの声。


 二つは成人を迎えた男女のそれ。

 もう一つは未成熟な子供のそれだ。


「一応、まだゲーム・・・の途中なんだけど?」


 背後に佇む男二人と女一人。


 少女は振り向きもせずそれらへと口を開いた。


 どことなく怒りを帯びたその態度に、三人の人、否、半神半人の巫覡ふげきは焦った様子を見せ始める。


「ここは既に只人の血によって穢れた隔世、貴方様が立つには相応しくない。我らが故郷、神々の巨塔リ・エルノへと戻られ、ゆるりとお寛ぎ戴きたく」


 重たい空気の中、巫覡の女が一歩前に出て口を開く。


 少女は振り返って女をみた。


 張り付けた笑みを添えて。


「僕の超絶カワイイ妹が頑張って用意してくれた僕のための舞台、言うなればここは聖地。下で蔓延る蛆や君たちはその次いででここに招かれたに過ぎない。……穢れとはよく言ってくれるね、八咫家の娘」


 饒舌ではあるが声音の低さたるや。


 少女から少年へと移り変わったかのようなそれに、女と一歩後ろに下がって観ていた男二人は咄嗟にその場へと跪き、無言のままに首を垂れる。


 見苦しい言い訳は口にしない。

 この場において、それこそ悪手であるから。


 三人の巫覡は固唾を呑んで、己が主神・・である少女の声を待つ。


 死を望まれたなら、すぐにでも自害できるよう各々が覚悟を決める。


「……はぁ」


 少女は首を差し出すように跪く三人を数秒見つめた後、軽くため息を吐いてから再び街並みへと顔を向けた。


「君たちって今いくつ?」


 神々の巨塔リ・エルノの天に立つ御方。


 それの怒りをかってしまったという事実にただただ戦々恐々としていた巫覡たちは、突然の質問に間を置かず答えていく。


「百と五十五に御座います」


 と、灰髪緑眼の出で立ちがどことなく男勝りな佳人。


「十六日前に誕辰を迎え、晴れて百と五十四に」


 と、灰髪緑眼の凛々しい顔立ちをした伊達男。


「十四……です」


 と、灰髪緑眼のうら若き美少年。


「ふぅん、そう」


 砂風に紛れた幾つもの叫声きょうせい


 無言のままそれに耳を傾けた後、少女は大量の砂粒が積もったその場に胡坐をかく。


「……」

「……」

「……」


 先ほど穢れと口にした地へと主神が腰を下ろす。


 そのことにバツの悪さを感じた百と五十五の佳人は、下げていた頭をさらに下げ、地面へと額を擦り付ける。背後の二人も同様。


「まだまだ赤子だね、ういうい、飴ちゃんいるかい?」


 あっけらかんとした態度。


 少女は「甘くておいしいよ」と付け加え、白い袖から飴玉を三つ取り出し、それを指に挟んで後ろの巫覡に見せる。


「「「有難くッ」」」


 どうやら怒りは沈められたらしい。


 主神たる少女が発する空気が幾分か軽くなったのを感じみて、三人は面を上げ、口元に笑みをこぼしながら飴玉を受け取った。


 赤子ではないと内心で突っ込みを入れながら、受け取ったそれを大事に大事に懐へと仕舞う。


 宝物ができた巫覡たちである。


トーラスの模型・・・・・・・って君たち知ってる?」


 砂風に降られる街並みに視線を落としながら少女。


 懐に手を置いて幸せ顔を晒していた巫覡の三人は、各々に首を振って答える。


「トーラスの模型っていうのはね、言うなれば世界そのものなんだ」


「…世界、そのもの?」


 突然に、そして気まぐれに始まった少女の講義。


 美少年である巫覡は首を傾げ、率直に疑問を口にする。


「この世のありとあらゆるものを意のままに創り替える・・・・・ことができる力、っていえば想像つくかな?」


「多少は」


 規模がでかすぎる話に巫覡たち困惑。


 色々と頭の中で想像するも、理解は追い付かない。


 しかし、それでも三人は少女の講義に耳を傾ける。


 主神の今を、自分たち八咫家が独占しているという優越感に浸りながら。


「富、名声、力、そして永遠の美貌、僕はこの世の全てを持っているといっても過言じゃない」


「過言ではなくそれが事実かと」


「いいや、過言さ、だって僕はトーラスの模型を持っていないんだからね」


「……左様で」


 トーラスの模型などという訳の分からない物がなくとも、主神は世界を十二分に制する力を持っている。


 佳人はそう思うも、これ以上は無駄口と判断し、思いの内をさらけ出さぬよう、瞑目して口を噤む。


「仮想と現実が歪にも紡がれたこの不安定・・・な世界も、あの子がそれを利用して描いた景色の一つ」


「成程」


 と、理解せぬまま伊達男。

 話にちゃんと付いていけてますアピールだ。


「美春様がこれを?」


 三人の中で唯一、理解し、且つ話についていけている美少年。


 それの問いに、少女は「半分はね」と曖昧に答える。


「模型は『白』と『黒』の愛し子である二成の意思を宿す。だけど、今代のそれの意識はより強い二つに分かれてしまった。その結果が今、……ふふふ、なかなかカオスでしょ?」


「全くもって」


 半分の答えはつまりリエルノという意識?。


 そう勝手ながらに推測しつつ、美少年は他二人と同様に少女が発したカオスという言葉に肯定する。


「流石は二成、神としての格が違う」


「国生みの子と遥か昔の書物に記されていた謎が今とかれた気が致します」


 巫覡の三人は、改めて今いる世界を見渡す。


 この地に足を踏み入れた者が、狂気に身を堕とすと呼ばれている砂漠都市。


 耳をすませば阿鼻叫喚。

 只人による悲鳴と怒号と断末魔。

 そしてそれを齎す幾つもの銃声。


 ここはまさに、設定を忠実に再現した仮想世界キンクスキャリオンそのままであった。


「理想を掲げ、世界に歪みを招いた美春。そしてその歪みを利用して、邪魔者を追い出そうとしたリエルノ。形を崩した模型・・・・・・・は、正しく、そして歪に機能したのさ」


「…なるほど、それで僕たちは貴方様のついででここへと招かれた訳ですね」


「ごめん、さっきのは嘘」


「嘘、ですか?」


「さっきは僕だけって言ったけど、正確には君たち三人も招待されている。ついでなのは下の蛆だけさ」


「彼らは巻き込まれた、という訳ですか…」


「半分正解」


 また半分。


 美少年はそう思いつつ、今度こそ明確な答えを貰おうと口を開く。


「残りの半分はどういった理由でご―――」


「僕が招いた」


 美少年の台詞にかぶせ、少女が答えを出す。


 その瞬間、砂風が強まる。


 砂風は少女の顔布を激しく揺らし、その下に隠れていた夜月を露わにする。


 夜に映えるそれは、不気味なほど三日月に欠けていた。


「ここは僕と妹で作り上げた泡沫の世、故に聖地」


 風が弱まる中、顔布を掛け直した少女が口を開く。


「穢れなんてものは何処にもない……いいね?」


「「「御心のままに」」」


 念を押すその台詞に、巫覡たちは首を垂れ、即座に反応。


 同じタイミングで口を動かした。

 

「うん、いい子だ」


 背景を知り、正しく状況を理解した巫覡(一人)に笑みを返し、少女は胡坐に肘をつき、欠伸を一つ。


 これにて講義は終了。


 そのことを一連の動作で察した巫覡たちは、心のメモ帳に一言一句間違いなく、講義の内容を書き写す作業へと取り掛かる。


 ついでに少女の絵姿も次のページにデカデカと添えて。


「いつここから発たれるので?」


 いち早く講義内容のメモを終えた美少年。


 気味の悪いニヤケ面を晒す同僚の二人を横目に、生真面目にも口を開く。


「時期が来るまで」


「…その時期はいつで御座いましょう」


「ふふふ、赤子だね」


「……申し訳御座いません」


 赤子と呼ばれ、僅かに口を尖らせる今年、十四歳のうら若き美少年。


 年頃の彼は色々と過敏の様だ。


「繋がりが切れたら帰るよ」


「繋がり、ですか?」


「そう、繋がり。簡潔に言うと、歪みの糧となったエリアボス・・・・・が倒されるまで、かな」


 頭の上に疑問符を浮かべる美少年。


 それを背後に、少女は見えぬ景色を感じ視て、「ふふふ」と愉快気に笑う。


== 龍宮寺茜――夢野渉ゆめのわたる == 

 

 砂に埋もれた巨人の墓場。


 そのエリアで発掘された巨大な岩のような頭蓋骨。


 荒れ狂う砂風を防げるその内側に、夢野渉はいた。


「渉さん!!これ異世界トリップってやつじゃないっすか!?ッぱねーーこれ!!」


「何呑気な事言ってんのよ!!冗談じゃないわよこんなの!!」


 興奮気味に騒ぐ友人二人を余所に、わたるは先ほど遭遇した銃を持った狂人・・・・・・・について思考を巡らせていた。


 見覚えのある風貌。

 聞き覚えのある声。


 どこで見聞きしたものか、と疑問を浮かべるも、すぐに答えが出る。


「…ロリ―sのメイさん」


 Vtuber連合を代表して夢野渉が開いたパーティー。


 そこで出会った一人の幼げな声の仮面をつけた成人女性。


 狂人とその人物とが、彼の頭の中で重なった。


「まじやべぇ!これもしかしたら異世界チートとかできんじゃね!?スキルとか魔法とか使えんじゃね!?」


「しらないわよそんなこと!もうッ!!どうするのよッ!私たち人を殺したのよッ!??よくそんな呑気なことばっか考えてられるわね!!」


 遭遇した狂人。


 危害を加えてこようとして来たので三人は防衛した。


 当然の行動原理。


 責められるいわれはない。


「……」


 渉は皮が捲れた両こぶしを握り、ひりひりと痛むそれを見つめる。


 鈍い感触に音、新鮮で不快な血の香り、そして陥没した女性の頭部。


 それを鮮明に思い出して吐き気を催す。


「……二人とも、少し静かにしてくれないか?」


「あ、すみません」


「……ごめん、渉」


 個人V最協エベ祭り。


 さっきまでその大会のオブザーバーとして一緒に参加してくれていた二人を渉は睨みつけ、黙らせる。


 洞窟の様な頭蓋骨の内側。

 吹き付ける砂風の音だけが場をもたす。


「ステータスオォオオオプンッ!!!」


 静寂に飽いてか男。

 突然狂ったように叫びだした。


「あんたいい加減にしなさいよ!!状況理解してんの!??」


 女の怒声も何のその。

 男は何も起きないことを不思議がり、「おっかしいなぁ」と首を傾げた。


―――ダダダッ!!。


 砂風に交じって銃声。

 

 割と近場で聞こえたそれに、女は盛大に体をビクつかせた。


「…もう、いやぁ」


 置かれた状況の意味不明さに恐怖を抱いた女は、自身の体を両手で抱くようにしてその場に蹲り、咽び泣く。


「……」


 見た目も中身も完璧な男、龍宮寺茜という皮をかぶった元アイドルの渉。


 普段の彼ならば、目の前で泣く女性をほってはおかない。


 優しく接し、その不安を取り除いては虜にする。


 そうやって彼は金づるを増やしてきた。


 だがしかし、今は心に余裕がないし、彼女は昔からの友人。


 そんなことをする気はさらさら起きなかった。


―――ぽんぽん。


「大丈夫だ、俺が付いてる」


 女の頭を撫でながら自信満々気に男。


「きもッ…触んな!!」


「……」


 頭上に降って湧いた不快な感触を振り払い、女は渉へと駆け寄って抱きついた。


「渉、怖いよ……怖いよ、私たち逮捕されちゃうのかな?」


「……大丈夫、あれは正当防衛、だから大丈夫さ」


「早くおうちに帰りたいよぉ……うぅ、ひっく」


「大丈夫、大丈夫、…きっとすぐに帰れる」


 何の根拠も意味もない台詞をダラダラ溢す。


 慰めてほしいのはこっちのほうだよ、と思いながら、渉はいつものように女を慰める。


「渉さんは良いっすよねぇ、何でもかんでもモテちゃって、…っちぇ」


「別にモテてなんかいないよ、只そう見えるだけさ」


「いやいや、それでモテてないはおかしいっしょ、何言ってるっすか、渉さん」


「あはは、そうかな?……ははは、そうだね、うん、ごめん」


「……全く、しっかりしてくださいよ」


 この状況でしっかりしろとは無理な話。


 むしろ男が落ち着きすぎている。


 直接的な殺人をしていないからこんな軽いノリなのか?。


 それとも、状況の理解不能さに思考がパンクして、返って冷静になったのか?。


 渉には男のことがよくわからなかった。


 友人といっても浅い仲である。


鹿島かしまくん、スマホの電源はつくんだよね?」


 突然にして砂漠の上へと召喚された三人。


 装備品は身に着けた物のみ。


 つまりは手ぶらだ。

 鹿島と呼ばれた男を除いて。


「点きますけど電波は相変わらず通ってないですよ?」


「大丈夫、ただ気分転換にパズルゲームをしたいんだ……、いいかな?」


 しょっちゅう通信制限がかかる鹿島のスマホ。


 そんなときでも暇を潰せるようにと、彼のそれには沢山の暇を潰せるゲームがある。


 どうしようもないこの非現実的な現実。


 それから少しでも目を背けようと、渉は自身の両拳から視線を上げ、鹿島を見る。


「少しだけなら大丈夫っす、でも充電が半分になる前に返してくださいね?最初の村で売って装備の元手にする予定なんで!!」


 何処かゲーム脳に支配されている男は、ポケットに入っていたスマホを取り出して、暗証番号と指紋認証を終えた後、それを渉へと渡す。


あおい、少し離れてくれるかい?、ゲームに集中したいんだ」


「……うぅ、渉のばかぁあ」


 渉は「はは、ごめんよ」といいながら、女――あおいを引き剥がす。


 そして、手に持った鹿島のスマホに視線を落とす。


「…ん、これは」


 スマホのホーム画面に映る筋骨隆々で褐色肌の坊主。


 渉は見覚えのあるそれをみて、パズルゲーを起動させようとしていた指先を止める。


「あぁ、それっすか?それ、パンチング・ラッシュって言って、結構ストレス解消になるんすよ。それもネット無しで出来るっすよ!、おすすめっス!!。ちなみにそれの開発会社は倒産したんすけど、最近になって親会社が――」


 鹿島のどうでもいい蘊蓄うんちくを右から左に流し、渉は無意識に褐色肌の男のアイコンをタップする。


『守って守ってlet'sパンチング!!パンチングぅ~、ラーーーッシュ!!』


 ちゃっちいBGMに、謎に元気なタイトルコール。


 どこぞのVTuberのお陰でそのゲームの予備知識が多少なりともあった渉は、想像以上にショボそうだと思いつつ、ゲームスタートの文字をタップ。


 小さな村に押し寄せる魔物の大群。

 それを容易く蹴散らし、次は街を守る。


 街を守り終えた後は、国。


 国を守り終えた後は、これまで守ってきたものを全て敵に回し、魔物の司令塔となったラッシュの娘を背に戦う。


 そして紡がれるバッドエンド。


 守ってきたものを皆殺し。

 最後に守ろうとした娘も死んだ。

 そして主人公であるラッシュも死んだ。


 これ以上にないほど胸糞展開。


 これでストレスフリーをうたっているのだから質が悪い。


「はは、これはなかなか酷いな」


 小さくて読みにくいドット文字。

 

 そのせいで数多くのプレイヤーに読み飛ばされたであろう悲惨すぎる物語。


 今の自分の方がましといえるそれに、多少なりとも渉の気分が落ち着きを取り戻す。


「しっかし、異世界ものの定番で、他にも日本から召喚されるやつとかいるんっすよねぇ、もしかして、俺ら以外にも誰か来てるんじゃないっすか?」


「……あんたもう黙ってて、お願いだから」


「黙ってほしいなら、それ相応のことをしてもらわないとな、ん~っちゅ」


「うざ、きも」


 投げキッスを葵に向けてする鹿島。


 そんな阿保らしい二人のやり取りを見ていた渉は、鹿島が言ったあることが気にかかる。


「…まさかな」


 渉はボソリと呟きながら、おもむろに立ち上がる。


 そして、入り口として潜ってきた鼻骨の下にある大きな穴に向かって歩き出す。


「わ、渉?どこ行くの?」


「あぁ、いや、ちょっと探し物を探しに…」


「正気!?外なんか出たらきっと今度は殺されちゃうよ!!」


 狂った人間は一人じゃない。

 

 たびたび聞こえてくる銃声と悲鳴がそれを証明している。


 またあんな危険な目に合うのは御免だと、葵は必死の形相で渉を止めにかかった。


「なんか落とし物でもしたんですか?」


「…いや、落とし物じゃないんだけど、ちょっと、ね、……気になることがあって」


「気になること?」


「………うん」


 渉がここにいて、VTuberのメイという女性もここにいた。


 ならもしかすると、…もしかすると、妹もここにいるかもしれない。


 あり得ない、こともない。


 今、あり得ないことが色々と起きているのだから。


 渉は二人の声で足を止めるも、やはり行かなければと思い至り、俯けていた顔を上げる。


「鹿島くん、私たちだけがここに来たとは言い切れない、といっていたね」


「ん?…あぁ、そんな事いいましたっけ?、でもそれがどうかしたんすか?」


「……妹も、いのりもここにいるかもしれない、探しに行かないと」


「だめだってば!!渉!!」


 葵の悲鳴にも似た叫び。


 それを無視して、渉は外へと向かう。


「渉さんの妹がいるかもしれない、……それはつまり、あの超新星、二成琉琉もいるかもしれない、ってことッ!!?」


「鹿島!!早く渉を連れ戻してッ!!お願い!!」


「こうしちゃいられねぇっ!!助けを求める(かもしれない)二成琉琉と渉さんの妹君!!この俺が助け出してやるぜ!!やっふぅううッ!!異世界ハーレムこれ待った無しっしょぉお!!」


「え!!!?ちょ、あんたまでどこ行くきよ!!鹿島ぁああ!!」


 葵の叫びも何のその、鹿島は「渉さん!!俺も付いていきやすぜッ!!」といって渉の後を追っていった。




 

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