第7話

 襲撃に来たのではなく苦情を言いに来た暗黒騎士、そして騎士に掴まれているノーベル翔にエリーゼは心中驚く。

 よく見たらダスパーダの後頭部にはノーベル翔との激突で出来たでかいタンコブが出来ている。

なぜ甲冑の上にタンコブがあるのかは気にしないでおくことにした。


「「オレたちだ!」」


 エリーゼが驚いている中、黒い騎士の前に出てきたのは手足が生えたマヨネーズとケチャップだった


「(誰コイツら!?)」


「嘘をつけい!貴様ら人間ではなかろうが!!」


 騎士の眼前に現れた物体は少なくとも生き物かどうかすら怪しい存在であった。


「俺は魔王討伐隊リーダー、マヨネーズ長谷川!」


「そして俺は魔王討伐隊参謀、ケチャップ五郎三郎!」


 無機物に手足が生えたような見た目のマヨネーズ長谷川とケチャップ五郎三郎はそれぞれ名乗りを上げる。だが名乗られてもエリーゼとダスパーダは微塵たりとも目の前の存在が理解出来ない。


「「我ら、魔王討伐隊!!」」


 盛大にポーズを決めた二体の謎生物に一同(主にエリーゼと騎士)はぽかーんとした表情になる。これを特撮のヒーローが行えばかっこよかったかもしれないがやったのはマヨネーズとケチャップ、ただただ困惑するだけだ。


「誰だテメェらーーーーーーッッ!!!!」


「「ノンオイル!!!」」


 タンスから飛び出してきたナル美のダブルラリアットがクリティカルヒットし吐血しながら2体は飛んでいった


「何だったんだ今のは‥‥」


「(全くだわ‥‥)」


 呆れる騎士にエリーゼは心中で全面同意する、魔王軍に同意することなど生まれて初めてだった。


 だが騎士が呆れているところに、オコワは叫び声をあげながら攻撃を仕掛ける。


「ぬっ!?」


 攻撃を繰り出そうとするオコワに気づいたダスパーダだがもう遅い。既にオコワは拳を振りかぶっていた。


王米牙おうまいが!!!」


 必殺の一撃を振り抜いた。


 その拳が騎士に当たった瞬間、同時に凄まじい衝撃波が発生した。


「ぐううっ!?」


 ライスパワーを纏った鉄拳を食らった騎士は大きく吹っ飛ぶが、何とか踏ん張った。しかし突然の攻撃により掴んでいたノーベル翔を手から放してしまった。


「くっ、気が外れていたとはいえ俺の隙を突くとは‥‥小娘、貴様は一体何者だ!」


 騎士はオコワから距離を取り向き合った。


「ククク、オコワちゃんが何者か知りたいか?」


 自分の正体を問いかけられたオコワが意味ありげな含み笑いをこぼし、片目を手で覆い隠しながらもう片方の腕を大きく広げながら言い放った。


「我が名は怒滅舞オコワ!!この作品の主役にして、米の貴婦人である!そして天は鳴き、地は震えるだろう!!」


 いきなり盛大におかしな自己紹介を決めたオコワに、ぽかーんとした表情を向ける騎士。

 しばらくその場に静寂の時が流れる。

 騎士が、静かにエリーゼの方へ顔を向ける。


 騎士の視線の先のエリーゼも何とも言えない表情を浮かべていた。


 騎士がなんなんだコイツはと言う視線をエリーゼに向けて訴えてくるが、突然隣にいる人物が痛々しい自己紹介をするのを見てさっきから困惑しっぱなしなのだ。


「おい、ちゃんと見ろよ」


 静寂を打ち破るようにオコワが真顔で言った。


「オコワちゃんの渾身の中二戦隊イタインジャーの変身ポーズを見ねーとか世界的損失だぞ?オコワちゃんの敵だってんならオコワちゃんをちゃんと見とけ!それでも戦士か!米食え米ェ!」


「お、おう‥‥」


 イタインジャーなどと言う創作物を知るわけがない騎士は相手のペースに呑まれ混乱する一方であった。まるで訳がわからない説教に騎士はそう答えるしか無かったが、すぐに気を取り直す。


「‥‥い、些かへんてこな娘だが、この次元の地球にこれほどの実力者がいたとはな!」


 そして騎士は強者への賛美としてなのかオコワに向かって名乗りあげる。


「ならば騎士として名乗りをあげるのが礼儀というもの!我が名はダスパーダ!グアンザ軍一番隊隊長にしてグアンザ軍随一の剣士なり「隙だらけじゃーっ!!」ウゴッ!!!?」


「何故にケーキ投げた!!!?」


 騎士、ダスパーダの顔にホールケーキを投げつけるオコワ。唐突な奇行にエリーゼは困惑し、べっちゃべちゃになった顔面からケーキを払い落としダスパーダは憤慨する。


「貴様ァ!人が名乗ってる途中で攻撃を仕掛ける馬鹿があるか!!」


「生憎俺ちゃんは会話イベントは丸々スキップするぐらいせっかちでな、ゴンドラクエストの主人公みてえな王道な勇者じゃねえんだ。バーカーサーらしく邪道で行かせてもらうぜ?カスパーダさんよぉ!」


「なにぃ!?‥‥ってちょっと待て!何かすごく不名誉な名前で呼ばれた気がするんだが!?」


「気のせいだろカスパーダ」


「今カスって言ったよな!?今度ははっきり聞こえたぞ!?」


「聞き間違いだろ」


 ダスパーダを挑発するためにわざと間違った名前で呼ぶオコワ、しかしこれ以上調子を狂わされないようダスパーダは仕切り直そうとする。


「まあいい。だが貴様は自分の立場が分かっていないようだな、俺はグアンザ軍一部隊の隊長各、俺のパワーの前では貴様らには万に一つも勝ち目は無いぞ!!」


「ダスパーダ‥‥」


 楽しげに言うダスパーダに向かってエリーゼは前へ歩み寄り、真剣な表情で話しかけた。


「何者だ貴様は?」


「私はエリーゼ、この次元とは異なる世界‥‥次元神界から来た光の次元神よ」


「次元神だと?フン、なるほどな。次元パトロールの犬どもか‥‥。まさかこの俺を倒すなどと笑えない冗談を言いたい訳ではあるまいな?」


「いいえ、戦う前に聞かせて欲しいことがあるの」


 見下したような発言を聞き流し、エリーゼは真っ直ぐな瞳で尋ねる。彼が敵だと言うのなら、尚更聞かなければならないことだ。


「どうして貴方たちグアンザ軍はこの世界の人々を苦しめるの?何か目的があるの?それは、この世界を襲わないと成し遂げられないものなの?」


 必要の無い争いはするべきでは無い‥‥


 エリーゼは遥か昔からそう考えている。絵空事かもしれないが争わずに、戦わずに済むならそうすべきだ。

 互いを尊重し想いあえば、憎しみや恨みをぶつけ合うよりもずっと良い未来を歩める。

 その信念を胸に、これまでもあらゆる次元を救ってきた。

 だから、相手の想いに耳を傾けねばならない。


「下らん」


 エリーゼの期待とは裏腹にダスパーダは甲冑の下に邪悪な笑みを浮かべる。


「何を言うかと思えば。笑止!有象無象どもがどれだけ苦しみ嘆こうが知ったことではない、グアンザ様の意志に釣り合うものか!!そんな無価値な考えで我々が止まることは決して無いと思え!!」


 ダスパーダの冷徹な意志を見透かしたエリーゼは、戦いを決意し‥‥自らの手に光の剣を顕現させた。


「そう‥‥ならこの世界のために‥‥貴方を止める!!」


「口だけは達者な女だ。いいだろう、貴様のその甘い考えごと叩き斬ってくれるわ!!」


 ダスパーダが吠え、大剣を引き抜く。そしてエリーゼも静かに戦闘体勢を取った。


 エリーゼが腕を天に向かって掲げる。


「千の光剣よ、来たれ!」


 するとエリーゼの周りを埋め尽くす程の数の光輝く剣が創造され、その切っ先をダスパーダへ向ける。


「「「すごい!」」」


 距離を取っていたバーカーサー三人組が素直にその光景に驚く。

 一斉に放たれる剣の弾幕。

 エリーゼが射出した無数の剣が空気を裂きながら迫っていく。

 だがダスパーダは避ける素ぶりを見せようとしない。


 剣の雨を前に慌てる様子すら見せないダスパーダにエリーゼは違和感を感じる。焦り一つ無いダスパーダは降り注ぐ光剣を見据える。


「ぬぅん!!」


 そのまま構えていた剣でなぎ払い、それによって生じた暴風の如き衝撃波だけで光の剣を全て消し去ったのだ。


「なっ!?」


 小手調べとはいえ、自分の技があまりにも呆気なくかき消された光景にエリーゼは驚愕を隠せない。

単純なパワーだけならこのダスパーダと言う騎士はエリーゼを上回っている。


 彼女ははっきり言ってしまえば『戦士』ではない。無論、それは戦う力を持っていないことを意味しているのではなく戦闘能力に特化していない者という意味合いだ。

 次元神界にいる神々の中でも戦闘力は低い部類、しかし次元神の一柱であるためそこらの有象無象に負けることなどない、どれだけ束になってかかって来られても返り討ちにできる確信がある。


 だがこの騎士は異常だ。

 次元を超えて悪事を働く者の配下としての実力は伊達では無い。


「痛快!痛快!かなりのパワーだが、俺とこの魔剣ドラグラムの前では無に等しいわ!!」


「ま、魔剣‥‥ですって!?」


 それを聞いてエリーゼが怯む。魔剣、それは次元によって在り方や性質は異なる。

だがどれも普通の剣には無い凄まじい効果を持っている。

 中には天変地異を引き起こしかねない特殊な性能を発揮する武器をこの騎士は装備しているのだ。


「魔剣ドラグラムは我らの世界に生息する銀河竜ディオバトスから剥ぎ取った素材を材料として作られた魔剣なのだ。ドラゴンのパワーが詰まった剣の力、存分に味あわせてやろう!!」


「何だわよその設定!中学生が初めて書いた漫画に登場する武器か!?んなもん胸張って振り回すお前の気が知れねえだわよ!キッモ!キッモ!」


「やかましいわ!」


 愛用する得物をものすごい馬鹿にしてくるナル美に目を血走らせて声を張り上げるダスパーダ。呆れたようなナル美の視線が余計に神経を逆撫でしてくる。


「ドラゴンって何だっけか?」


「分かりやすく言うとでかいトカゲだ」


 疑問符を浮かべるノーベル翔だったがオコワの単純明快な説明で把握したようだ。何か致命的に間違ってる気がしないでもないが気にしない。

 その横ではナル美が勝手な結論を言い出す。


「つまりあの剣はトカゲの塊って訳だわよ!!やだ!気持ち悪い!」


「トカゲマニアかよ!!」


「トカゲなどと一緒にするでない!!」


 ドン引きするナル美と不名誉な呼び方をするノーベル翔にダスパーダが憤慨して言った。

 だが今は状況が状況、すぐに元のテンションに戻しオコワたちへ視線を向ける。


「みんな、今から貴方たちに加護をかけるわ!」


「加護‥‥‥ってなんだ?かけるならヨーグルトだろ?」


 加護と言う言葉にピンと来ないオコワたちは疑問符を浮かべる。加護と言う言葉に馴染みが無いのだろう、エリーゼは理解できなかったオコワたちに説明を追加する。


「つまり私が特殊な力を与えてあなたたちのパワーやスピード、防御力その他諸々を上昇させるのよ、あの騎士には生半可な攻撃は通じそうにないから」


 詳しい説明を聞きオコワたちはようやく理解したようだ。しかしオコワはエリーゼから視線を外し加護を受け取らないまま戦闘体勢に入った。


「いらねえよ、アイツはオコワちゃんの紙やすりで磨かれたスーパーパワーで叩きのめしてやらー!」


「えっ!?ちょっと!」


 よほど自分の実力に自身があるのかエリーゼによるパワーアップを拒否する。ダスパーダが戦慄する力を持っているオコワはともかくノーベル翔とナル美はスライムにすら勝てないのだから論外だ、能力をあげておかないとまともに戦えるビジョンが見えない。

 エリーゼが止めようと声をかけるが、それを背後にオコワ、ナル美、ノーベル翔が前線へズカズカと歩いていく。

 最初はノーベル翔が引き受けるようで、ふたりよりも前に出た。


「どうやら俺様の出番みてえだな」


「よし、行けノーベル翔!戦闘民族ノーベル人のパワーを見せてやれ!!」


 どこからか取り出した剣を手に、悠然と歩き出す。頼もしさ溢れるノーベル翔の背中を見送りながら激励するオコワ。

 小さな体格とは裏腹に大きな態度。その相違はダスパーダを無意識に警戒させる。ダスパーダとノーベル翔の距離が徐々に狭まっていき、張り詰めた空気が場を支配する。


 ダスパーダの間合いにまで近づいたノーベル翔は素早く振り向き剣の刀身をオコワたちに向けた。


「さあかかって来い!神の使徒ども!」


 ズコーッ!と擬音が聞こえそうな勢いでエリーゼはずっこけた。寝返るノーベル翔を目の当たりにオコワとナル美はあんまりな行為に声を張り上げる。


「てめぇノーベル翔ォォォォ!寝返るんじゃねえええええええええええええ!!!」


「戻ってくるだわよおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「やだびー!こっちの方が強そうだもんねー!」


 相手が有利と見るとあっさり裏切るその諸行。これもバーカーサーたる所以なのだろうか。

 何はともかく最低である。


「さあダスパーダ様!早いとこアイツらやっつけちゃいましょうぜ!」


「フンッ!」


「ウゴォ!?」


 すっかり仲間のつもりでいるバカ犬に対し、ダスパーダは無言でノーベル翔を背面から蹴っ飛す形で答えた。

 蹴られたノーベル翔はサッカーボールのように転がり、オコワたちの元に戻ってきた。


「ただいま〜」


 冷えた目で見下ろす二人の姿を視界に入れても、平然とした口調で言った。


「オラオラオラオラオラオラァ!!」


「死ね死ね死ね死ね死ねぇ!!」


 そんなバカ犬は当然、二人がかりでボコボコにされた。とにかくボコる。これでもかとボコる。

 薄汚い裏切り者には容赦などせずフルボッコにする。

 一通り痛めつけられ、ようやく解放されたノーベル翔はフラフラと立ち上がる。


「ダスパーダ!テメェが魔剣で来るってんならこっちは聖剣で勝負だぜェ!!」


「なに!?聖剣だと!?」


 魔剣に並ぶ性能を持つ聖剣を持っているというノーベル翔に驚くダスパーダ。ノーベル翔は懐からちくわを取り出し切っ先をダスパーダに向ける。


「この聖剣スゴイケンでテメェのドタマをブッタ斬ってやるぜ!!」


「それちくわじゃん!!」


 エリーゼが言っても聞かずノーベル翔はちくわこと聖剣スゴイケンを手に突撃していく


バキャッ!ズバッ!グシャッ!ベキベキベキ!!


「ボコボコにされちまった」


「当たり前よ‥‥」


 ズタボロの状態でぐちゃぐちゃのちくわを握ったノーベル翔が戻ってくる。


「クソッ、それならこの聖剣チョースゴイケンだ!!」


 懐からまた別の武器を取り出す。


 もちろんそれはちくわだ。


「だからそれタダのちくわだってば!!」


「いや、あれはタダのちくわじゃないぞ」


「えっ?」


 オコワに指摘されエリーゼがノーベル翔の新しい聖剣(ちくわ)を注意深く観察する。そのちくわの穴の部分にはなんと棒状のチーズが入っていたのだ。


「チーズが入っている。こいつぁビックリだ」


「どの道ちくわじゃん!!」


 エリーゼの言う通りちくわの本質は全く変わっていない。ノーベル翔が新しい聖剣(チーズinちくわ)を手に再び突撃!!


カキンッ!キンッ!キンッ!ギギギギギギッ!


 目まぐるしく立ち位置を変えながらちくわと魔剣による超高速の剣戟が展開された。


「中々やるなああああああああ!!」


「貴様もなあああああああああ!!」


「意外といい勝負してる!?」


 ダスパーダの魔剣ドラグラムを聖剣スゴイソードで金属音を立てながら受け止め、ギギギと軋む音を立てながら鍔迫り合いを始めた。ちくわでまさかの互角の戦いを繰り広げるダスパーダとノーベル翔を見てエリーゼは目を剥く


「だがしかし!俺を倒すにはまだまだ事足りぬわ!!」


「ぐはあっ!!」


 しかし剣術の実力ではダスパーダの方が遥かに上手であり、隙を突かれたノーベル翔はモロに斬撃を食らってしまう。血を吹き出しながら転げ回る姿は何とも痛々しい。


「血が!血が出ちった!!痛いよー!!びえーん!!!」


「やべぇ!ノーベル翔!今助けてやるぞ!!」


 地に伏したノーベル翔を救うべく、オコワが全速力で駆け寄る。


「仲間を気遣うか、その絆は天晴れだが戦場では命取りよぉ!!」


 ノーベル翔を背負うオコワに向かってダスパーダは剣を力強く振り下ろし


「危ね!身代わりの術!!」


「ぎええええええ!!!」


「何ィーーーッ!!?」


 オコワは即座にノーベル翔を盾にして斬撃をガード。その外道な行為に敵である筈のダスパーダは声を荒げる。


「ななな、仲間を盾にするとかなんてことをしているんだ!貴様それでも人間か!!」


「仲間ってなんだ?オコワちゃんそんなモン持ってないぞ?」


「貴様最低すぎるだろう!!!」


 外道な行動にまるで躊躇がないオコワに味方であるはずのエリーゼも心中ドン引きする。


「オコワ!こうなったら合体技で一気に決めるだわよ!!」


「分かったナル美!タイミングをそらすなよ!?俺にもどうなるか分からねえからな!」


「(合体技ですって!?)」


 何ともロマン溢れる響きにエリーゼは期待に胸を膨らませる。


「行くぞ!バーカーサー究極合体技!!」


 オコワはナル美の後ろに立つと右足にパワーを溜める。


「くらえ!絆ストライク!!!」


「ごぶるるぁ!?」


「仲間を蹴っとばすな!!」


 背後から力任せに蹴っ飛ばされたナル美はオコワの正確なコントロールと脚力により、ブレることなくダスパーダに向かって吹っ飛ぶ。


「フンッ!」


「ぎゃああああああ!!!」


「そしてぶった斬られた!!」


 大剣でナル美を一文字に真顔で切断する。もしもスライムじゃなかったらグロテスクなことになっていただろう。


「こんなふざけた攻撃で俺は倒せんぞ!!」


「それはどうかな?」


「何?」


 オコワの不敵な笑いにダスパーダは疑問符を浮かべる中、ナル美を切断し大剣に滴っている液体がカっとフラッシュし、大爆発した。


「ぎゃあああああああああああ!!!!」


「斬られたナル美が爆発したああああああああああ!!!?」


 避けられる間も無く、ダスパーダは爆発に飲み込まれる。砂煙が晴れると中から鎧や兜が所々欠けたダスパーダが現れる。今の攻撃で大きなダメージを負っているのは明白だった。


 バーカーサーと言う者達の実力、スライムにすら勝てなかったノーベル翔やナル美までもが拮抗して戦えている。


 これまでの戦いでも分かったが、バーカーサーの戦い方は何でもあり。オコワ、ノーベル翔、ナル美の三人はいとも容易く物理法則を崩壊させ、常識では決してありえない理不尽なことを起こす。

 それこそがバーカーサーの特徴、ギャグ補正の具現化だ。

 ギャグだから殺されても死ぬことはなく、ダメージもすぐに回復し、何も無い場所から道具を取り出せる。

 そんな神様もびっくりな現象をイカレることで引き起こす、それがバーカーサーなのだ。


 どうやらバーカーサー三人組への認識を今一度改めるべきらしいとエリーゼは考えた。

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