第5話
「ううっ……いたい……」
「頑張ってみーちゃん!」
赤ちゃんが私の中から出ようとしていた。私は痛みに耐えられず朔夜くんの手を掴んだ。
「「おぎゃあー!!」」
「元気な双子の男の子、女の子が産まれましたよー!」
幸いにも赤ちゃんはするんと出てくれた。
私は赤ちゃんに触れる。するとすやすやと眠っていて愛おしい気持ちができた。しかし……
「朔夜くん、お義母さん、お義父さん、お願いします……」
私は病気があのときからものすごいスピードで進行してしまい、私は跡継ぎのためにも、幸せな生活をさせてあげるためにも
「みーちゃん……」
「美椰さん、絶対に2人にも会いに来て……」
「この子達の名前は?」
「女の子のほうは
「わかった。みーちゃん、俺みーちゃんの約束通り、みーちゃん以上に愛する人と結婚して、2人を愛して幸せを掴むよ」
「うん……よ、よろしくね」
私は泣きながら朔夜くんに最後のキスをした。
朔夜くんたちが病室から出るまで私は見届けた。
「似合ってるわよ」
「うふふ、ありがとう!お母さん!」
月日は流れて今日はもう卒業式。私はお母さんが着ていた着物と袴を合わせた。
「朔夜くんもきっと……」
「ううん、私は私の人生があるの!だから忘れよ?」
「美椰……ごめんね、お母さん美椰のことを健康な体で産むことができなくて……」
「お母さんのせいじゃない!私お母さんの子で幸せだったから!」
私はお母さんを抱きしめる。私は病気とか関係なく今を生きれるてるのが幸せだから。それが伝わるように抱きしめる。
「よし!行こうよ!」
「そうね、美椰には遅刻癖あるからね?」
「もう!それは昔の話でしょ?」
そんなたわいもない話をしながら家を出て、卒業式に参加した。みんな泣きながら友達と話し合っていたり、みんなまだここからなんだなって思った。私はここで終わってしまう。俯いて下をみる。するとアスファルトに咲いている花が見えた。
「あなたはすごいね……こんなところに咲いて」
「俺の花、見つけた」
「さ、朔夜くん……」
そこには朔夜くんがいた。それに朔夜くんの両親も。朔夜くんは花束を私に渡してくれた。
「俺……あの約束だけは果たしたかったから」
「美椰さん。紫音と綴を抱いてくれないかしら?2人ともどうもお母さんじゃないと笑わないから。」
私は2人を抱くと今まで泣いていた2人が鈴を転がすように笑った。
「私が……お母さん……だよ……ごめんね。こんなおばあちゃんになって……」
白髪に、手はシワシワ。顔にもシワができて、やせ細っておばあちゃんになってしまった。
「俺……この2人がいて幸せだったんだ。だけど……みーちゃんがいなきゃ意味がないんだよ!だから。お願い。最後まで俺と一緒にいて」
こんなに必死になって私を説得するのは最初に出会ったとき以来だった。
「こんなおばあちゃんでいいの……?」
「みーちゃん以外はむり」
「私も、最後まで一緒にいさせてください……」
私は朔夜くんを抱きしめる。
またひまわりの花びらがひとつ落ち、またひとつ落ちる
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