Day21「朝顔」(伊勢美灯子)

 朝、窓際に立ってラジオ体操を終えると、私はあることに気が付いた。……それは、ベランダ。隣の部屋から、何か蔦と……花が伸びてきて、こちらまで侵入している。


 まあ別にいいんだけど。そう思いつつ良く見ると、それは朝顔だった。

 朝だけに咲くから、朝顔。それはまさに、朝が来たことを知らせる存在だ。


 ぼーっと見つめてから、ハッとなる。いけない、学校に行く準備をしなければ。



 今日も校門を潜り、ざわめきの中に身を投じる。私はその中で1人、ため息を吐いた。……皆、朝から元気だな。


「おっはよーっ!」


 そこで背中に降りかかる声、物理的な衝撃。なんとか倒れずには済んだが、私は震えながら振り返った。


「言葉ちゃん……普通に挨拶してください……」

「えー、それじゃつまんないじゃん!」

「面白さは求めてません……」


 そんな話をしながら、2人で校舎まで歩いていく。


 こうして言葉ちゃんに声をかけられると、ああ、朝が来たな、という感じがした。

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