Day19「爆発」(小鳥遊言葉)
破裂音が響いた。
それは、この明け星学園という──騒がしくも、それはそれは平和な──そんな日常を打ち破るに相応しい音だった。
ざわざわとした声が耳に入る。誰もがこちらを仰ぎ、ヒソヒソと何かを囁き合う。ご丁寧にも、こちらに聞こえないように。だけど僕は立ち尽くすのみで、そこから一歩も動いたり、口を開いて何かを言ったり……そういうことは、不可能だった。
「……言葉ちゃん、何してるんですか」
誰もが近寄らない中、というか、僕が近寄るなオーラを出している中、あっさり声を掛けてきた人がいた。聞き慣れた声に振り返って。
「……クッキー……爆発したぁ」
「……は? どうしたらクッキーが爆発するなんてことになるんですか」
目の前には、黒焦げになったクッキーだったもの。そして煙をあげるレンジ。隣には、眉をひそめる灯子ちゃん。
会長、料理出来ないんだ。誰かのそんな声が耳に入り、今度こそ僕は泣いた。ふぇぇぇぇんって。
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