Day18「占い」(小鳥遊言葉)

『今日の第一位は……牡牛座の貴方! 今日は一日、素晴らしい日になるでしょう! 会いたい人にも会えるかも!?』


 誰かがスマホでテレビでも見ているらしい。廊下を歩いていると、少しくぐもった、そんな元気な声が聞こえてきた。


 牡牛座、僕の星座だ。

 ……でも僕は別に、そんなに占いは好きでは無い。信じてないし。


 だって、そんなものに自分の運命だとか、今後の行動を決めつけられてしまったら、たまったもんじゃない。だったら『今』『ここ』にいる僕は、何だ? 自分の意思で何かを決定することに、何の意味がある? ……そう、思ってしまうから。


 ……自分でも卑屈になっている自覚はある。まっ、あくまで僕の意見だ。好きな人は、それでいいと思うよ。


「……あっ、とーこちゃん!!」


 見慣れた後ろ姿に、僕は声を掛ける。すると彼女は振り返り……その口は、うげ、という形で固定されていた。本当にこの子はいつも……。

 苦笑いを浮かべつつ、今日も僕は灯子ちゃんに絡む。彼女は嫌そうな顔をしつつも、それ以上に突っぱねることはなく。


 ……占いなんてなくても、僕は毎日ハッピーだもんねっ!!

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