Day13「流しそうめん」(伊勢美灯子)
昨日のお礼がしたい!! と、言葉ちゃんに生徒会室に呼び出された。昨日のお礼、というのは、一緒にバリケード係をしたことだろうか。結局、あそこはあまり生徒が通りかからなかったので特に何もせず、ただ言葉ちゃんと話していただけなのだが。
だが行かなかった時の彼女の反応を考えると面倒なので、私は大人しく生徒会室へ向かった。そして。
「……何ですか、これ」
「あっ、とーこちゃん! 見た通りだよ~」
その見た通りの光景に戸惑っているのだが。生徒会室に入ってすぐ見えたもの。……それは、巨大ウォータースライダー(?)だった。レールは部屋中満遍なく張り巡らせられており、何だろう……小学生が張り切って自由研究に作りました、という感じだ。だが無駄に頑丈そうなのが、真面目に馬鹿をやっているという感じがする。
はいこれ、と何かを持たされる。それは麺つゆの入った容器、そして箸だった。
「いっくよ~!!」
いや、なんとなく分かるのだが、説明を入れてくれ。そんな私の心の声に構わず、素麺がレールの上を滑ってくる。
気づけば隣には同じように麺つゆと箸を構えている言葉ちゃんがいて、2人で素麺を取り合っていた。
なんだか私も、真面目に馬鹿を、夏をやっているという感じがした。
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