Day12「門番」(小鳥遊言葉)

「……何してるんですか? 言葉ちゃん」

「ここから先は、立入禁止です」


 灯子ちゃんの問いかけに、それだけ答える。はあ、と彼女は、気の抜いた返事をしていた。


「……まあシンプルに、この先で大喧嘩した生徒がいて……壁とかボロッボロで、いつ崩れるか分かんなくて危ないの。だから、通行禁止」

「なるほど……」

「図書室行きたかった感じ?」

「はい。……まあ、急ぎじゃないので」


 彼女は本が好きだ。ま、暇潰しに行きたかっただけだろう。

 後ろにいる業者さんに、後どれくらいで終わりそう? と尋ねる。30分くらいですかね、と返ってきた。早いねぇ。流石、優秀だ。


「どうせ暇ならさ、一緒にバリケード係しよ。あと30分だし」

「……えー……」

「えーじゃないっ。君だって、話し相手いた方が暇も紛れるでしょ?」


 まあ、と、曖昧な返事をして、確実に乗り気では無さそうな灯子ちゃんに、決まりね! と僕は笑うのだった。

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