Day11「飴色」(伊勢美灯子)
とーこちゃん、と呼ばれ、顔を上げる。すると目の前に迫る影があり……条件反射で口を開いた。するとそこに、何かが勢い良く差し込まれる。危うく喉にぶっ刺さりそうだったので、私は恨めしげに前にいる人物を睨んだ。
「……突然飴を差し出すの、やめてください」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと怪我しないように計算してるから」
「何の計算ですか……」
はぁ、とため息をつく。いつかこの人の飴に殺されそうだと思いながら、私は棒を摘み、口の中にある飴を舐めた。……甘い。
口から出して、色を確認する。……それは綺麗な、飴色だった。
「……はちみつ味ですか?」
「え、分かんない。大量に持ち歩きすぎて、自分が何味を持ってるのか……」
「……分かりましたから、出さなくていいです」
証拠だと言わんばかりにポケットから大量の飴をポンポン取り出し、積み上がって山になっていくのを眺め、私は再びため息をつく。
飴を口に戻した。……やはりこの甘さ、はちみつかな。なんて思いながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます