企画 お題で300文字以内の詩か小説を募集 「夏が通り過ぎて」

 東からちょこんと顔を出し、ひどければ深夜まで暑さが追いかけてくる。

 そんな夏がまた始まった。


 あの頃も温度の天気予報は毎日、びっしりと赤い色で地域が染まっていた。

 それでも、どんなに暑い日だと知っていても君と僕は出かけたね。

 やっぱり暑い、と二人で日陰を探して、木の下で座り込む。

 僕たちの間には何故かまるでもう一人いるように間が空いていた。

 そこには照れくささが居たんだと今は思う。そのまま夏は通りすぎたね。


 太陽が僕たちを木の陰に追いやった。

 今の君と僕の間には隙間はない。

 代わりに小さい命が君の腕の中で瞳を閉じる。

 また夏が通りすぎる。




お題で300文字以内の詩か小説を募集

主催者:雲下うさぎ

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