第11話 ~望む未来、望まない未来~

人は強い思念で自分自身の未来に干渉する。

揺るぎない信念から生まれる強い思念は、望まない未来を寄せ付けない。

だから、その思念が強ければ強いほど、他人の不必要な干渉を受けることなく、望む未来を手にすることができる。


ただ、多くの人は無駄に他人と比較して、妬み、腐り、卑しみ、自分の思いに迷い、未来を疑う。

そういう人の未来は、他人から干渉を受けやすく、より混沌とする。


覚醒の後、気が付いたことがある。


覚醒した僕の思念は人の思念と共鳴し、その人の未来に深く干渉してしまう。


僕が覚醒の時に最初に見る、まっすぐに伸びた鏡の中のその姿は、その人が望む未来。

僕が目をそらした際に、横に振れた鏡に見えるのは、その人が望まない未来の姿。


混沌とした望まない未来に恐怖する人は、たやすく望まない未来を映しだす。

覚醒した僕の思念に干渉されたその人は、望まない方の未来に向かっていく。


親友からの強い理不尽がきっかけで覚醒した、この不思議な能力とは、自分の中で行き場を失って暴走した思念が作り出した自己防衛本能の1つなのだろう。


そうでなければ、僕が未来を失っていたのかもしれない。

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