第9話 ~卑怯者~

体操着事件の翌日、昼休み、いつものように体育館脇で一人遊びに興じていたときだった。


「お前が盗んだんだろぉ~」


同じクラスの3人と、かつての親友が現われて、僕を膝で小突きながらそう声を掛けてきた。


「僕は知らない」


昨日と同じ返事しかできなかった。


「お前のロッカーから出てきたんだぞ~」

「お前がやった以外に考えられるかよ」

「早く、謝ってこいよ」


後ろの3人が怒鳴なり声で恫喝(どうかつ)してきた。


「だから、本当に知らない」


後ろの3人の一人が目配せをすると、元親友は胸ぐらをつかんで座っていた僕を起き上がらせた。


「なんだよ」


僕がそういうと、僕を後ろに突き飛ばした。


「じゃぁ、誰がやったっていうんだよ、人のせいにするなんて卑怯なやつ」

「嘘はよくないなぁ~」

「お仕置き、お仕置き」


そういって、また目配せをする。

今度は僕に馬乗りになってこぶしを振り上げた。


「うわぁ~~~」


大きな声で叫びながら、そのこぶしを振り下ろす。

その後、暗闇の中で起きたこと以外、僕はよく覚えていない。

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