風紀委員長、その華麗なる日々

私の名前は向島 瑠璃。

とある高校で風紀委員長をやらせてもらってる者である。容姿端麗、冷静沈着、才色兼備の私に掛かれば、たかが高校の風紀を守るぐらい容易いものである。

今は、お昼になったので風紀委員室でお弁当を食べながら書類の整理を進めているのだけど、本当に私って優雅過ぎる。

これで私に彼氏が居ないのが、甚だ疑問で仕方ないのだけど、まぁ、焦らずともその内に出来るわよね。焦ったら負けよ瑠璃。


「た、大変です!!向島さーーーん!!」


突然、息を荒げて風紀委員室に入ってくる、風紀委員の下っ端一号の女子。全く騒々しいったら無いわね。


「どうしたの?そんなに慌てて、全く風紀委員のアナタが風紀を乱してどうするのよ。」


「すいません向島さん!!でもそれどころじゃなくて!!覗きをスタンばってる男子が居るんです!!女子更衣室の前で双眼鏡を両手に持って、ソワソワしながら辺りを見渡してるんです!!きっと5時間目に体育の授業がある3-Bの女生徒を狙っているようです。」


それを聞いて私は頭を抱えた。

また奴だ。バカ島の奴だ。最近大人しくしてると思っていたのに、分かりやすく悪事を働こうとしていて嫌になる。


「行くわよ。」


「はい!!」


こうして私は下っ端一号と共に現場に急行。柱に隠れて挙動不審気味のバカ島の脳天に右脚でネリチャギ(踵落とし)を決めてやった。


"ドゴッ!!"


「ギャンッ!!」


君の悪い悲鳴を上げ、頭を抑えてうずくまるバカ島。全く愚か者にも程がある。

黒髪のツンツン頭で目つきの悪いコイツの本名は毒島 青春といい。過大の馬鹿者にして、ど阿呆な男である。よって付いたあだ名がバカ島 アホ春。

どのぐらいバカでアホかというと、巨乳の女生徒に1時間一万円でどうだ?とか如何わしい交渉を持ちかけたり、美人の英語のアメリカ人女教師に「ラストサムライの僕と一戦やりませんか?」と言って泣かせて上に、「日本ニハ二度ト来マセン!!」言わせて本国に帰還させた前科を持つ男である。

どうしてこんな男が未だに大学になっていないかというと、一重にコイツの親父が毒島コンツェルンという大企業の息子で、その親父が多額の寄付を我が校にしているらしく、この男が何をしてもお咎めなしなのは、そのせいである。


まぁ、ハッキリ言って私にはそんなこと関係ないので、コイツが何かやらかせば、その都度制裁を加えるのが習慣になっている……嫌な習慣だな。


「イッテェな!!何すんだ!!八百屋の娘!!」


ギロリとコチラを睨むバカ島。このようにコイツは人の名前を言わずに、親の職業の男or娘などという失礼極まりない呼び方をする。大根で頭かち割るぞコラ。


「毎回毎回、貴様は何かやらかさないと気が済まないのか?」


私がそう問うてみると、バカ島は自信満々にこう言い放った。


「女にセクハラしても罪に問われない内にセクハラやエッチなことを楽しむ。俺は高校裏口入学の際にそう決めたのさ!!」


……本当にどうしようもない男だ。死んだ方が世のため人のためだな。

というか裏口入学してたんかい。


「よし、お前のような男は自主退学させよう。ほら、ペンを持て。私が紙を持参してきたから一筆【この学校を辞めます、探さないでください】と書くんだ。」


「いやだ、このパラダイスから俺は出ていかないぞ!!ってか、俺を失踪させるつもりかよ!!」


チッ、やはり口で言っても無駄か。


「書くまで殴ら続けるぞ?良いのか?」


「やってみろ!!」


有言実行が座右の銘の私は、それから龍虎乱舞、鳳凰脚などの技を繰り出してバカ島をボコボコにしたが、この男は昼休みの間、私の猛攻を耐え切った。時折殴られて笑顔を見せていたので、痛みに快感を得るタイプの人間だったらしい。

これは私の失敗だった。爪の間に針を刺したりする拷問系にすることにしよう。

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