屈辱の元風紀委員長!!元エロ男子の軍門に下る!!
タヌキング
三十路前の元風紀委員長
「こんな筈じゃなかったのに…。」
高架下の居酒屋のカウンターの席に座り、レバ刺しを肴に、あんずサワーを飲みながら私はそんな独り言を呟いた。
私の名前は向町 瑠璃(むこうまち るり)。とある食品会社でOLとして働く29歳のおんなである。
こんな筈じゃなかったのにというのは、29歳にもなって結婚どころか男性とお付き合いした経験もなく、粛々と酒を飲んでいる今の現状を嘆いてのことだ。
客観的に自分の容姿を見ても、メガネの似合う黒髪ロングクールビューティーだと思う。別に自惚れているわけではなくて、顔のことはよく他人から褒められるのだ。お高くなってるわけではない。
それなのにどうして1人なのかというと、この潔癖な性格だからだろうか?合コンに行っても下心丸見えの男は嫌悪して恋愛対象として見れないし、妻子ある身で私に関係を迫ってきた上司にウルトラスーパーアルゼンチンバックブリーカーを決めてしまったことがある。
高校の時は風紀委員として、学校の風紀を厳しく取り締まっていたので、それが私の潔癖の起源かもしれない。
だとしたら後悔は無いのだが、まさか30手前になるまで素敵な男性とのイチャイチャが無いとは思いはしなかった。
私だって、お付き合いした男性とペアルックの服を着て、ネズミの王国でキャッキャッ♪ウフフ♪と楽しみたかった。でも、もうそれは儚い夢かもしれない。
「向町さんって美人だけど男受け悪そうだよね。」
ふと会社の給湯室で、私の後輩たちがそんな会話をしているのを耳にした。いつもは私に、にこやかな笑顔を振りまいてくれる可愛い後輩だけに、影で悪口を言っているのを聞くと胸が痛んだ。
美人だけど男受け悪そうか、言い得て妙だ。まさにその通り、目を背けたくなるぐらい本当のことだ。
「ぷふぁ!!」
あんずサワーの一杯目をハイペースで飲んだので、案外早く酔いが回った。早くお代わりを頼もう。
酒を飲んで辛いことを忘れないと、明日の仕事に差し支える。飲み過ぎても二日酔いで差し支えるので、ちょうど良いところを見極めないとな。飲み過ぎだと注意してくれる人も傍に居ないのだから。
やべ、涙が出てきそうだ。上を向こう。
「すいません、もしかして向町 瑠璃さんじゃないですか?」
ふと隣の客から声をかけられ、振り向くとそこにはブランド物のスーツを着た、清潔感のあるイケメンが座っていた。
この人は私の名前をフルネームで知っているようだが、私には一向に見覚えがない。
私は酔っ払いモードから仕事モードに頭を切り替えて尋ねてみることにした。
「失礼ですが何方ですか?」
「あっ、分かりませんか?ほら、アナタによくお世話になった毒島 清春(ぶすじま きよはる)ですよ。」
毒島?……えっ?
「えぇええええ!!あのバカ島 アホ春ーーーー!?」
「……あはは、僕の昔のあだ名酷いですね。」
衝撃的再会になったが、詳しい詳細は次回を待たれよ。
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