第20話 命がけの試練

 ある日、科師部にいる時であった。突然、宮姫が倒れる。突然意識を失い、その状態は眼を閉じて全く動かない。夜の眠りから覚める時は部屋の隅で睡眠をとる。

朝になれば自然と目を覚ます。しかし、今は起こしても眠ったままである。


 俺は急いで顧問の佐藤先生を探す。佐藤先生は霊力が強く、この状況を解決できるはずだ。


 確か珈琲を入れているはずだ。俺は佐藤先生を探しに行くと珈琲を入れていた。


「佐藤先生、宮姫が!!!」

「どれ」


 佐藤先生は宮姫の様子を色々調べてみる。


「これは、霊的エネルギーがつきかけている。何か資料が欲しい、宮姫と一緒に何か無かったか?」

「はい、調べてみます」


 ここは一旦、家に帰って蔵の中を探してみよう。俺は急いで家に帰ると蔵の中に入り何かないかと探してみる。宮姫の入っていた箱の近くを探す。


「あった!」


 この書物に違いない。急いで科師部に向かおう。そして、科師部に着くと佐藤先生に書物を渡す。


「この書物が見つかりました」

「分かった、直ぐに読もう」


 佐藤先生は読み始める。


 ―――――

 ここに、最後に姫様に出来る事と、私の想いを残そうと思う。私は戦に敗れた責任を取り、もうすぐ切腹することになり。そう、少し後悔していた。姫様に秘術をかけたことを。私が死ねば、秘術は自然と解け姫様は……。しかし、秘術を少し変えて未来に託すことも出来る。私は迷っていた姫様に永遠の苦しみを与えるのではないか?万物の掟に逆らって、永遠の命を与えるのだから。だからこそ秘術をかけ直し、未来の者に姫様を託そうと思う。ただし、その未来の者が本当に姫様を幸せに出来ない時のために工夫をしておこう。それは姫様が本当に幸せな生活が送れなかったら秘術が解けるようにし。未来の者が、この本を読んでそれでも姫様を求めるならヒントを残そうと思う。『命を賭け。それを姫様が受け入れたなら、共に生きることが出来よう』これが私に出来る最後のこと、姫様に幸があることを心から願います。

―――――

「佐藤先生、これは……」

「宮姫を作った者の苦悩と現状を解決法が描かれているようだな」

「先生、具体的には?」

「霊能力者が命をかけると言えば、それは霊能力を一時的に極限まで高め、電気ショックの様に対象に霊力を流すこととしか考えられない」

「今の俺に出来ますか?」

「分からない。しかし、命がけと書いてあったのだから、その決意はいるかな」

「はい」

「ではコツを教えよう」

「はい」

「まず、手のひらに全霊能力を集中させ、いっきに放つ、口で言うのは簡単だが、現実は厳しいです」

「かまいません、もう俺は宮姫なしの生活など考えられません」

「そこまでの決意があるなら、何も言うまい。早速やってみるのだ、霊能力を集中させるには、霊力が手も平に集まる様にイメージするのだ」


 やるしかないか、本当に命がけになりそうだ。俺は力が手のひらに、霊力が集まるイメージした、すると、手のひらが熱く感じる。


「くっ、これかなりキツイね、先生この後は?」

「手のひらを宮姫に当てて、いっきに放つ」

「よし、やるぞ」


 俺は宮姫に手を当てていっきに霊力を放つ。すると、一瞬、すさまじい、光を放ち、やった自分でさえも、その現象に驚きを隠せないでいる。そして、全身の力が抜け、崩れ落ちる。


「うん……」

「宮姫?」

「どうした?主殿、顔が真っ青だぞ」

「あいかわらす、生意気な奴だな」

「しかし、我は何をしていたのだ?」

「ちょっと、ネジまいてやっただけだ」

「そうか、世話になったな、ありがとう」

「気持ち悪いこと言うなよ、お前は憎まれ口で十分だ」

「何を言う、このツンデレ主殿が……」


 どうやら俺は死なずに済んだし、宮姫も回復した。その伝説の陰陽師は本当に宮姫のこと愛していたのだろ。禁断の恋ゆえ病の宮姫に何も出来ずに己の無力さに苦しんだはず『陰陽の髪飾り』として永遠を与えたことも、かなり悩んだはずだ。俺はそんな悲しみを無にしないようにせねば。


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