第18話 あこがれ
美術室の奥の倉庫に眠っている絵が、問題を起こしたそうだ。佐藤先生と寺田舞と一緒に美術室に急ぐ、そして。倉庫にたどり着くそこには倒れた少女と少女が描かれた絵があった。
「これが問題の呪われた絵か」
そこにはすでに、ダビンチが来ている。
「この生徒はどうなるの?」
寺田さんが心配そうに言う。
「おらく。一生、眠り続けたまま」
ダビンチは悲観的なことを言うが、それがどうやら現実の様だ。何故この様な強力な呪いのかかった物があるのか不思議だがそもそも絵という物には人の思念が入りやすいらしい。
「この女子を救う。俺が代わりに呪いを受ける」
正義の味方きどりでは無いが、宮姫の過去の件で少しでも明星と言う陰陽師に近づきたかったからだ。
「分かった、なるべくこっちも協力する」
ダビンチが俺の提案を快諾する。そして、俺はキャンバスに触れると、光を放ち俺はキャンバスに閉じ込められる。
「寺田、この女子を保健室まで運んでくれないか?」
佐藤先生はそう言うと二人は出て行った。
「今時から、霊的結界を張って西澤君が動きやすいようにする、ダビンチ、手伝ってくれ」
「はい」
そして、佐藤先生とダビンチはキャンバスに向かって力を込める。
「うん?俺はどうしのだ?そうかここはキャンバスの中か……」
俺は必至にもがいて原因を探した。すると闇が渦を巻いている所を見つける。どうやらここらしい。
闇の中に女生徒がいる。
「助けて下さい」
「分かった、それで原因は分かるか?」
「私はある生徒に霊的能力でこの中に閉じ込められ、それ以来、同じ思いをする人が欲しくて、無関係の人を閉じ込めているの」
「これは、強力な呪いのせいで、被害者事態が悪霊化している」
宮姫が何時の間には隣に居て解説をする。
「宮姫、居たのか」
「あぁ、今、来たところだ」
「助かる。で、どうする?」
「佐藤先生とダビンチの援護がある。我に力を集中せよ、主殿」
「良く分からないがやってみる」
俺は宮姫に手をかざした、すると、宮姫は光だし、闇を消し去る。
「私……今まで何を……」
女子生徒から生気ある声が聞こえた。
「良かった、正気を取り戻した」
「今、出口を作る、少し待っていてくれ」
外から佐藤先生の声が聞こえる。
「助かった、さあ、君も行こう」
「私は残るわ」
少女は悲しげにつぶやく。
「え?」
「私はすでに死んだ身、ここを出ても意味が無い」
「確かにそうかもしれないでも、ここに居たらまた悪霊化してしまう」
しかし、俺も少し気持ちが揺らいだ、肉体が無い状態で、外の世界に出てしますと、彼女がどうなるか分からない。
「それは無いわ」
「私は昔、たちの悪い生徒に一方的に好かれ、この中に閉じ込められた」
「でも、君たちの、光で私は救われた、もう、人を呪うこともないでしょう」
「さあ、貴方達には戻るべきところがあるはず」
「そうか」
哀しい話である、彼女にはもう戻るべき所がないのかと思うと仕方ない。
これが俺に出来る最大限の事か……。
やはりあの明星なる陰陽師には勝てないのか。
「主どの帰ろう、皆の待っている世界に」
そして光に導かれるように俺たちは外の世界へと帰って行った。そして、キャンバスには先ほどの女生徒が描かれている。少し幸せそうだ。たとえ普通の人生が送れなくても、その表情にくもりは無かった。
「やはり主殿には人の心を癒す力があるようじゃ」
「どうした、宮姫?」
「少し、あの方の事を思い出していた、あの方も人の心を癒す力があったと」
そうか、俺も少しはその陰陽師に近づけたか。しかし、少し疲れた。
「無理もない、普段使わぬ、霊揚力を使ったのだからだ」
「なら、西澤君、今日は帰って良いです」
佐藤先生は早退の許可をくれた。今日は命を張ったかいがあった。良いことはするものだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます