第4話 カーテン



「うーん、どれにするかな」



カーテンを選びに天井から吊るされたカーテンがずらりと並ぶカーテン売り場に来ていた。



「おい、京太郎、京太郎」



「何だ?」



上着の服の裾を掴まれて呼ばれた俺はゆうきの方へ振り返る。



「見ろよ。あそこの子、めちゃくちゃおっぱいでかいぞ。おまけに美人だし」



「お前なぁ〜」



俺は呆れながらもゆうきの指差した方を見る。



うん、確かに美人だ。



「あ〜抱っこされて、あのおっぱいの谷間に挟まれたい……」



俺はゆうきが女の人の膝の上に抱っこされて「あ〜」と喜びの声をあげる姿を想像した。



うん、悪くないな。



「おれも、あのくらいおっぱいが大きくなればなぁ。揉むと大きくなるって言うけど本当かな」



そう言ってゆうきは自分の胸を鷲掴んで揉み始めた。



「おい、店内でそんな胸を揉むな」



「なんだよ、別にいいだろう俺の身体なんだから」



そう言うわけにはいかない。

周りの視線はどう見てもこちらを見ているのだ。



ゆうきが気にしなくても俺は視線に耐えられない。



「京太郎は昔から周りのことを気にしすぎるだよ」



「ゆうきはもう少し気にしてくれ」



俺たちはカーテンを選んでそさくさとその場を退散する。



カーテンは結局、無難な無地を買った。



「ごめん、ちょっと……」



「んー……わかったあっちのベンチで待ってるよ」



俺は帰る前にトイレに寄った。



「ふぅ……」



用をたしている最中、先ほどのゆうきが乳を揉む様を思い出す。

そのせいか思いがけず、下半身が元気になる。



「なんか、京介さっきより背が低くなってないか?」



トイレから出るとゆうきが怪訝そうに見つめてきた。



「き、気のせいだろう」



俺は猫背気味に目を逸らして誤魔化した。



お前のせいだよ。

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