第7話 発見された死体
だが、少なくともあの男は、競い合っている間は、真剣だったことは間違いない。そこまで否定してしまうと、同時に自分も否定することになる。それを思うと、準之助は考え込んでしまった。
それに不思議なのは、このあざとい失踪事件である。
一体何を考えて彼は失踪したというのだろう。考えられるのは自殺であるが、彼に自殺をする何かがあったとは思えない。
「刑事さん、彼には何か、自殺をするようなことがあったんですか?」
と言われて、刑事は頭を傾げていた。
「彼は確か芸能人なんですよね? よくあるのが女性関係の縺れだったり、三角関係だったりが考えられるんですが。ちなみに、彼は独身だったんですか?」
と訊かれた刑事は、
「ええ、独身ではあったみたいだけど、愛人と呼ばれる女は複数いたようです。週に何度も外泊していて、それがどうも曜日によって、違う女のところに通っているという感じのようですね」
と言われ、訝しそうになった準之助だが、
「それで女の方はよかったんですかね?」
というと、
「そりゃあ、よかったと思いますよ。週に一度相手をするだけで、お金は貰えるし、いずれは結婚できるかも知れないし、中には芸能界に口をきいてやると言われた女もいたくらいですね。もちろん、ウソだったようですが、遊び相手のオンナで、芸能界志望の人は、やつの口車に騙されて、プロデゥーサーなる男性のところに行って、『そのうちにデビューさせてやる』という甘い言葉にコロッと騙されて、売春をさせられた子もいるようです。でも、やつの付き合っている女たちは利用価値があるんでしょうね。そういう意味では、どっちもどっちというところでしょうか?」
と訊かされて、ますます訝しい顔になった準之助だった。
「私はそういう世界にはまったく疎いので、よくは分かりませんが、少なくとも私と勝負している時の彼の顔は、なかなか精悍な表情だったと思います。ちゃんと芸術と向き合っていたとでもいうんでしょうか。そんなやつを、ちょっと見直した時間帯があったくらいです」
というと、
「なるほど、じゃあ、相手と場所によってまったく違う顔を持っているのかも知れない。しかもカメレオンのようにその時々でしっかり姿や色を変える。保護色になってなれるというもので、ひょっとすると。やつが影から操っている目に見えていない犯罪も結構あるのかも知れないな」
というような物騒な話をしていた。
きっと、それだけのことをしかねない男だということが、ここ数日の捜査で分かってきたのだろう。
「でも、それだけ好き放題できるということは、誰かパトロンのような人がいるのかな? ただの芸能人なら、そんな好き勝手はできないでしょう。しかも、出る杭が打たれるのが、芸能界というところではないんでしょうか?」
と訊くと、
「その通りです。我々もそのあたりを探っているところですよ」
「そういう意味で、もう一つ気になるウワサを聴いたんですが、彼のお兄さん、つまりあなたと最初に戦う予定になっていた人も、最近結構金回りがいいらしいんです。女遊びやギャンブルに嵌ったりをしているわけではないんですが。自分の家を改造して、自宅に研究室を作ったり、お金がかかる研究を独自に行ったりしていて、まわりからも、『どこから金が出ているんだろう?』といわれているそうなんです」
と言っていた。
「ほう、じゃあ、兄弟でパトロンがいるのか、それとも、どちらかが、何かでお金が入ってくることがあるのかですね」。ところで、その橋本教授の方の評判というのはどうなんですか?」
「悪くはないようですおよ。彼の研究は実際に成功していて、学会でも認められることが多いというし、研究に没頭し始めると。何をおいても、そっちに集中するそうですからね。この間の対決も自分から申し込んだようになっていますが、実際にそうだったんでしょうか? 彼はいつ研究が入るかも知れないということで、基本的にああいう決闘のようなものを自分から申し込むことはないはずなのにという風にまわりの人は思っていたようです。しかも研究室や大学関係者の人はそう思っていたはずです」
と言われて、
「確かに、ハッキリと対決を申し込むというわけではなかったんですが、あまりにも言い方が挑発的だったので、こちらがその挑戦に乗ってやろうという程度のことだったと思います。私も侮辱されたりすると、すぐに怒り心頭に発する方なので、見境がなくなってきたのは私の方だったのかも知れませんね」
と、思い出しながら言った。
「あなたの逆さ絵に対しての挑発だったわけですよね? 実際に教授はあれだけ研究に没頭する人なので、逆さ絵に関して自分で趣味にでもしていない限り、手を出しているとは思えないんですよ。それはまわりの人の話でも伺えました。ただ、教授の助手に話を伺うと、『先生は独自に自分の自宅にある研究室で何かの研究をしていたのは確かなんです。心理的なことだとは思うんですが、よくそこを弟の羽村氏が訪れていたと言います。最初の頃は、ちょくちょくという程度だったのが、そのうち頻繁になってきて、週に二回くらいは来るようになったと言います。朝から来て、夕方近くまでいたそうですが、芸能人で結構スケジュールが詰まっている中での週に二回というのは、結構大変だったんじゃないでしょうか? それだけ兄弟の中で、重要なことだったのではないかという話でした」
と刑事がいうと、
「やはり逆さ絵に対して何か実験されていたということでしょうか?」
と訊くと、
「ハッキリは分かりません。もちろん、教授に訊ねてみましたが、研究の話なので口外できないということでした。音うろが行方不明になったというだけのことなので、こちらもそこまで強くは言えないので、今のところ、不明としか言えないですね。ちなみに逆さ絵というのは、どういうジャンルになるんですか?」
と訊かれて、
「そもそも、私の師匠である勝野光一郎先生が始めた技法だったのですが、最初は左右を逆に描く。つまり鏡に映ったような描き方をするのが、逆さ絵というジャンルだったんですが、そのうちに上下反転も描くようになったんです。それを今は逆さ絵というジャンルになったんだと聞いています」
「それは、最初に写真で逆に写るように現像したものを見て描いたりしていたんでしょうかね?」
と訊かれて。
「本当の最初はそうだったのかも知れません。もちろん、その時は一つの画法として確立されるなど思ってもいなかったのでしょう。実はこれは心理学の話で聴いたことがあったのですが、幼児などが、何も分からずによく逆さの絵を描くというらしいのですが、それは、視覚と脳の問題から、一種の病気であり、ディスレクシアという名前の病気だという話も聞いたことがあります。元々が逆さまに見えてしまっているということのようですね」
と準之助は答えた。
「そうなんですね。逆さ絵というのは、左右だけではなく、上下逆さというのもありますよね。いわゆるだまし絵なるものもあるように聞いたことがあります。これは写真などでよく聞かれる話ですが、『サッチャー錯視』などという言葉み聞いたことがありました」
と刑事がいうと、
「そうですね。いろいろな研究はなされているようですが、左脳モードから右脳モードへの転換ということが言われていると聞きます。逆さ絵を描くというのは、そういう脳のモードが影響していると言えるのではないでしょうか?」
と準之助が言うと、
「そういえば、教授の助手が面白いことを言っていましたね。教授の研究というのは、誰もが不思議なことだと思っているんだけど、問題視しない。つまり、言われるとなるほど不思議なことで誰もそれの回廊を言い当てることはできない。もちろん、ハッキリとした理屈が解明されているわけではない。そんなことを自分は研究しているんだという話をしているようでしたけどね」
と刑事は言った。
「なるほど、そういうことですね」
と準之助は、何かに気付いたような気がして、どうやら、目からうろこが折れたような気がしているというのを刑事にも分かった気がしたが、ここは準之助を言及することはしなかった。
下手に追求しても、ハッキリとは言わないのが準之助であって、そういう意味では準之助という人間の頭の構造は、教授という人種と似通ったところがあるのかも知れない。つまりは、芸術家でありながら、研究家のような部分もある。だから、逆さ絵においても、完全な助手ではなく、先生と違ったかたちの流派を作り上げることができたのだろう。
普通であれば、そんなに簡単に、弟子として、別の流派を確立するところまでは来ないものだ。破門にでもなったのであれば分からなくもないが、あくまでも弟子であることに違いはない。
刑事もさすがに先代の勝野氏と準之助の今までのいきさつの詳しい話までは分かっているわけではないので、その気持ちに変わりはないのだと思っているが、そういう意味で、準之助はたぶん、最後まで心の奥底を話すことはないだろう。
刑事は、そんなことを考えながら、行方不明者の捜索するにおいて、失踪した理由を精神的に分析したいという立場で、少し立ち入ったことも聞いたが、これ以上の話をしても、捜索に関係のある話を伺うこともできないと考えてか、その日は引き下がることにした。
「最後に聞きたいんですが、ズバリ、今回の失踪に何かの犯罪が絡んでいるとお考えなんでしょうか?」
と準之助は訊ねた。
「どういう意味でしょうか?」
「捜索願を受理して捜索している事情として、彼が芸能人だという意味での影響力があるのは分かりました。でも。警察が動くからには、何か芸能人であることで、その裏に事件の匂いを感じておられるから、捜索を最優先にしたと言えるのではないかと思ってですね。もしそうであるとすれば、この事件がただの失踪事件ではなく、失踪だけではことは解決しないということになるんですよね? いなくなったことで、何かの事件に巻き込まれたという可能性について伺いたいと思ってですね」
と準之助が訊いた。
「そこは捜査上の秘密というところでご勘弁を願いたいと思うのですが、警察は、事件、事故、そして本人の意志による失踪、あらゆる可能性を考えて捜査をしているつもりです。一つ一つ事実を見つけていくうちに、少しずつ、事実でないことに関しては消えていく。それを目指すのが警察の地道な捜査というものだと私は思っています」
と刑事は言った。
「なるほどですね。確かにその通りだとは思います。しかし、失踪した人間に何かの意図があったのだとすれば、その延長線上に、自殺ということも引っかかってきますよね? そうでないと特に芸能人というのは、顔も知名度も売れています。ただでさえプライベートンの時は、まるで何かの犯罪者のように、帽子を目深にかぶってサングラスをしたりして、まわりから見れば、下手な変装をしていれば、これほど怪しい人間はいないと言えますよね。それを思うと、ここまで誰にも見つからずにいるというのは、すでにこの世にいないのではないかとも考えられるような気がするんですよ。警察が危惧されているのはそのあたりではないかと思ったのですが、いかがでしょう?」
と、準之助がいうと、刑事二人は顔を見合わせて、少し考え込んでから、話し始めた……。
「いや、これはごもっともなことだと思います。我々も彼が芸能人で、特に若い人たちのカリスマ的なところがあるのは分かっていますので、変装してなければ、パニックになるくらいの人です。それが一週間とはいえ、失踪したということを隠しておけるだけの事務所に力があるのかも知れませんが、民間で見かけた人がいないというのも、何かおかしな気がしましてね。ただ芸能人ということもあり、何かの事件に巻き込まれた。あるいは、彼を狙った犯罪が影で暗躍しているという考えも捨てきれません。やはり今は考えられることすべてで捜査しなければいけないと思っているんですよ。でも、今世の中で一日にたくさんの人が行方不明になっている。それを思うと、見つかる人の確率はそんなにはないですからね。失踪した時点で、覚悟をして捜索願を出す人も少なくないんじゃないかと思うんですよ」
と刑事は言った。
「こちらからもいろいろ質問して申し訳ありませんでした」
と準之助は言ったが、それは半分本音で、半分は訊きたいことが訊けてよかったという思いも強かった。
何といっても、羽村は少なくとも芸術に対して真摯であり、真面目に取り組んでいることで見直したと思った人物である。少しずつ興味を持つようになったのも事実で、話をもっといろいろ聞いてみればよかったとも思っている。そういう意味で、一度ゆっくり話も聞いてみたかった。なぜ、強引と言える形でこの勝負に割り込んできたのか、まるで最初から計画されていたことのように思えていただけに、ハッキリしないまま終わってしまうのは、どうにも虫が好かなかった。そうでないと、結果的には自分の勝ちということであったが、何かムズムズしたものが残ってしまう。本当に自分の勝利だったのか、その気持ちすら怪しいものに感じられるからだった。
刑事はその日帰っていったが、もう一度来訪を受けたのはさらに一週間後であった。それは最悪の形で羽村が見つかったということであり、自殺だとしても何か納得のいかないことであったと思うのに、それがどうやら他殺だというのだ。しかも今まで発見されなかったのは、殺害されてから、しばらくはどこか別の場所にあったのか、急に発見されたのだという、前の日にはそこにはなかったという複数の証言があったと警察は言っているようで、この間と同じ刑事の訪問を受けた時、
「明日の新聞に、載ることになるんだけど、死体が発見されたのは、ここから三十キロほど離れた海水浴場がある砂浜だったんですよ。今はシーズンオフなので、すぐに見つかる場所ではないんだけど、毎日同じ時間に散歩をする人がいて、その人がいうには、間違いなく前日には、そんなところに死体はなかったというんですよ」
ということだった。
「どこかから流されてきたんじゃないですか? 飛び降り自殺の結果流れついたとか?」
と言ったが、普通であれば、考えられないことだと分かっていながらとりあえず聞いてみたのだ。
「いや、それはないですね。死体にはそんな損傷はなかったですからね」
それはそうだろう、流れ着いたとすれば、身体中が傷だらけになっているはずなので、そうではないのはよく分かった。
刑事は続けた。
「それだけじゃあないんですよ。彼の死体のすぐそばに彼に遺留品があったんです」
「遺留品?」
「ええ、それは彼のサインの入った絵だったんですが、それは逆さ絵だったようで、この間、山本さんと対決をした時に描かれた作品だそうなんですよ」
というではないか。
あの時の作品は、写真撮影だけをして、お互いに返された。実はあの時に、準之助は一つの発見をした。
「逆さ絵を写真で写すと、自分の絵は、元々が逆さ絵だということがすぐに分かるのに、羽村氏の作品には、逆さ絵だという感覚がないんですよ。カメラに撮るとぎこちなさがないんだ。それが彼の作品の特徴なのかも知れない」
という思いだった。
この思いは、準之助にとっては屈辱だった。
だが、描き方はお互いにまったく別であり、できる作品も、
「私なら、あんな作品には仕上がらないな」
と思ったほどだった。
一度写メに撮って、それを逆さまに映す。そんな技法を用いて、描くというのは、昔からの手法、いわゆる、
「絵画の作法」
を根本から覆すようなものだった。
それを思うと、勝野氏から受け継がれた精神が崩された気がした。
だけど、今から思うと、勝野氏も、
「これは自由な作品なので、私の手法をマネする必要はないんだ。もしマネでもしようものなら、その時点で逆さ絵を描くという精神から離れてしまうように思える。だから絶対に私のマネをしないでほしい。ただし、何かの道具を使って逆さに被写体を写し出して。それを模写する分には何ら問題はない。それがその人のオリジナルの技法になるんだからね。しかも、そのオリジナルな発想は、自分だけに言えることではなく、皆に言えるんだ。もっともこの発想は、逆さ絵を極めてくれば、おのずと分かってくるものだと思うからだね」
と言っていた、
ということは、羽村氏は独自に逆さ絵を独自に極めていたということであろうか?
「羽村さんの死因は何だったんでしょうか?」
と準之助が訊くと、
「ないふぃで刺された傷ですね。どうやら、出血多量による死だったようです。死亡推定時刻は、どうも死後だいぶ経っているのでハッキリとは分かりませんが、一週間近いのではないかということですね」
という。
「ということは、捜索願が出される前には死んでいたということでしょうか?」
「そうなるかも知れません。まずは、どこで殺されて、どうしてあの場所に遺棄したのかが問題ですよね。殺すだけが目的なら、そのままどこかに埋めてしまうなりすればいいものを、後になってしばらくして発見させたのには何か意味があるのでしょうか? 死亡推定時刻も曖昧になり、一歩間違えば、死体の損傷も出てくる頃かも知れない。だからと言って、昔と違って身元の確認が行えないわけではない。もっとも白骨になってしまえば、さすがにDNA鑑定したとしても、死亡推定時期の行方不明者全員を当たるわけにもいかない。しかも、かならず捜索願が出ているとは限りませんからね。警察は捜索願を出そうとしても、この間の話のように、事件性などの優先順位を考えて受理、捜査を行うので、なかなか難しいですよね。それが犯人の狙いなのかとも思いましたが、この中途半端な時期に見つかるようにわざと海岸に放置するというのがよく分からないんですよ。顔に損傷があったわけではないので、彼のような有名人であれば、捜査員の中で誰かが気付くはずですからね」
と刑事が話をした。
準之助もその意見には賛成だった。ただ、準之助が気になったのは、彼が描いた逆さ絵だった。
準之助は思い立ったように刑事にお願いをしてみた。
「すみません。もしよかったらでいいのですが、彼の死体のそばに置かれていたという絵というものを見せていただくことは差し支えないでしょうか?」
と、準之助は言った。
「ええ、構いませんよ。むしろ,我々もそれをお願いしにきたんです。あの絵をご確認いただけるのは、たぶん山本さんだけですからね。何か気になることがあれば、些細なことでも何でもご指摘いただければありがたいんです。それほど今回の事件は、何も分かっておらず、手掛かりはあの絵ではないかと思いましたのでですね」
と刑事這は言った。
なるほど、刑事が準之助をわざわざ訪ねてきたのはそこに理由があるのだろう。普通であれば、現場を中心に、徐々にその範囲を広げていくことで、殺害現場や犯人像に迫っていきたいところなのだろうが、まず犯人像が掴めない。なぜなら、犯人の行動が不可解で、何を考えているのか分からないところから、どうやって犯人像を探ればいいというのだろうか。プロファイリングの方でもお手上げのようで、今のところ警察の科学捜査が及ぶところではないという話になっていた。
「今のところ捜査は、昭和の地道な捜査しかできない状態なんです。これがある意味犯人の狙いだとしても、ただそれだけなのかとどうしても勘ぐってしまうんですよね」
と、刑事はいうのだった。
本当にお手上げと言ったところであろうか。そんな刑事の様子を見ていると、一縷の望みをあの絵に感じたのも分からないでもなかった。
さすがに証拠品となるものを署の外に運び出すことはできなかった。一応被害者の殺人事件としての捜査本部は、死体が発見されたT署にあるので、取り調べに来た刑事がK署、つまり羽村の居住地である捜索願を出した管轄の警察署の人間が持ち出すわけにはいかなかった。
捜査本部には、協力という形でK署から派遣されてはきているが、管轄という縄張り争いの激しい警察では、証拠品を簡単に持ち出すことはご法度であった。
パトカーに乗って、準之助を乗せた覆面パトカーが、高速道路を通っても、約一時間はかかるT署に到着すると、さっと刑事たちに緊張感を感じた。
――やっぱり警察の管轄という縄張り感覚は、今の時代にも叙実にあるんだ――
と感じさせられた。
遺体の方は解剖に回されているということで、ここにはなく、確認はできなかったが、それ以上に絵を見ることの方が重要なようで、まずは、刑事課の応接室に通された。さすがに参考人でもなければ、容疑者でもないので、取調室を使うことはなかったが、
「一度は見てみてもいい気がする」
と感じていたが、それはやはり、かなり不謹慎なことだと思わずにはいられなかった。
「少し、こちらでお待ちください」
と言って、待たされたが、何と、その時女性の制服警官が、お茶を入れてくれた。
まったく予想もしていなかっただけに嬉しかったが、T警察署というのは、都会のK警察署に比べれば、のんびりしたものなのだろうと思えてならなかったのだ。
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