第41話 バトルバトルバトル
勇者イルカスは元の世界の滅びた日本のJPOPを口ずさんでいた。
「バリア壊されたかー」
だが、勇者イルカスにはそんな事どうでもよかった。
今までどのように考えていたか明瞭に思い出す事が出来ない。
平和に生きたかったのか、友達を守りたかったのか、思い出せない。
ただ、スキル無限破壊を発動させまくる。
【スキル:無限破壊:《発動条件》何かの消費:見たものを破壊する。強度はイメージ力】
勇者イルカス、ただ1人でのりのりで歩く。
後ろには人間達の兵士がいるが、勇者イルカスを追いかけてこない。
勇者イルカスまだのりのりで歩き続ける。
異世界異種族が前方だけで1000体を超える。
「だりーな」
勇者イルカスただ対象を視認し。
「ばっかーん」
次の瞬間、1000人の異種族の体が破壊される。
体のあちこちのパーツが転がり血肉が散らばろうと。
その血の中をるんるんと踊りながらJPOPを口ずさむ。
「あれーなんで殺したかったんだっけ、なんで守りたかったんだっけ、何が大切で、あれえええ、俺なんでここにいんだっけ、でももっともっと破壊してええええ」
勇者イルカスの前方に全身を機械で埋め尽くされた人型の異種族が腕を組んで立ち尽くす。
「みーっけ、機械族ゴーダン」
「お前は人間なのか?」
「何言ってんのさ人間代表だよ?」
「そうか」
「レベル9999かー結構やばいね」
「お前はレベル120だな」
「結構あげたんだぜ」
「それにしてもスキル334個か」
「もう隠蔽しないもんね」
「じゃあやるとしようか」
全身が機械に包まれている。
この世界では希少な存在だろう。
日本では沢山機械は見てきたが。
目の前にいる機械のようなゴーレムは初めて見た。
お尻の部分からジェット噴射して空を飛翔している。
まっすぐこちらに突っ込んでくると。
機械のような2本の槍でこちらを突き刺そうとしている。
そのスピードは常人で見切れないだろうが。
【スキル:見切り】
【スキル:反射】
【スキル:自動回避】
を発動させると。
勇者イルカスはるんるんと踊りながら槍を避ける。
すれ違いざまにちゃんと機械族ゴーダンを見て無限破壊を発動。
容赦なく連打する。
「あがあばば」
機械族ゴーダンの悲鳴が響く。
「まだ生きてるね」
勇者イルカスが鋭い目つきで睨む。
そこには1人の男性が立っていた。
ただ。頭が鋼鉄のようになっている。
「あの機械の鎧は重量みたいなものでね」
「そうかい」
「もう終わるぞ、呼吸が止まらぬうちにな」
「それはそっちじゃない?」
風が一瞬やんだ瞬間、勇者イルカスの顔面が殴られ宙を舞っていた。
「うっはーこれは痛いねー」
【スキル:受け身】
【スキル:完璧防御】
を発動させていた。
「なぜ、生きている」
「あ、お前もう終わったよ」
全裸で頭が鋼鉄の機械族ゴーダンの体のあちこちが破壊される。
無限回数破壊され続ける。
頭だけとなった機械族ゴーダンはこちらを睨む。
「人間にしては面白い、この世界を滅ぼしてやるからな、仲間達が」
「んー興味ないかな、だって自分の世界を自分で滅ぼすくらいだから俺」
「は」
「俺さーもう記憶がなんかごちゃごちゃでどうでもいいんだよ力使えば使う程、ただただ、物忘れがひどくなっていって残るのは破壊衝動だけさ、じゃあ君は何回で死ぬかな」
「や、やめろ、分かったから、お前は助けてやる」
「ばっかーんばっかーんばっかーん」
鋼鉄の頭が何回で破壊されるか、それはとても勇者イルカスにとって興味深い事であり、ひたすら破壊を続けていくこととなった。
10万回、機械族ゴーダンの頭を吹き飛ばすのにかかった無限破壊の回数だ。
「さてとーお次はどこかなー」
周りには恐怖を覚えたのか、異種族達は逃げまとっていた。
★★★ボーン卿★★★
ボーン卿の眼の前には23人の勇者候補生が立っていた。
1人1人の姿形は独特ではあるが、ボーン卿にとっては人間が23人いる程度の話だ。
「レベル99999:ボーンスカイソード、秘宝の1つとされる【海の石】から作られた最強無比の大剣、その力を浴びせようではないか、骨召喚といこうか」
地面から大軍の骨が召喚される。
その数10000体、憑依玉の力とボーン卿のレベル10000により、全てのスケルトンとボーン卿のレベルが100000000レベルとなる。
「骨融合といこう、スケルトンジェネラルよ」
10000体のスケルトンが融合し20体のスケルトンジェネラルとなる。
数は減ったがレベルは100000000レベルのまま。
一応そこに10000体いるという条件になっている為、融合でもレベルは合計されないしマイナスもされない。少しややこしい骨融合であった。
「そしてそれを骨吸収じゃ」
ボーン卿は20体のスケルトンジェネラルをボーンスカイソードに吸収する。
骨の体がみるみるうちに修復され、そこには生前の金髪でハンサムで妻思いで息子と娘が大好きなアンデット王ではなくボーン・スレイブ卿本人が立っていた。
「もって数分か」
人間に戻ったボーン卿は右肩に青い大剣を背負うと。
よっこらせとばかりに歩き出した。
「お前は俺達をバカにしてるのか? そんなとろい歩き方で」
「いんや通り魔ルックよバカにはしていないぜ、なぜならこのボーンスカイソードが重たいからな」
「はん、どうせ」
「なぁ、風人ゼフィー、勇者候補様ってのはそんなに偉いのか?」
「そうだ俺が通り魔ルックになって皆喜んだ異種族を殺せば殺す程な」
「そうか、それはよかった通り魔ルック、もう終わったぞ」
「は、がばあぁあああ」
通り魔ルックの首が吹き飛んでいた。頭と体だけが残り、頭が首の付け根に落下する。
「力は使った方がいいぜ、どうせ生きてんだろうけど」
ボーン卿はボーンスカイソードを軽く振った、風だけで通り魔ルックの首を両断。
しかしルックには通用しない。
「通り過ぎたと認識すればいい。スキル:《効果》終わったことを通り過ぎた事にする」
通り魔ルックの首がなくなったが通り過ぎた事になり首は復元される。
しかし失った質量はなくなるので、首が短くなる。
「そんな、ちょこざいなぁ」
「風人ゼフィーはスキル:
突風のようにボーン卿の至近距離に到着し面の前でボーン卿の体を拭き飛ばすはずだったのだが。
「遅いな」
ボーン卿は背後にまわり、目にもとまらぬスピードで風人ゼフィーの体を真っ二つにしていた。
「ぐぎゃ」
と悲鳴をあげてゼフィーが死亡し。
「きさまああ」
通り魔ルックが通り過ぎて至近距離に到着。
ボーン卿の首を通りすぎてナイフで貫くはずが。
「わしの武器はなにも剣だけではない」
左手の拳を通り過ぎる直前で腹に玉砕。
口から血を吐き出し、通り魔ルックは絶命した。
「ふぅ、2人か、さて、あと21人、相手になるぞ」
その時勇者候補生6人が風に舞い降りるように跳躍した。
「落下シマーはスキル:
「傀儡リリスはスキル:マリオペット《効果》人形を操るがペットとして」
「山人ファブはスキル:山のごとし《効果》怒りに合わせて巨大になれる」
「空気移動フェリはスキル:
「爆弾人間ダンダンはスキル:
「霧切ブドーはスキル:霧隠れ《効果》霧を生成し同化」
「まったく鑑定する身にもなってくれ」
ボーン卿は咄嗟に鑑定し、スキル内容を把握。
落下シマーが空から巨大な島を落下させてくる。
その島の上には空気移動で連れられたのか爆弾人間ダンダンがいる。
霧切ブドーにより辺りは霧に包まれ。
山人ファブが怒りの咆哮をあげて30メートルの巨人に変貌し、落下してくる島をキャッチ。
山人ファブが島をぶん投げ、爆弾人間ダンダンが爆発し、島が破壊される。
島は無数の岩弾に変貌し。ボーン卿に襲い来る。
だが岩弾のあちこちには傀儡リリスの人形のペットがいて、全てにワイヤーが繋がれている。
全てを瞬時に見切ったボーン卿は。
とりあえず、ボーンスカイソードを振り上げて振り落とした。
地面に激突するのと岩弾がボーン卿に激突する。
土煙の中、霧の中。
「た、倒した」
傀儡リリスが叫ぶと。
「誰がじゃ?」
ボーン卿は金髪の頭をさらりとかき上げると。
真横に一閃ボーンスカイソードを振った。
一気に落下シマーと山人ファブと空気移動フェリと爆弾人間ダンダンと霧切ブドーの上半身と下半身が分かれた。
彼等の血を浴びた傀儡リリスが悲鳴をあげて這って逃げる。
「ち、ちがう、私たちは選ばれた勇者候補生で、こんなところで、ぎゃ」
ボーン卿は容赦なく虫でも潰すように傀儡リリスの頭を踏み砕いた。
「さて、残り15人だな」
15人の勇者候補生は尻込みなどせず、次から次へと奇声を上げて襲い来る。
ボーン卿は端正な顔立ちをしていながら、その時は狂った悪魔のように口元を釣り上げた。
「それでこそじゃ」
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