第40話 4つの勢力殺し合いパラダイス開幕
空から無数の巨大な翼を生やした人間がゆっくりとゆっくりと降りてくる。
空の爆発は未だに続き、地上まで熱風が押し寄せる。
北側に人間王国がある。そのさらに北には山岳地帯がある。
南側は草原となっており、そこに異世界異種族の軍勢と同盟を組んだ異種族がいる。
数は数えきれないが数百億はくだらないだろう。
人間王国には人口だけで100億を超え、兵士だけで100万だ。圧倒的劣勢。
東側には荒野が広がり、神族がそこの空から飛翔してくる。
西側にはオメガ達11名が陣取っている。
人間王国は絶体絶命だろうとオメガは感じる。
容赦などしない、なぜなら人間が始めた戦いだ。後半は異世界異種族が始めた戦いだ。
「全員、レベル99999の武具の使用許可を許す」
【御意】
レベル9999武具ではなく、レベル99999の武具。
ドワーフの王がよこした特殊なゴーレムであるチャクター。
最近では言葉を発さなくなった。主であるドワーフ王が死んだからかもしれない。
幸運の乱射。
それはチート級の幸運発動。
その結果レベル99999の武具を幸運で作り出す。
その武具の成功率が1%なら幸運乱射で80%にもってこれる。
そして鑑定しても生物でなければレベル99999と表示される。
この戦いが始まる前、魔法族のレインボーが教えてくれた事がある。
この世界はレベル9999までしか力を引き出せない。
それ以上を引き出すには異世界のエネルギーを借りなければならない。
よって10000以上が0で1兆が00と言う事になった。
そして0の数が1つずつ多ければ大きい程、別な世界のエネルギーを吸い出しているという事だ。
それは異世界の崩壊を意味する。
自分達がチート級になればなるほど異世界は滅ぶ。
それでも引き返す事が出来ない。
だがレインボーは教えてくれた。武具ならその武具の強さを引き出すわけで、異世界のエネルギーは引き出さないと。
そこにオメガは活路を見出し、研究の結果レベル99999に到達した。
だがその力は絶大であり、仲間に使用許可がないと使用してはいけないと告げた。
「皆、もう後にはひけない、オレタチの手が真っ赤に染まろうと、オレタチの足が真っ赤に濡れようと、オレタチはオレタチだ。そこがオレタチの終わりだ」
その場が静まり返り。
「人間を、敵対する異種族をやってやって殺しまくれええええええ」
「「「「「「「「「「うぉぁあああああ」」」」」」」」」」
その日、人間は滅びるのだろうか、オメガはそう呟いた。
★★★人間王国★★★
「皇帝陛下、異世界の情報、しかと届けました」
「はい、異世界渡ラバー長年の潜入ご苦労様です」
「いえ、ただもう外は」
「大丈夫ですよ、終末のアダムがバリアで守ってくれていますから」
「はい」
「ラバー、この5人が異世界異種族のリーダーですね」
「そうです、一番やばい奴等でこいつらを倒せばなんとかなります」
「機械族ゴーダン、精霊族シャラク、破壊族ダルンダ、土竜族リュウグウ、虎人族トラジン、覚えましたか、おいらの盟友、勇者イルカス」
「ふ、もちろんだぜ、334回も死んだ。まさか334回目でとんでもないスキルを習得するとはな、ふふ、ふふふはははははははっはああ」
「落ち着いてください」
「すまねー異世界渡ラバーお前の情報は無駄にはしない、写真付きまでだからな」
「仕方ないです。皇帝陛下の力では彼等は見えませんから、強すぎて」
「そうだな、俺も新しいスキル【無限破壊】右手と左手がうずくぜ」
「あなたの世界でそれを中二病と言ったのではないですか?」
「んなもん知るかよ、じゃあ俺はいくぜ」
勇者イルカス、軽装備の姿でも皇帝陛下が用意した最高級の武器と防具。
それでもオメガが作り出すレベル9999の武具には勝てない。
「どうか、スキルで勝つんですよ」
勇者イルカスはその掛けられた声に気付かなかった。
勇者イルカスですら気付かず、皇帝陛下だけが気づいていた8人がいる。
その8人は世界終の葉っぱにより蘇生された遥か昔の英雄たち。
「武のヒショウは柱となりました。ツイフォン、ギルカス、リンカン、ギャウ、ジェイロバ、ティティス、ジョウ、そして殺戮王ラバンドラッド様、どうか人間を助けてください」
7人が無言で、1人の小柄な少年が歩いてくる。
見るからに10歳程度だろう。
彼の右手には何かの首が掴まれている。
「先程目障りな異種族の奴隷がいた首だけもいでみた。やはり美味だ。異種族を殺すと美味だと感じる」
「は、はい」
「ところで、皇帝陛下よ、わしはもう人の上に立つ事など興味はない、異種族を殺し殺しまくる事が趣味で仕事だ。かつて王であった時本当に退屈だった。さて、皇帝陛下よ美味を味わってもよいか?」
「それはぞんぶんに」
「よかろう、我がしもべたちよブレイクは柱にならなかったようだな、まあいい、お前達は柱にはなるなよ柱となると永遠に死ねぬからな、地獄の業火で古代魔王の贄になるだけ、そして古代魔王は最後の手段であろう」
「御意でございます殺戮王ラバンドラッド様」
「よかろうよかろう、さてブレイクは敵だろうし、皆でパラダイスをはじめようか」
【御意】
7人の英雄達はただひたすら頭を下げるのみであった。
★★★戦場★★★
オメガと仲間達が歩く。
多くの人間達が武器を構える。
その数100万。
西から攻めるが11名の自由の墓場のダンジョンメンバー。
東から攻めるは神族の軍団。
南から攻めるは異世界異種族達と異種族の同盟。
その全方位にバリアが張り巡らされている。
だがオメガはバリアに頭から突っ込む。
人間達はげらげら笑っている。
それは遠くから見ている女も子供も同じだった。
ダークドワーフとして出来る事。
その力とはとてつもなく頑丈な事。
そして体には魔力を吸収する力がある事。
その吸収した魔力を好きなように出来る事。
だったらいいなと思った事。
全部が仮設で使い方も分からない。
ただただ書物を調べ、魔法族のレインボーより得た知識。
レインボーはダークドワーフと会った事があった。
彼等がそういう力の使い方をしていると教えてくれた。
バリアが頭から全身を穿ち。
全身に激痛が走る。
同族が死んだ。ドワーフの精神状態がおかしくなって狂って死んだ。
人間達はそれを見て笑う事しかしなかった。
助けてくれって言っても、人間達は手を差し伸べず働けだった。
しまいにはなんとなく殺しだした。
ドワーフだから、異種族だから。
「お、れ、たちは玩具じゃない、ちゃんと生きているんだ」
その時地面がミシリと音を立てた。
ドワーフのでかい頭。
小柄な身長。
そのどこにそんなパワーがあるのかと人間達は見ているようだ。
右手と左手で魔力をイメージする。
バリアを2カ所掴み、押し上げる。
バリアが振動し持ち上げる。
オメガは両の掌で押しつぶす。
ぐしゃりと音を立ててバリアその物が崩壊する。
ようやく人間達の表情がこわばり、恐怖そのものに包まれた。
女子供は必至な足取りで城の中に逃げて行こうとする。
「こ、この」
兵士達が群がってくる。
ダークドワーフであるオメガが危険だと思ったようだ。
「手を出すな」
【御意】
右手と左手で作り出すハンマー。
「レベル99999:トールハンマー」
10メートルの木に相当するハンマーが一瞬で製作される。
「秘宝の1つだ」
オメガの人差し指には創造の指輪がはめられている。
頭の中でイメージしたものを実際の製作スキルを活用して瞬時に製作してしまう。
材料はイベントリにあれば何でも可能。
「う、うそだ」
「た、たすけてくれ」
「た、たのむううう」
「か、かぞくが」
「なぁ、人間達、お前達はそう言って、オレタチを助けたか? 手を差し伸べたか? いんやお前達は笑ってその顔を踏みつぶしたんだよ」
オメガは右腕を上手く活用してゆっくりと振り落とす。
地面に流れ星のように落下していくトールハンマーは地面に炸裂しただけで、尋常ならざる爆発を発して近くにいた人間達の体を分解していく。
「あがああ」
「ぎやああ」
「ぐああああ」
トールハンマーは一回使用すると消滅する。
まるで分解されるようになくなっていくと。
そこに23人の人間が立っていた。
即座に悟った。
【お前達は勇者候補生が止める】
にんまりと笑う。
まるで獲物を見つけたように。
「なぁ、お前等、オレタチを舐めてねーか」
その殺気にそこにいる勇者候補生の表情が曇る。
「俺は皇帝陛下に用がある。こいつらはボーン卿が相手してやれ」
「御意」
「ふざけるなたった1人に23人が倒されるわけが」
1人の男がそう叫び。
オメガ達は物を見るように通り過ぎて行く。
23名は身動きが取れず、23名と相対するようにボーン卿が右手と左手で大剣を握りしめている。
その大剣はみるからに青かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます