第29話 オレタチのゴーレム
辺り一面荒野。
リザードマンの姉弟が行ったスキル:バクサンにより破壊つくされた大地。
だが不思議と自然な形になっている。
エルフレイク城の城壁の欠片1つ存在していなかった。
粉々に砕け、きっとエルフレイク城に隠されていた宝も消えたのだろう。
それはエルフ王のジェイルドは怒るだろう。
「ボーン卿は骨召喚し10000体のスケルトンを頼む、憑依玉は使用しなくていい、鉄や石が砕けてしまう」
「御意」
「ブレイクはゾンビを操ってくれ、まだエルフレイク城の地下のダンジョンに眠っているだろう?」
「そうだな、そこは任せろ」
骨の姿で鎧姿のボーン卿は右手と左手を真ん中の大剣に合わせ、地面に突き刺す。
ネクロマンサーで手のひらサイズ程の大きさしかない人形のようなブレイクは手と足を叩き、まるで狂った人形そのものになっていた。
地面からゾンビが無数に出現する。
少し遅れて10000体のスケルトンが召喚される。
「少しまってくれ」
ドワーフ族のオメガにはイベントリという種族スキルが存在する。
基本的にイベントリには何でも収納する事が出来る。
そしてドワーフ王はイベントリにて秘宝やらを隠しながら隠れているそうだ。
そこに行く事が出来るのもドワーフであるオメガだからこそ。
今はエルフレイク城の建設が先とばかりに動き出す。
イベントリから出現したのはドワーフの2倍の大きさ、人間の大人の大きさの石の塊であった。
石とは言え、色々な鉱石や宝石がちりばめられて作られている。
顔の形はどこか無骨で愛らしい姿をしているが、無表情そのまま。
最初の1体に続いてイベントリからその鉱物の塊が出現し続ける。
その数777体。
「こいつはゴーレム、武器と防具の融合で作ったんだ。遥か昔に失われた技術で、こいつらには意識が宿っている。正確には俺の魂の一部だ」
「なんと、さすがはオメガ団長じゃわい」
「やはり、お前は面白い逸材のようだな」
ボーン卿とブレイクが目を大きくこちらを見て騒いでいる。
「こいつらは武器と防具の融合、という事は複数のレベル9999の塊だと思ってくれたまえ」
「おおおおお」
「おおおおお」
「そして、圧倒的パワーとスピードでエルフレイク城を建設する。スケルトンとゾンビは補佐を頼む」
「了解じゃ」
「了解」
「では、てきぱき動くぞー」
「おおおお」
「おおおおお」
実質上エルフレイク城を建設したのは3名。
エルフの歴史には骨とグールとドワーフだけでエルフレイクマークツー城は建設されたとされる。
====人間王国====
人間達は恐怖に包まれていた。
エルフ王国を支配し、エルフを奴隷にしたまでは良かった。
だが、例のドワーフの攻撃により、全てがご破算。という訳でもないと皇帝陛下は腕組みして考えている。
「英雄ヒショウの魂は柱となるだろう、残り8名の英雄も蘇る準備が出来ている。他の勇者候補生は残り23名、灰人バイは賢者バイであり、勇者イルカスはそもそも勇者候補生のふりだ。賢者リメリア、戦王ガルフォー、乙女テニ、迷信ゴウ、逆行チェリー、静止画バニー、岩鉄丸カナック、支離滅裂パン、笑顔ルーン、流星シルベスタン。君達の死は無駄にしない、1人は異種族の異世界にいて、この世界には勇者候補生がまだ22名もいる。こちらの勝利は確かなはずなんだ」
皇帝陛下は自分自身に言い聞かせるように独り言をつぶやいていた。
いつも玉座で蘇る勇者イルカスは戻ってこない。
34回目の死亡から死んでいない。
オメガというドワーフの自由の墓場と呼ばれるダンジョンに幽閉されているのだろう。
正確には別な何かの次元にて拷問のような生活をしていると思われる。
それはこの世界中に流された画像で理解しているつもりだ。
「なぁ、おいらは勇者イルカスがいないと困るんだよ」
ただただ寂しく呟いた。
「た、大変です」
「どうしたんですか?」
1人の兵士が玉座に舞い込んできた。
「見た事もない種族が、化け物立が侵略途中のヴァンパイア領から流れ込み、ヴァンパイア族と結託し」
「き、緊急です。オーガ族、オーク族、ゴブリン族、トロール族、サイクロプス族が見たこともない化け物の種族と結託して、人間の村を、人間を殺しまわってます」
「き、き、緊急です。空より見たこともない、天使のような種族が下りてきました。人々は神だと思ったのですが、見た事もない武器で攻撃してきて、わ、わたしの、つ、妻が殺されて、それとハーピー族がそいつらと結託しました」
皇帝陛下の眼前は暗くなる。
世界目のスキルによりこうなる事は分かっていた。
自分が見た恐ろしい種族たち。
異種族は異種族と結託する。
ドワーフのオメガ達も結託されたら終わりだ。
「戦力を分散させます。ドワーフ王国のドワーフ族を皆殺しにしなさい、それと英雄達は化け物の開いてです。勇者候補生達に指令、臨機応変にて」
「「「御意です」」」
「おいらは勇者イルカスを迎えにいくよ」
「は、はい?」
気づくと皇帝陛下の姿はなくなっていた。
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