第21話 エルフレイク城へ傭兵団が

「うっはっはっはっはっは」

「ぷははははははは」

「くすくす」

「ふぉふぉふぉふぉ」

「きーっはっはっはは」


「皆さん個性的ですね」


「「「「「いや、君も大概だね」」」」」


「そうですかね、えへへ、ドワーフさんの団長さんをリメイクしてみました」


 オメガはとほほと思っていた。

 なぜならリナテイクにより顔をいじられたからだ。

 リナテイクの話だとお人形様ごっこらしく、彼女の魔力で髪型や眉毛をいじられ、しまいには紅のような魔力で塗りたくられた。


 その結果お人形さんのようなオメガになった訳で。


「それ一日は取れませんから」


「ふっぁっふぁっふぁっふぁ」


「ボーン卿笑いすぎだ」


「面白すぎるぞ、お嬢さんわしもリメイクしてくれませんかのう」


「え、骨は初めてですぅ」


「やめとけボーン卿、さて、保護したエルフ全部で千人だな、おめーらもご苦労だったな」


「いやいや、そんなんなら大事に大事にご褒美を、おねがい」


「姉ちゃんデレなくてもご褒美もらえますからー」


「うるさいわいゲニー」


 赤いリザードマンと青いリザードマンのガニーとゲニーがいつものごとく言い合っていると。


「では、団長、これからどういたしますか」


「みーんなを笑わせてあげたんだよ、このぼくが」


 コボルト族のペロンクが道化の顔を自慢げに見せてくれた。


「ペロンク君は可愛いですねー」


「お姉ちゃん、ぼ、ぼくもリメイクしちゃうの」


「もちろんですぅ」


「逃げろおおおおお」


 ペロンクとリナテイクが鬼ごっこをしている間。


 1階層ダンジョンボスの間でふざけ合いながら会議を開いていた。


「問題はエルフ千人の生活水準です。食料を魚ばかりにする訳にはいきません」


「なら、エルフ達には9階層の森が相応しい気がする。そこなら彼ら独自の畑を作れるだろう。材料、道具、種、肥料などは、ダンジョンポイントを消費してなんとかしようか」


「御意にございます」


「彼等には街に自由に行きき出来るようにしようと思う、そのほうが商売とか成り立つと思うんだ。これから大勢の異種族が増えてくると思うし、彼等を守るのはレベル8000のモンスター達だよ、ルウガサーちゃんと指示を出しておいてね」


「御意でございます」


「色々な異種族を各階層で保護して、街で交易するという仕組みがいいと思う、色々と試行錯誤だけどね」


「はい」


「それでエルフレイク城を開放する前に、約束だ。リナテイクは家族に会え、ボーン卿頼むぞ」


「ふふ、まかせい」


 ボーン・スレイブ卿は右手と左手で大剣を握りしめると、体が一段と赤い炎で燃え上がった。


 炎の中から4つ子の男の子2人と女の子2人、リナテイクの父親と母親と祖父と祖母が現れる。


 リナテイクの顔がくしゃくしゃになり、涙がぽつりぽつりと流れ落ちる。

 不器用にリナテイクは笑顔を向けると。家族にしか聞こえない言葉で会話をして、気づけばゴーストになっていたリナテイクの大事な人達は消滅した。


「すまぬ、どうやら未練がなく成仏してしまったようじゃ」


「いえ、いいんです。ボーンさんありがとうございます」


「気にするな、わしの家族も成仏してしまったがな、仲間じゃな」


「そうですね、とても、とても、どでもヴれしいです」


 リナテイクは歯を食いしばっていた。


「団長さん、悪い人間殺しまくりましょう」


「もちろんだ」


「良い人間は助けましょう」


「それももちろんだ」


「皆でハッピーハッピーデスよー」


「まぁ、それももちろんだ」


 リナテイクは無理やり笑顔を作り出す事で、悲しさをごまかしているようだった。


「団長、エルフレイク城には勇者候補生の1人流星シルベスタンがいます。森に囲まれた伝統ある城で、兵士の数だけでも8000人は越えるでしょう、その全てがシルベスタンの星の保護を受けています。つまり最強です。これらはエルフ達から情報を得ました」


「ふむ」


「団長、いかがしますか」


「そんなの決まってる。全員でお仕置きしにいこう」


 その場にいたガニーとゲニーは腕を組み合って、魔王ルウガサーはお上品にお辞儀して、ボーン卿は老人らしくゆったりと椅子から立ち上がり、ペロンクは円卓の机の上をぴょこぴょことジャンプして、ゆったりとしたエルフの民族衣装に身を包んだルナテイクの体の周りには光の玉が無数に浮遊して。


 エルフレイク城侵略が開始された。


 とその前に、リナテイクのレベリングが急ピッチで行われ、レベル8000のモンスターの部位破壊、モンスターの了承を得て平和的にした。


 その結果リナテイクもレベル10000となった訳だ。



====エルフレイク城====


 8000の兵士達が守っているエルフレイク城には、エルフ王とエルフ女王とその息子と娘がた。

 4人は玉座にて幽閉されている。


 そこには流星シルベスタンがゴーグルをかけて玉座に座っていた。

 右手と左手は焼けただれ、なぜか短パンとTシャツを身に着けている。

 髪の毛は天然パーマでありながら、白髪そのものだった。


「ふぁああ、やべーな、緊急体制だよーみんなー」


 流星シルベスタンは1人の人間から3つ目に大事な物を受け取る事で星の強化バフを付与させる事が出来る。


「でもなー3つ目に大切な物って、へぼいのばっかなんよねー」


 正確には大切なステータスの3つ目。物や代物だとシルベスタンの許容範囲を超える。

 なのでシルベスタンはステータスの大事な3つ目をもらう。

 

 筋力が3つ目なら筋力+1をもらうだけだ。


 つまりそれを8000人を超える人に実行するわけだから。

 流星シルベスタンの全ステータスは数千を超えている訳だ。


 右手に隕石を召喚し、遊びで左手に移動させる。

 後ろの椅子には怯えているエルフ王とエルフ女王がいる。

 息子と娘は隣の部屋だ。だとしてももう大人だが。


「臨戦態勢よろしくね」


 流星シルベスタンはゴーグルを深々とかぶる。


====エルフレイク城城門====


「敵襲敵襲」


「敵はどこだ」


「あそこに、高速で走るドワーフと並走するま、魔王です。魔王ルウガサーがいます。なんか手繋いでます」


「うらやましすぎるんだが」


「隊長、空からは、ど、ドラゴン、赤いドラゴンと青いドラゴンで」


「バリスタ隊てえええええ」


「ダメです。ドラゴンがくっちゃべってます。意味不明です。【ねええちゃんんん】と言ってるようです」


「大変です隊長、隣の城壁でピエロが踊ってます」


「意味わからんのだが」


「トランプで移動してもう見えないし、強化バフしてても体に穴があきます。トランプに触れただけでです」


「なんだとおおお」


「隊長、空を飛ぶ天女が」


「意味不明だが」


「美しいエルフが美しい光で、ぎゃああああ、光の矢が、数万を超えてあんなの無理です」


「こっちにもきたあああ、盾をかせえええええ」


「あそこに、骨がいます」


「骨?」


「平原で突っ立ってます」


「ばかなのかああ」


「あ、あれは、あれは、あの数は、スケルトンの大群です。鑑定したら全部、レベル0です。雑魚ですよ」


「ぎゃはっははあ」


「先にあいつから」


「うわあああああ」


「何事だああああ、あのスケルトンは雑魚だろおお」


「剣に触れただけで、強化バフが破壊されました」


「む、むりだ。スケルトン1体であれだけの強さ、何かの魔法なのか」


「もう、英雄さん達に頼むしか」


「英雄は2人だけだぞ、他の奴等の死体は人間王国の安置所だ。まだこんな事になるには早すぎる」


「ドワーフが、ドワーフがこっちに魔王と手を繋いでやってきます」


「あいつからだ。あいつがリーダーだ」


 すれ違いざま、隊長の頭は石のように落下した。



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