第1話
「頭がいてぇ!」
何か頭の中に情報が流れ込んでくる。人が大量にいる避難所で恥を晒してでも叫ばないと耐えられないほどに頭が痛む。ついでに腹も痛くなった気がした。
「ふぅ」
頭痛が止まった。
どうやら情報はさっき手に入れたユニークスキルの【コイン】についてだ。
このスキルは大きく分けると効果が5つある。
一つ目はモノや生物をコインに変える能力。
だいぶチートに見えるがそれは違う。まあ強い能力ではあるんだが、敵をコインに封印して勝利!みたいなことはできない。簡単に説明すると、モノをコインに変換するときはその物の価値に見合う回数連続で表を出さなければいけない。生物をコインに変換するときはモノの時より簡単で相手の戦意を喪失させて相手の額に触れればいい。ちなみに変換したものを元のものに戻すことは簡単にできる。
二つ目はコインを異空間に収納する能力。
コインが嵩張らないね!以上!
三つ目はコインの能力を使用できる能力。
一つ目の能力に絡んでくるんだが何かを変換したコインには属性がある。例えばライターをコインにしたらそのコインは火属性のコインだし、天然水をコインにしたらそのコインは水属性。といった感じだ。さらにその属性には強度ってものがありマッチ棒よりもライターは属性の強度が強くて火炎放射器はライターよりも属性の強度が強い。つまりはそう言うことだ。そしてその条件に則って魔法を使えるのがこの能力。ただしコイントスをして表を出さなければ全く逆の効果が現れる。つまり火属性の
生物をコインにした場合はその生物の特性が効果として現れる。足が早い動物をコインにしたら足が速くなるし、目が良い動物をコインにしたら目が良くなる。
コイントスで裏を出したら相手にデバフが掛かる。
四つ目はこの世に存在する全てのコインを複製できる能力。
金持ちではないけど生活には困らないな。
五つ目はコインを自由に動かせる能力。
浮遊させたり動かせたりできる。
以上が俺の能力だ。
いやー、俺にこんな才能があったとはびっくりである。こんな才能があったところでこんな状況じゃなきゃ全然使えない才能だけど。
あと、今気づいたんだがこんな状況でこんな力を急に手に入れて冷静なのはおかしいよな。これが新世界の適合者ってものなのか?自分の精神が何者かに操られてるみたいでやだな。
「俺はユニークスキルを手に入れた!俺は新世界の適合者だ!そして〜俺のユニークスキルはこれだ!”この空間にいる人間皆俺を見ろ!”」
なんだか騒がしいな。というかこんな奴がユニークスキル持ちかよ。同類の俺の肩身が狭くなりそうだからやめてほしい。ほら、体育館にいるみんなドン引きしてるじゃん。
ってあれ?体が勝手に動くしあいつから目を背けることができない。何かに押さえつけられてるみたいだ。これがあいつのユニークスキルか。スキル名は【視線誘導】ってところか?興味深い。面白い。そうだ少しイタズラでもしてみるか。
ポケットにある2枚の五百円玉を浮かせて直進!
「痛っ。なんだこの五百円玉。重力に逆らって俺に突進してきてやがる。もしかして俺以外の適合者がいるのか!?面白えじゃねえか。かかってこいよ!」
少しよろけたところで急に自称ユニークスキルが解除された。やっぱり何か条件とか縛りがあるのか。と言うことはユニークスキルは全て縛りがあるのかな?まだそのようなことを決定づけるには証拠が足りなすぎるけど。
さーて、踏み台を蹴っ飛ばして俺の株を上げますか。
とりあえず五百円玉を手元に戻して、複製、複製、複製。複製をしまくって合計12枚の五百円玉を手に入れた。念の為に6枚は異空間に収納しておく。
かっこいい歩き方をイメージしてゆっくりゆっくり威圧感を出しながら歩く。歩きながらいろんなものをコイン化して色々したいからゆっくりゆっくり。
「あいつただもんじゃないぞ」「金色…」などと称賛の声?が聞こえる。2個目についてはわからん。
とりあえず近くにある電池をコイン化しよう。ふむふむ、なんとなくだが電池をコイン化するには2回連続のコイントス成功が必要みたいだ。今はとにかくこいつやべぇぞ感を出したいから両手同時コイントスをする。
「チャリン。チャリン。」
大成功!一発で電池をコインにできたみたいだ。
元の電池が消え表面に電池の柄のあるコインが出現した。色については縁が金色、真ん中が黄色だ。
いけてるコインだな。
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