俺のユニークスキル【コイン】があまりに異質すぎるから勢いで終末日本を救おうと思う

わっしゃ

プロローグ

つい1時間ほど前に俺の、俺たちの生活は壊された。たった数分の通り雨に。


俺の名前は小金沢聖こがねざわたかし。名前だけ少し豪華なただの高校生になる予定の男子だ。と言ってもこんな状況の日本でまともな教育が受けられるわけないだろうから最終学歴はつい数日前に卒業した中学になるな。


全てはあの紫色の空から始まった。

最近ハマっているスマホゲームに課金するためにプリペイドカードを買おうと最寄りのコンビニに向かった。財布を持っていくことが面倒だから五百円玉を三つだけポケットに入れて。家から出た途端に小雨が降ってきたがそんなことはどうでもいいと無視をして少し早足でコンビニに向かった。それがいけなかった。


雨に濡れながら移動していたカラスの群れが突如として巨大化し、そこらにいる通行人を片っ端から襲ったんだ。俺は頭痛がしたね、こんな二流の漫画みたいな展開が現実に起きるのかと。当然一般的な思春期の男子である俺は興味を持つわけで、衝動に駆られて通行人たちを襲っているカラスを退治しようと殴ったり蹴ったりした。しかし、謎に強化されたカラスはびくともせずただただ叫んでいた。なぜかそれを攻撃が効いてると勘違いした俺はもっと前のめりになって殴り続けた。


それから数秒、カラスの群れが俺が攻撃していたカラスに吸収されてさらにそのカラスはでかくなり身長が500cmくらいになった。某国民的RPGゲームのキングス○イムみたいなやつだ。


流石にまずいと思った俺は少し後ろに下がって周りにいる人に助けを求めた。結構怖かったからそれはもう全力で叫んだ。だがそこにはもう誰もいなかったみんな逃げてたし、逃げ遅れて応戦してた人たちはみんな倒れていた。倒れていた理由についてはわからない。どうせ魔法か何かだろう。ちなみに傷跡などはなかった。


逃げ遅れてひとりぼっちで目の前には超常的現象で強化されたカラス、絶体絶命の俺はそこそこに恵まれた脚力で全力で逃げた。あの時の勢いで100m走をしたら多分陸上の県大会でかなり上位になれたと思う。そのくらい全力で逃げた。ただ、その程度のスピードなんてわけわからんカラスの前にはミミズに等しいようで羽ばたき一つで追いつかれた。そして何をとち狂ったのか俺はカラスの口めがけてポケットに入っていた五百円玉を思いっきり投げつけた。その作戦が功を奏したのかカラスが急におとなしくなり無事逃げ切れた。


そして今は避難所である俺の母校にいる。

この話だけを聞くとこの例だけが問題なのかと思うかもしれないが、そうじゃない。鳩、ネズミ、猪、色々な動物が強化されて凶暴化もしてるらしい。自然あふれるこの地域なら尚更だ。スマホでニュースやSNSなどを見てみると日本各地、世界各地で雨に濡れた動物がおかしなことになっているという情報が嫌でも目に入る。珍しい例ではあるが人間も巨大化、凶暴化されているらしい。ゾンビ映画かよ。


そんな感じで脳内で独り言を繰り広げていると俺の頭に変な声が流れ込んできた。かわいい女の子の声だ。


『新世界の適応者として小金沢聖が認められました。』

『ユニークスキル【コイン】を入手しました』

『■■■■■に認められました』

『属性:金を追加します』


いよいよ最近流行りのファンタジーモノになってきたな。

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