第25話 打倒
身体と脳が麻痺してきて痛みを感じなくなってきてしまう。それどころか、全てが快楽に変わってきておかしくなる。痛みだけでなく身体に触れられるだけで限界をむかえてしまうほどに銃弾を撃ち込まれ調教された。
「動かなくなっちゃった?じゃあ、もっと撃ち込んであげるね」
身体は相変わらず動かない。何回も動かそうと試みるが何かに信号が邪魔されて動くことができない。しかし、私の理性はかろうじてまだ崩壊していない。崩壊してしまってはあの子との約束を守ることができない。それに崩壊させられるならあの子がいい。
私はツキさんを思いっきり睨みながら息を整える。思考を完全に支配されているが関係ない。支配されているのであれば逆に支配している奴を支配して徹底的に不幸を叩きつければいいだけの話。
私は自分の本能を呼び覚ます為に睨みつけるのをやめ、舐め回すかのようにツキさんの全身を見る。紅くて青い瞳に不気味な笑みに私と同じくらいの低身長。それに加えて少しばかり盛っている胸に太ももに食い込むニーハイ。その全てが私の本能を刺激し笑みが浮かんでくる。そんな私を見てツキさんは機嫌を悪くし容赦なく私に銃弾を放つ。放たれた銃弾が私の身体に当たり弾ける。痛みは感じずただただ快楽が全身を駆け巡る。その快楽の強さに身体がビクッと跳ね上がる。
「何笑ってるのかな?気持ち悪い」
「......もっと気持ち悪くさせてあげます」
私がそうボソッと言った次の瞬間、ツキさんは地面に膝から崩れ落ちる。何が起きているのか状況を掴めていない表情で私を見てくる。そんなツキさんに私は立ち上がりながら微笑む。ツキさんは驚き顔を青ざめている。
「な、なんで動けて...るの......?」
「そんなこともわからないんですか?あなたは私より下の存在なんです。素人のあなたと
違って」
私は自分の小銃を拾いポケットに入っている弾倉と交換する。その間ツキさんはこれから自分が何をされるのか想像して涙を流している。可哀想と少し思うが可哀想は可愛い、そして背徳感を味わえて満足することができる。だからこそ、心の奥底に残るぐらいに傷つけて痛めつけたい。
私は微笑みながら銃を構えて照準をツキさんに合わせる。涙を目から零し青ざめながらこちらを見てくるツキさんは言葉を発さない。聞こえるのはハァハァと呼吸をする息だけ。落ち着きがなくどこか恐怖を感じているかのようだった。
私は銃の引き金に指をかける。まったくもって指の震え、そして鼓動が早くなる気配を感じない。久しぶりの感覚に胸が躍る。ツキさんは目をギュッと閉じて撃たれるのを待っている。恐怖のせいか身体が震えて可哀想に見える。だけど、そんなものは関係ない。
「じゃあ、撃つね?三、ニ......一...!」
突如として所持している端末から鐘の音が聞こえ始める。その音はどこか反響していて学校全体に広がっているような感じがした。私は鐘の音が気になり銃を下ろす。それを見てツキさんは安堵の表情を浮かべていた。
やがて鐘の音が聞こえなくなると所持している端末に同じ制服を身に纏った少女の姿が映し出される。それを見て私とツキさんは固まってしまう。
「な、なにが起こってるの......?」
状況が掴めないでいると画面の少女は喋り始めた。
「我々はこれより傀儡政権を打倒し偉大な我が国を取り戻す」
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