第24話 逆転

 銃声がこの空間に響き渡る。銃弾はツキさんのお腹に直撃し悲鳴をあげている。私はそのままツキさんのお腹に銃弾を撃ち込み続ける。銃弾が直撃するたび悲鳴とエッな声が出ている。


 「ひっ...んっ...!?」


 かわいい、だからこそもっと虐めたい。痛みが完全に快楽に変わるまで徹底的に。


 私はそのまま銃弾をツキさんに撃ち続ける。しかし、何か身体がおかしいそんな感じがした。身体の奥底から溢れ出るような暗い何かが私を蝕んでこようとしてくる。


 「動く的ちゃんはちゃんと的にならなくちゃね?」


 ツキさんの右目は紅く、そして左目は青くなっていた。何か逆鱗に触れたような、そんな感じがして即座に小銃を構え引き金を引く。しかし、何故か銃口から弾が出なかった。何度引いても弾は出ず、カチカチっと音がなるだけだった。弾だって装填しているし、整備だって怠ったことだってない。どうしよう、どうしようどうしよう。おかしさと疑問、そして未知の恐怖を目の前にまともな思考、行動をとることができない。

 

 そんな私を見てうす気味悪い笑みを浮かべながら拳銃の照準をこちらに向けているツキさん。不気味に光っている両眼も相まって私は後ずさりをすることしかできない。


 「ふふっ...その表情、とてもゾクゾクする...!もっと見せて動く的ちゃん」


 逃げなきゃ、そう思った頃にはもう遅く身体が一切動かなかった。金縛りにあっているかのようにビクトもしないこの身体に銃口が押し付けられる。ツキさんの指は引き金にかかっておりどうあがいても絶望しか見えない。

 

 そんなことを考えていると突如として痛みが身体に走る。打撃のような痛みに斬られるような痛み、そして刺されるような痛みが後に続いて襲いかかってくる。今までに味わったことのない未知な痛みに声をあげてしまう。


 「うっ...?!はぁはぁ......ひっ...!?」


 「その痛みに追いついていけてない表情...かわいいよ動く的ちゃん♡」


 ツキさんに耳元でそう囁かれる。囁いているときも私に銃弾を撃ち込むせいで一向に落ち着けない。ただひたすらに痛みを耐えることしかできない。だけども、それが辛くて痛くて怖くて。いつの間にか目から涙が出ていた。痛みのせいなのか恐怖のせいなのか定かではないが涙が出ていることに違いはない。そんな私を見てツキさんはさらに笑みを浮かべながら私の胸辺りに銃弾を放つ。


 「......はぁはぁ...」


 撃たれたはずなのに何故か痛みはなく、ただただ頭がボーッとしてくる。視界がぼやけ、身体が火照ってくる。撃たれたはずの胸から徐々に快楽を感じ始める。先程までの痛みと合わさり身体と思考、そして脳までもが狂い始める。気持ちいいのか痛いのかよくわからない謎な感覚に蝕められているような絡みつかれているようなそんな気がして恐怖を感じる。

 

 しかし、このよくわからない感覚が癖になってしまいそうなほどに心地よくて限界をむかえてしまった。


 「もう限界?じゃあ、もっと痛めつけてあげるね動く的ちゃん♡」


 ツキさんの瞳の奥から禍々しい何かを感じた。

 

 

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