第12話 言葉という名の刃

 一体どれくらいの弾薬を使ったのだろうか。

 私たちはあれから数時間射撃場に籠もって銃を撃っていた。

  

 「モエさん......だ、大丈夫?顔赤くなってるの......」


 「だ、だいじょう...ぶ......です......」


 私はこの数時間弾薬を撃ち続けた。反動、銃声によって少しおかしくなっていた。体が火照っている。また、意識が飛びかけそうになっている。

 流石にまずいかも......魔力使いすぎて手や体に力が入んない。


 「ホントに?......嘘だったら......放置するの」


 アイさんはどこかいたずらっぽく、そして冷たくそう囁く。背筋に寒気が走る。冷たい眼差し、それなのにどこか小悪魔っぽさを感じる。


 「ご、ごめんにゃ......さい...う、嘘です......」


 私は正直に言った。このまま射撃場に放置されたら私は終わってしまうから。勿論あらゆる意味で。

 そんな私を見てアイさんは私に近づくと、私の体を持ち上げた。


 「これでいいの?......モエさん想像以上に軽いの......」


 「は、はひ......ありがとうございます...」


 アイさんは小声で何か呟いていたが魔力の使いすぎによる反動がすごいので聞き取れなかった。


 だとしても......私、重くないよね...とういうか、アイさんに迷惑かけてるのでは?


 私はアイさんに迷惑をかけていると思い、申し訳無さで体が震えだす。しかし、アイさんの暖かさに包まれるのが少しばかし、気持ちが落ち着き安らぎを感じる。

 アイさんの小さい体型に包容力が合わさり、魅惑のマドレーヌになっている。私より一回り小さい子に持ち上げられているこの状況に少し、羞恥心と背徳感を感じる。


 こ、これ......ヤバイかも......♡私より一回り小さい子に持ち上げられるの癖になりそうで怖いかも...♡


 「モエさん......?大丈夫ですか」


 アイさんは心配している表情でそう尋ねてくる。


 「だ、大丈夫...です......♡」


 「......ふーん...」


 私はしどろもどろにそう答える。アイさんはどこか私の言動に疑問を抱いている様子だった。

 口をとがらせているアイさんはとても可愛らしく、私の胸にグッとくる。だが油断した次の瞬間、刃が飛んでくる。


 「モエさん、明日から学校なのですが......大丈夫なの......?」


 私はグサッと言葉という刃が私の胸に突き刺さった。そこで私は気づいた。今日が日曜日であることに。

 

 明日は月曜日......ぐっ......ここまでかな...っあ......


 「...あ......っあ......い、嫌っ.........」


 私の視界から景色が消えかける。景色が消えかける間際に見えた冷たく冷徹な眼差しが私にとどめを刺す。

 やがて景色の次に音が暗闇の中へと消えていった。








 目覚めると、そこは私とシノアさんの部屋だった。

 目覚めたばかりで視界や意識が朦朧とする。


 「何やってたんだっけ......」


 私は目覚めたばかりの頭で考えるが、思考が回らずロクに考えることができなかった。

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