第9話 模擬戦後
イルちゃんとアイちゃんは降参し、模擬戦に勝利したがモエちゃんが見当たらない。イルちゃんやアイちゃんに聞いても詳しい居場所まではわからなかった。わかったことは私の所へと向かっていたこと。
前に誰かが倒れている。
「モエちゃん!」
モエちゃんは地面の上で倒れていた。私は近づくと同時に銃の引き金を引く。弾はそのまま落ち葉の山の前に着弾した。
「...あなたには常識ってものがないみたい......」
フードを被った子が落ち葉の山から出てきた。フードを被った子はナイフを取り出し私を睨みつけてくる。フードの中から赤黒く光る瞳が場の空気を一変し、緊迫感が高まる。
「さようなら......」
フードを被った子はナイフを持って突撃してくる。私はバックステップで距離をとり、銃の引き金を引く。爆音とともに銃弾がフードを被った子に向かって飛んでいく。
「意味なんてないの......」
フードを被った子から黒い霧が放出され、一瞬で視界が黒い霧に覆われる。フードを被った子を見失う。
何これ......相手は銃を持っていなかったし......もしかして煙幕...?
「......背後とった」
私は呆気なく背後をとられる。すぐさま後ろに向かって蹴りをいれようとするが脚を掴まれそのまま地面に倒された。
「ドーン?」
私はフードを被った子に銃弾を撃つ。しかし、その弾は当たることはなくそのまま木にぶつかった。ぶつかった弾はそのまま跳ね返り、再びフードを被った子に向かって飛んでいく。フードを被った子は避けようとするが間に合わず、そのまま腹部に命中した。
「......火力高すぎ......撤退が賢明かも......」
私は立ち上がり銃を構えるが、既にフードを被った子はいなくなっていた。
代わりにフードを被った子がいた所の地面に謎の光ったナイフが刺さっている。私はそれを地面から抜きジーッと見つめる。すると等間隔に赤く光っていることに。そう気づいた時にはもう遅かった。
その直後、光っているナイフは爆発しフィールド上に爆発音がなり響く。別の場所から連鎖的に爆発が起こり爆発音がなり響く。
このフィールド全体から黒煙が立ち上る。
「......痛いな......この制服がなかったら今頃私の肉片と血液諸々辺り一面に飛び散って
たよ......?」
私の制服は爆発により所々破けたりして肌があらわになっており、見るからにボロボロな状態になっている。念の為周りを確認してみるがあのフードを被った子は居らず、倒れているモエちゃんだけがいた。
私はモエちゃんに近寄りジーッと見つめる。制服は私と同じく爆発をくらってボロボロになっており肌があらわになっている。また、口元に血がほんの僅かついている。
「失礼するね...モエちゃん......」
私はモエちゃんを持ち上げる。モエちゃんは非常に軽く、そして柔らかい。普段は前髪で隠れている目元も今だと見えている。右目の下には隈がなく、左目の下にだけ隈ができている。
私はモエちゃんの銃も担ぎそのまま訓練場の出口まで向かった。
〆
外は既に暗く夜風が靡いている。露出した肌に夜風が当たり少しばかり寒気がする。こういう格好なので周りを見渡してみるが見える範囲に人はいない。私はホッとし息をつく。
私は月明かりに照らされながら寮の方へと歩く。首筋にモエちゃんの生暖かい息を感じる。暖かい、それに背中に当たるモエちゃんの控えめな胸が柔らかい。こういう時にこんなことを思うのはおかしいと思う。けど、どうしようもないこと。
だって私はモエちゃんのことが...
「......好きだから......」
私のはなった言葉は夜風に揺られどこかへといった。
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