第4話 きっとまた......
鼓動が暗闇に響き渡る。それはやがて虚しく暗闇に溶け込まれ静寂が訪れる。ここがどこかわからない。それに加え、恐怖を感じ始めるがなぜだか身体が震えている感じがしない。何故なんだろう、そんなことを頭に思い浮かべ疑問に思っていると突如として燃えるような痛みを感じ始める。主に心臓辺りがに燃えるような痛みが発生している。痛い、熱い、助けてほしいなどの弱音が出てしまう。しかし、そんな弱音を吐く私には助けてくれる人なんていない。なのにどうしてだろう。この暗闇から誰かの声が聞こえてくるのは。
『きっといつかまた会えるよね?』
どこかで聞いたことがある声。馴染みがあり、聞いてると落ち着く声。
『うん......そ、そう...だよね...』
なのにどうしてその声の主がわからない、思い出せないんだろう。
『もしまた会えたらその時は一緒にいようね!』
カーテンの隙間から朝日が差し込み目が覚める。私は上半身を起こし、周りを見渡す。
「ここどこ......?私の部屋じゃないけど...っ!?」
私の視点が急に天井を映し、仰向けに倒れる。私の体に重さと吐息を感じる。
「し、シノアさん......?ど、どういうこと......?」
私は仰向けの状態でシノアさんに前から抱きつかれている。私とは違い女の子らしい匂いがするそれに加えて、私の胸にシノアさんの柔らかい感触があたっている。思わず意識してしまい私の鼓動の間隔が短くなる。
それより、何故シノアさんがいるのか。はだはだ疑問だ。この部屋もそうだ。明らかに私の部屋ではない。ということはシノアさんの部屋?
「おはようモエちゃん......ん...どうしたの?」
シノアさんは私から離れ、あくびをしながらそう言う。
「こ、ここって......?」
私の言った言葉を聞いてシノアさんは首を傾げ、不思議そうにこちらを見てくる。私は思わずキョドってしまう。
「......あっ、そういえば言ってなかったね?私とモエちゃんは一緒の部屋だよ」
「......?ど、どういうことですか」
「どういうことって、二年生に上がったら必ず誰かとペアを組んで一緒に生活をすることになってるんだよ?」
そういえばそうだった。入学式の時あまりのショックで半分気絶していたのを覚えている。しかし、いつの間に私とペアの申請を?そんな時間なかったはず......ま、まさか勝手に申請を?
「そ、そういえば入学式で言ってましたね......は、はは......で、でもペ、ペアの申請って
い、いつしたんですか...?そ、そもそもわ、私合意してない......」
「もちろん私が勝手にしといたよ!」
シノアさんは満面の笑みで誇らしげにそう言う。
しかし、
「......互いの了承がないとペアにはなれなったはずだと思うのですが...」
もちろんペア制度は互いが了承しないと正式に許可されないのだ。しかし、シノアさんはそれを無視して私の了承をとらず勝手に申請してしまったのだ。
「けどモエちゃん組む人いないよね?友達いないの知ってるから」
シノアさんの刃のような
「ひ、一つ聞いてもいいですか......?」
「うん?なぁに?」
シノアさんは首を傾げてこちらを見てくる。
私は軽く深呼吸をし、覚悟を決め言葉を発する。
「ど、どうしてわ、私なんですか......?」
「もちろん好きだからだよ」
わ、私のことがす、好き!?ど、どういうこと?!私そんなに可愛くないのに...!そ、それに性格だってあんまり良くないし......
私は思わずシノアさんに顔が見えないように手で隠しながら後ろに振り向いた。
「そういう照れるところもかわいいよ」
私は頭から蒸気が出るくらい顔が熱くなる。で、でもう、嬉しいな......!かわいいって言ってもらえるの。でも私はかわいくないよ。
私はシノアさんの方に振り向き、見つめる。
「今更だとは思うのですが私とペアになってくれませんか......?」
「うん!これからよろしくね」
シノアさんのキレイな竜胆色の瞳に一瞬暗闇が映ったように見えた。
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